Apple Watch Ultra レビュー|驚異の56時間バッテリー駆動のタフネスモデル!その使い心地/性能を徹底検証

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2022年9月、Apple Watchシリーズに過酷な環境でも使うことができるタフネスモデル 「Apple Watch Ultra」 が登場した。

Apple Watch Ultraは、Apple Watch史上最大となる49mmの画面を搭載し、最大36時間という長時間のバッテリー持ちを実現したタフネスモデル。

さらにデザインも従来モデルから大きく変更され、新たにアクションボタンを搭載したり、水深40メートルのダイビング利用にも対応するなど、まさに最上位モデルにふさわしい仕様となっている。

筆者はダイビングや登山などのアクティビティをすることはあまりないのだが、とはいえ年に1〜2度の休暇で夏には海で泳いだり、冬には雪山に行ったりと多少は極地の環境に行く機会もあるため、今回のタフネス仕様はとても気になり、Apple Watch Ultraを購入してしまった。

購入から数日間、Apple Watch Ultraをずっと腕につけたままで生活してきた筆者。残念ながらエクストリームな環境下ではテストできていないのだが、一般的な使い方をする上でApple Watch Ultraを購入する意味はあるのかどうかを検証してみたので、Apple Watch Ultraが気になっている人はぜひ購入の参考にしていただけると幸いだ。

今回購入したApple Watch Ultraについて

2022年9月、Apple Watchシリーズはラインナップが一新され、エントリーモデルのApple Watch SE(第2世代)と通常モデルのApple Watch Series 8に加えて、最上位モデルとなるApple Watch Ultraが登場した。筆者が購入したのが、このApple Watch Ultraだ。

Apple Watch Ultraは、極限の環境でも駆動できる強靭さを売りにした、Apple Watchシリーズではじめてのタフネスモデル。日常利用だけでなく、ダイビングや登山、耐久レースなどをする人にオススメの機種となっている。

Apple Watch Ultraの特徴

  • 新たなデザイン
  • 史上最大の画面サイズ
  • 軽くて強靭なチタニウムケース
  • MIL-STD 810Hに準拠
  • 側面に搭載されたアクションボタン
  • 最大36時間の長時間バッテリー駆動
  • 専用文字盤「ウェイファインダー」
  • UIが赤くなるナイトモード
  • 従来より2倍明るい画面
  • 3つの内蔵マイクと適応型ビームフォーミングアルゴリズムでクリアな通話
  • 高精度2周波GPS
  • 100メートルの耐水性能
  • 水深40メートルまでのダイビング対応 (EN13319に準拠)
  • IP6X等級認証の防塵性能
  • 新しい 「水深」 アプリ
  • 新しい 「Oceanic+」 アプリ (今秋後半配信開始)
  • 皮膚温測定・水温測定センサー
  • 衝突事故検出
  • デュアルスピーカー (Series 8より40%大きい音量)
  • 86デシベルのサイレン
  • S8チップ搭載

購入の最も大きな決め手となったのが、長時間のバッテリー駆動。仕事柄、筆者は長期の出張に出る機会が多く、1〜2週間程度のホテル生活をすることがある。ホテルでは利用できるコンセントの数が少なくて、どうしてもApple Watchの充電は優先度が低くなりがち。

疲れて寝てしまい、朝気づいたらApple Watchのバッテリーが足りない!ということもよくあること。36時間 (実際はもっと駆動できる) も駆動できれば、そんなシチュエーションでも安心して使えるだろうと思ったのだ。

また、Apple Watch Series 8でチタニウムケースモデルがなくなってしまったのもApple Watch Ultraの購入を後押しするきっかけとなった。

筆者はこれまでApple Watch Series 7のチタニウムケースを使ってきたこともあり、できればチタニウムケースを継続して使いたかったからだ。同じチタニウムケースで、バッテリーが長く持つ+タフネス仕様になったApple Watch Ultraを購入しない選択肢はなかったというわけだ。

ちなみに、Apple Watch Series 8(45mm)ステンレススチールの購入を検討している人は、Apple Watch Ultraとの価格差が1.2万円である点も考慮していただきたい。安いと思うか高いと思うかは人それぞれだとは思うが、カッコいいデザイン、大きな画面、チタニウムケースが1.2万円の差額で手に入ると考えたら、予算の上乗せを検討するのはアリではないだろうか。

