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Anker PowerPort Atom PD 4 徹底レビュー | 最大100W出力のモンスターPD充電器。ただし必ずしも「最適」とは限らない

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つい先日、当ブログで 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 という最大90W出力に対応したマルチポートチャージャーを紹介した。

結果、ありがたいことに同記事は予想以上に多くのユーザーにお読みいただいたようで、いくつか質問も寄せられた。その中で多かったのは、同時期に発売した 「Anker PowerPort Atom PD 4」 とどちらの製品が優秀なのかというもの。

どちらの製品も、搭載ポート数はUSB Type-CとType-Aがそれぞれふたつずつの合計4口で同じだが、「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の合計出力は最大90Wなのに対し、「Anker PowerPort Atom PD 4」 はそれよりも10W高い100Wに対応。しかも 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 はひとつのポートから最大60Wの出力が可能だが、「Anker PowerPort Atom PD 4」 は最大100Wの出力が可能と、仕様に違いがある。

前回は 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 の仕様やどんな方に最適かをお伝えしたが、今回は 「Anker PowerPort Atom PD 4」 がどういう製品なのかを詳しく紹介するとともに、同製品がどんな方にオススメなのかをお伝えしたいと思う。

「Anker PowerPort Atom PD 4」 の実力を徹底検証

まずは 「Anker PowerPort Atom PD 4」 の製品の特徴について改めて紹介しよう。同製品は、最大100Wの出力に対応したマルチポートUSB充電器だ。

搭載されているポートはUSB Type-Cがふたつ、USB Type-Aがふたつの合計4口。

このうちのUSB Type-Cは、高出力規格のPower Deliveryに対応。しかもUSB-PDの最上規格である最大100W出力に対応しているため、87W出力が必要なMacBook Pro (15インチモデル) はもちろんのこと、ほぼすべてのPD対応デバイスを充電できる仕様だ。

そして、USB Type-Aは最大12Wの出力に対応。各ポートの詳しい仕様については後で詳しく紹介するが、同製品であれば大抵の製品は充電できるため、USB-PDに対応したマルチポート充電器を探しているなら、間違いなく 「Anker PowerPort Atom PD 4」 は購入の選択肢に入ってくるだろう。

入力 AC 100-240V〜, 2A, 50/60Hz
出力ポート数 USB Type-C × 2
USB Type-A × 2
出力 USB Type-C:最大100W (2ポート合計で100W)
USB Type-A:最大12W (2ポート合計で24W)
仕様 Type-C 5V/3A, 9V/3A, 15V/3A, 20V/5A
Type-A 5V/2.4A
出力合計 100W

「Anker PowerPort Atom PD 4」 は数あるUSB充電器の中でも最大クラスの大きさ (110×85×34mm) で、手のひらにはかろうじて収まるレベルだが、決してコンパクトとは言えないサイズ感だ。ただし、最大100Wの出力に対応し、同時に4台のデバイスを充電できると考えたら、むしろコンパクトとも考えることができる。

実際、MacBook Proの大きな電源アダプタとiPad Pro、iPhoneなど4つの電源アダプタを1台に集約できるとなればデスクスペースの節約も可能だ。ちなみに、USB充電器のサイズをコンパクトにする窒化ガリウム(GaN)を採用した製品が増えているが、「Anker PowerPort Atom PD 4」 は同素材を使用していない。

また、同製品はケーブルで電源を供給する仕組みを採用しており、コンセント直挿しタイプではない。これだけ大きな充電器となれば直挿しは難しいと思われるが、個人的にはコンセントを占有して欲しくないため、電源ケーブルタイプで良かったと思っている。

大きさもさることながら、重さもかなりのもの。本体重量は約30g(グラム)で電源ケーブルが約90gであるため、合計で約460グラム。文庫本3冊程度、500mlペットボトルよりも少し軽めと言えばイメージしやすいだろうか。カバンに入れても少しズッシリと重さを感じるため、普段から持ち歩くにはやや不適だろう。自宅のデスクに設置して使うのが基本となりそうだ。

同梱されてくる粘着テープとケーブルバンド

底面には充電器を固定するためのゴム足が4隅に配置されている。このゴム足と充電器自体の重みのおかげで、机の上でズリズリと動くことがない。ただし、完璧に動かないわけではないため、付属の粘着テープを使って充電器を固定することも検討しよう。

ここからは各ポートの仕様について説明していこう。

前述の通り、同製品には4つの充電ポートが搭載されており、左からふたつはUSB Type-Cポート、急速充電規格 「USB-PD (Power Delivery)」 に対応する。しかもPD規格としては最大の各ポート最大100W (合計100W) まで出力できる設計になっている。