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デザイン:フラットな画面、アクションボタンなど新デザインに

Apple Watch Ultraは、従来のApple Watchに比べてサイズが大きくなり、新しい筐体デザインが採用されている。

ケースサイズ(本体縦幅)はApple Watch史上最大の49mmで、従来の最大サイズだった45mmよりもさらに大きくなった。

サイズが大きすぎるのではないかと心配していたが、筆者は従来から大型モデルを使ってきたこともあり、腕に着けてみるとそこまで大きな差は感じられず、ものの数時間で49mmのサイズ感に慣れてしまった。

  Apple Watch Ultra Apple Watch Series 8 Apple Watch SE
サイズ 縦:49mm
横:44mm
厚さ:14.4mm
41mmモデル
縦:41mm

横:35mm

厚さ:10.7mm

45mmモデル

縦:45mm

横:38mm

厚さ:10.7mm

40mmモデル
縦:40mm

横:34mm

厚さ:10.7mm

44mmモデル
縦:44mm

横:38mm

厚さ:10.7mm

ケース重量 61.3g 41mmモデル
・アルミニウム:32.0g
・ステンレススチール:42.3g

45mmモデル
・アルミニウム:38.8g
・ステンレススチール:51.5g

40mmモデル
・GPS:26.4g
・GPS+Cellular:27.8g

44mmモデル
・GPS:32.9g
・GPS+Cellular:33.0g

上記表で、ケースサイズ&重量を比較してみた。Apple Watch Series 8 (45mm)との違いもお分かりいただけると思う。

特に念入りにチェックいただきたいのが本体重量。Apple Watch Ultraは61.3gで、軽量なアルミニウムモデルと比べると約2倍の重量になる。ジョギングなどの軽い運動での使用がメインなら、重さの違いを顕著に感じるかもしれない。従来まで軽量モデルを使ってきた人は、まずは店頭などで重さを確認してからの購入をオススメしたい。

Apple Watch Ultraのデザインの注目ポイントのひとつは、完全に平らになった画面。従来のApple Watchは画面のエッジが丸みを帯びていたが、一方のApple Watch Ultraは端まで平らなデザインに。

画面のエッジをケースが完全に覆うデザインになったことで、従来よりも側面からの衝撃による画面割れへの耐性が強くなったものと思われる。

ケースは航空宇宙産業レベルのチタニウムから作られており、耐久性や対腐食性に優れるという。まだ耐久性の高さを実感できるようなシチュエーションには遭遇していないが、耐久レースなどでも使用できる強靭さを持っているなら、一般的な使い方をする上で大きく破損することはないはずだ。

ただし、擦れなどによる細かいキズは従来のチタニウムケースでも発生していたことから、Apple Watch Ultraも使っていくうちに発生してしまう可能性がある。細かいキズも味があって良いものだったりするが、綺麗なまま使いたい人はサードパーティー製ケースを使用も検討しておこう。

ダイビングなど海での使用を検討している人の中には、海水によるケースへのダメージを心配する人もいるとは思うが、その点は心配ご無用。筆者はこれまで何度もチタニウムケースのApple Watchを海水に浸してきたが、いずれのモデルでも腐食や故障は発生していないことから、Apple Watch Ultraも安心して使えるはずだ。

Apple Watch Ultraの本体左側面には、先代のデザインが変更されたDigital Crownとサイドボタンが搭載されている。Digital Crownは従来よりもサイズが大きくなったことに加えて、ギザギザの溝が大きくなり、ケースに埋もれるようなデザインに。サイドボタンはわずかに本体から飛び出たことで、立体的になった。

個人的にサイドボタンは従来よりも押しやすくなったが、Digital Crownは上下からしか回せなくなって少し不便になった印象。また、バンドをキツめに巻くと、Digital Crownを回したときに肌に食い込むことがあるため、これまでと同じように回すと 「痛っ!」 となってしまうこともしばしば。ただし、ダイヤルの溝が深くなったことで手袋をつけての操作はしやすくなったかもしれない。

本体右側には、新たに 「アクションボタン」 が搭載。このボタンはユーザー側である程度カスタマイズできるショートカットボタンになっていて、ワンプッシュで特定の動作をさせることができる。

たとえばワークアウトを設定すると、ワンプッシュでワークアウトアプリを開いたり、特定のワークアウトを開始することができる。毎日30分のウォーキングを日課にしているなら、アクションボタンを押したときに30分のウォーキングをスタートするよう設定しておけば、スムーズにウォーキングをスタートできる。

ウォーキングの途中、知り合いに会って少し話し込んでしまいそうだったら、アクションボタン+サイドボタンの同時押しでワークアウトを一時停止。話し終わったら、再度アクションボタン+サイドボタンの同時押しでワークアウトを再開できる。

このほかにも、アクションボタンにはストップウォッチやウェイポイント、バックトレース、フラッシュライトなどが設定可能。特定のショートカットを実行することもできるため、ワンプッシュでワークアウトを実行して音楽を再生、ということも可能だ。ウェイポイントはトレッキングや登山、ハイキングなどトレイル系のアクティビティに便利そうだ。

バンド:アルパインループ

今回筆者がApple Watch Ultraとセットで購入したバンドは 「アルパインループ」 。Digital Crownのカラーに合わせて、オレンジのものを購入した。

アルパインループは、2層のポリエステル生地が織り込まれていて、縫い目や切れ目がない1本に仕上がっているのが特徴。留め具はチタニウム製のG字フックになっていて、ポコポコと出っ張った表面のループ部分に差し込むようにして固定する。

フックはかけづらさがあり、慣れるまでは面倒に感じるかもしれないが、フックの先が内側にクイッと向いていて、ループにしっかりと固定できるので安心していただきたい。

ちなみに、Apple Watch Ultraは45mm/44mm/42mmバンドと互換性があるため、これらのバンドを買い集めていた人はそのまま使い回すことが可能だ。筆者もこれまで色々なバンドを集めてきたため、その日の気分や用途によって付け替えて楽しんでみようと思う。

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同梱物:充電ケーブルのみ

Apple Watch Ultraの同梱物は、本体と組み合わせて購入したバンドとUSB-C充電ケーブル(1m)のみ。従来までチタニウムモデルに同梱されてきたスポーツバンドは、今回は付属してこないのが残念なところ。

USB-C充電ケーブルは高速充電に対応したもので、5W以上のUSB-C PD対応電源アダプタとの組み合わせで高速充電が可能。

また、Apple Watch Ultraに同梱されているUSB-C充電ケーブルは編み込み式の頑丈なものになっていて、Apple Watch Series 8などに同梱されている通常のUSB-C充電ケーブルよりも断線の心配が少ないというメリットがある。

ちなみに、同ケーブルはApple公式サイトで単体販売されていないため、現時点で手に入れるにはApple Watch Ultraを購入するしかない。

プロセッサ:最新のS8チップ搭載

Apple Watch Ultraには、内蔵チップとして最新の 「S8チップ」 が搭載されている。ただし、S8チップの性能は先代のS7チップと同等で、さらにS7チップはS6チップとほとんど性能が変わらないことから、実質的にApple Watch Series 6から処理性能は変わっていないということになる。

とはいえ、Apple Watch Series 6の時点でも処理は高速だった上に、実際にApple Watch Ultraを触っていても処理の遅さを感じずサクサクと動作しているため、チップ性能についてはあまり気にする必要はないだろう。

ちなみに、Apple Watch Ultraと一緒に発表されたApple Watch Series 8やApple Watch SE (第2世代) は、いずれも同じS8チップを搭載している。どのApple Watchも十分高速に動作するはずだ。

画面:広々とした画面でたくさんの情報を表示

Apple Watch Ultraは、現行のApple Watchシリーズの中でもっとも大きな画面を搭載している。表示領域も1164平方ミリメートルと広く、一度にたくさんの情報を表示することが可能だ。

  Apple Watch Ultra Apple Watch Series 8 Apple Watch SE (第2世代)
解像度 
410×502ピクセル 41mmモデル
352×430ピクセル