MacBook Pro(13インチ/2018)をフルスピード充電

実際に充電してみた。まずは、筆者が普段からよく使っている 「MacBook Pro (13インチ/2018)」 を接続。テスターに表示された数字では 「19.2V / 2.93A」 だったため、約60Wの出力ができたことに。これはMacBook Pro 13インチが充電できる最大出力に近いため、MacBook Pro 13インチモデルはほぼフルスピード充電できることになる。

参考:V (ボルト) × A (アンペア) = W (ワット)

MacBook Air(2018)もフルスピード充電可能

続いて 「MacBook Air (2018)」 。MacBook Airは30Wでの充電が最大値となるため、「Anker PowerPort Atom PD 4」 の出力では余裕。こちらも難なくフルスピード充電ができることがわかった。

そのほか、MacBook Pro (15インチモデル/2018) は79W、 「iPad Pro (2018)」 は約30W、筆者が持っているUSB-PD対応デバイスの多くはフルスピード充電できることが確認できた。ちなみに、Nintendo Switchは純正ドッグに接続しない状態で約15Wで充電できた。

Type-CポートではiPhoneの急速充電が可能

また、USB-C to Lightningケーブルを使って、iPhone・iPad Proの急速充電もしてみた。iPhone XSの場合は 「8.89V / 1.57A」 と表示されたため、14W近い数字で充電できていたことになる。iPad Proの場合も大体同じくらいのスピード。やはり100Wの高出力は伊達じゃないようだ。

USB-C to LightningケーブルはAppleのMFi認証を取得したものだけが高速充電可能。当初はApple純正ケーブルだけが存在していたが、最近ではサードパーティからも同様の製品が販売されている。

iPhoneは約6Wでの充電を確認

次にUSB Type-Aについてだが、こちらは各ポート最大12W、ふたつのポート合わせて合計24Wの出力が可能だ。これらのポートにはAnkerの独自技術 「PowerIQ」 が搭載されていて、接続したデバイスを自動で判別し常に最適な電流を流すことができる。

こちらも実際に充電してみた。iPhoneを接続した際は 「4.94V / 1.23A」 の約6Wで充電できた。iPad Pro (10.5インチモデル/2017) を繋いだ時は 「5.23V / 2.29A」 の約12Wとなり、純正アダプタを接続した時に比べて早く充電できることがわかった。

iPad Pro(10.5インチ)は約12Wで充電していた

上記テスト結果から、基本的に 「Anker PowerPort Atom PD 4」 は繋いだどのデバイスも高速充電できることがお分りいただけたと思う。ただし、これはデバイスをすべて1台のみで接続した時の話。複数デバイスを接続した際の出力はやや想定外なものだった。

100Wの出力を効率よく使うことができるのか

それぞれの充電ポートの紹介をしてきたが、重要なのはここからだ。

マルチポート充電器である 「Anker PowerPort Atom PD 4」 だが、果たして複数デバイスを同時接続した時、最大100Wの高出力を活かして効率よく充電できるのか。

残念ながら、その答えは 「Yes」 でもあり 「No」 でもある。少なくとも筆者の環境では 「Anker PowerPort Atom PD 4」 の100W出力をもってしても、一部のデバイスを最大速度で充電することができなかった。

実際検証している中で気づいたのだが、ふたつのUSB Type-Cポートで複数デバイスを充電しようとした時、各USB Type-Cの最大出力が50Wに下げられることがわかった。

例えば、MacBook Pro(13インチモデル) と MacBook Air(2018) を同時に充電しようとした時。「Anker PowerPort Atom PD 4」 は合計100W出力に対応しているので、テスト前のイメージでは最大61Wに対応するMacBook Proと最大30Wに対応するMacBook Airをそれぞれフルスピード充電できると踏んでいたのだが、実際に接続してみるとMacBook Proは50W以下、MacBook Airは30Wとなり、合計で80W以下の出力となってしまった。

MacBook ProとiPad Proを同時充電すると約33Wまで出力ダウン

これはMacBook ProとiPad Pro (2018) の組み合わせでも同じ。本来は60W前後で充電できるMacBook Proなのだが、「Anker PowerPort Atom PD 4」 のType-Cポートは、複数デバイスを接続すると途端に50W以上の出力ができなくなってしまう模様。接続するデバイスの組み合わせによってはフルスピード充電ができない可能性が高い。

さらに検証を進めてみた。今度は3台同時に接続。MacBook Pro(2018)をUSB Type-Cにつなぎ、そしてiPhone 2台をUSB Type-Aに繋いでの検証だが、こちらは問題なくフルスピード充電できることを確認した。iPhone 1台を接続した時のUSB Type-C側の出力は88Wになり、2台接続した時の出力は76Wとなったため、MacBook Pro 13インチモデルであれば、3つのデバイスを同時にフルスピード充電できることがわかった。

ただし、4台のデバイスを同時接続した場合は、前述の通りUSB Type-Cの出力が50W以下に低下してしまう。検証のためMacBook Pro 1台とiPhone 3台を繋いでみたが、MacBook Pro (USB Type-C) への出力は32W程度 (19.3V / 1.70A) にまで低下してしまった。これはMacBook Pro (13インチモデル) ならなんとか充電できる数字だが、より大きな電力を使うMacBook Pro (15インチモデル) には電源としてはやや弱い。

上記の組み合わせを表にまとめると以下の通りだ。

使用ポートと充電端末 出力(W/実測値) フルスピード充電
Type-C①:MBP (13インチ)
Type-C②:MBA or iPad Pro
Type-C①:50W
Type-C②:30W
NO
Type-C①:MBP (13インチ)
Type-A①:iPhone XS
Type-C①:60W
Type-A①:5W
YES
Type-C①:MBP (13インチ)
Type-A①:iPhone XS
Type-A②:iPhone XS Max
Type-C①:60W
Type-A①:5W
Type-A②:5W
YES
Type-C①:MBP (13インチ)
Type-C②:iPhone XS Max
Type-A①:iPhone XS
Type-A②:iPhone X
Type-C①:32W
Type-C②:14W
Type-A①:5W
Type-A②:5W
NO

つまり結論はこうだ。「MacBook Proのような36W以上の出力が必要なデバイスを充電する場合は、使用するポートを減らしたほうが高速に充電できる」 。もちろん、寝ている間にゆっくり充電する場合は問題ないが、家から出かける前になるべく多くバッテリーを充電したい時は、他デバイスの充電を中断することも考えたほうがいいかもしれない。

ちなみに、この検証結果からUSB Type-Cデバイスを同時に充電するアイテムとしては、先日紹介した 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 のほうが良い結果を示すことがあることに気づいた。

「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 は2台のUSB Type-C対応デバイスを接続しても60W+30W=90Wの出力が可能だったため、MacBook Pro (13インチモデル) とMacBook AirやiPad Proを同時にフルスピード充電できた。しかし、同じ条件で 「Anker PowerPort Atom PD 4」 はMacBook Pro (13インチモデル) をフルスピード充電できないため、筆者の環境では 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 が最適という結論に。

ただし、接続するデバイスによってはこの限りではない。例えばMacBook Pro(15インチモデル) は 「Freedy 90Wマルチポートチャージャー」 ではフルスピード充電できないように、お持ちのデバイスが一体どれくらいの出力に対応しているのかによって、どちらの充電器が最適かが変わってくるはずだ。

また、「Anker PowerPort Atom PD 4」 には個人的に気になる点もある。それは充電するデバイスを抜き挿しした時に、ごく稀にUSB Type-Cに接続したデバイスがうまく充電できないことがあるという点。

以下の写真がその証拠(?)なのだが、USB Type-Cに挿したテスターの数字がゼロになっており電流の流れが逆表示になってしまっていた。実際、逆流していたわけではないと思うのだが、接続したMacBook Proのバッテリーは徐々に減少していたため、少なくとも充電が正常に行われていなかったのだろう。

この現象が起こるのはかなり稀(約10日間ほどテストしている中で3回ほど遭遇)なのでそこまで心配するほどではないと思うのだが、Type-Cデバイスを接続する際には、接続するたびに充電が正常にできているかを確認したほうが確実だろう。

まとめ:「Anker PowerPort Atom PD 4」 は最強レベルの性能。ただし、いつも最適であるとは限らない

お伝えしてきた通り、「Anker PowerPort Atom PD 4」 は最大100W出力に対応した最強レベルのUSB-PD充電器だ。

4つのデバイスを同時に充電するには、100Wの出力はとてもパワフル。たった1台の充電器で、USB-PD対応製品を含めた4台のデバイスが充電できるのは純粋に驚きでもある。きっと充電器だらけだった机の上も、これ1台でスッキリするだろう。

ただ、前述したように必ずしも 「Anker PowerPort Atom PD 4」 が最適な充電器とは限らないため、ぜひあなたの環境にぴったりのマルチポート充電器を探していただきたい。

「Anker PowerPort Atom PD 4」 は以下のリンクから購入可能。ただし、人気製品ということもあり在庫が枯渇しがちなので、同製品を購入したい方は在庫が復活するまで根気強く待つ必要がある。

【追記】2019年07月08日、Anker Japanは 「Anker PowerPort Atom PD 4」 の販売中止と自主回収を行うことを発表した。製造時の不具合を原因とする発煙の危険性があることが発覚したため。

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Anker、Soundcore、Eufy、Nebulaは、アンカー・ジャパン株式会社またはその関連会社の商標または登録商標です。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。