45mmモデル
396×484ピクセル

40mmモデル
324×394ピクセル

44mmモデル
368×448ピクセル

表示領域 1164平方ミリメートル 41mmモデル
904平方ミリメートル

45mmモデル
1143平方ミリメートル

40mmモデル
759平方ミリメートル

44mmモデル
977平方ミリメートル

一応、Apple Watch Ultraの次に大きい画面を持つApple Watch Series 8(45mm)と比べるとわずかな違いしかないのだが、それでも端まで平らになった画面のおかげでより画面が広く感じられる。

左:通常時/右:常時点灯状態

Apple Watch Ultraの画面は常時表示に対応していて、わざわざ腕を上げて画面をアクティブにせずとも、アナログ時計のようにいつでも時刻を確認できる。

上記は通常時の画面と常時表示状態になった画面。常時表示状態だと秒針が消えて画面も暗くなるのだが、長針と短針は目立って見えるため、時刻を確認する分にはほぼ困ることはない。

左:通常/右:ナイトモード

また、Apple Watch Ultraのみで使用できる新しい文字盤の 「ウェイファインダー」 では、Digital Crownを回すとナイトモードになり、インターフェイスが赤色になる。暗いところで文字盤の情報が見やすくなるため、街灯が少ない暗い道などを歩くときに便利だ。

画面の明るさは最大2,000ニト(ピーク輝度)で、最大1,000ニトだった従来までのApple Watchシリーズの2倍の明るさを実現している。

左:Apple Watch Series 7/右:Apple Watch Ultra

実際にApple Watch Series 7と並べて見てみると、確かにApple Watch Ultraの画面はかなり明るく、屋外でもとても見やすくなっている。ダイビングや天気の悪い山の山頂などではこの高い輝度の画面がきっと役に立つはずだ。

Apple Watch Ultraの画面を守るカバーガラスは、サファイアクリスタルが採用されている。従来モデルから常にサファイアクリスタルを採用したApple Watchを選んできた筆者だが、画面が割れたり、キズがついたことは一度もないことから、Apple Watch Ultraの画面も割れやキズの心配はしなくてよさそうだ。

ちなみに、Apple WatchのアルミニウムモデルはIon-Xガラスという素材が使用されている。耐久性に優れてはいるものの、強度はサファイアクリスタルに劣り、利用者から「ぶつけたら傷がついてしまった」という報告を何度か目にしていることから、個人的にはサファイアクリスタルを使用したApple Watch Series 8のステンレススチールモデルか、Apple Watch Ultraの購入をオススメしたい。

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防水/防塵性能:ダイビングも楽しめるように

従来のApple Watchは50メートルの耐水性能を有していたものの、あくまでプールや海で泳ぐなどの浅瀬でのアクティビティを想定したものであり、ダイビングなどの本格的なウォータースポーツには対応していなかった。

しかし、Apple Watch Ultraはついにダイビングも楽しめるようになった。100メートルの耐水性能を持ち、新たに水深40メートルまでのレクリエーションダイビングに対応した。ダイビングの技術標準規格EN13319にも準拠しているとのことで、水没の心配なく安心して使用可能だ。

ちなみに、Apple Watch UltraはIP6X相当の防塵性能も有しており、砂漠やビーチなどの細かい砂が舞うような環境でも問題なく使用できる。色々なアクティビティのお供として、どんな場所でも活躍してくれるはずだ。

水深計測:水深アプリで水温や時間を自動計測

(画像:Apple)

ダイビングに対応したApple Watch Ultraには、新たに 「水深」 アプリが搭載されている。

同アプリは水温や時間、水深を測定できるアプリになっていて、Apple Watchが水中に入ったときに自動で起動するように設定することも可能。iPhoneの 「Watch」 アプリの一般>自動起動から設定可能だ。

現時点ではまだApple Watch Ultraと一緒にプールや海に遊びに行けていないため、実際にどのような挙動をするのかまでは確認できていないのだが、もう少しだけお待ちいただければ詳細をお伝えできるかと思う。

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Apple Watch Ultraでできること (ヘルスケア編)

血中酸素の計測

Apple Watch Ultraには血中酸素ウェルネスセンサーが搭載されており、血中酸素濃度 (血中に取り込まれた酸素レベル) を測定できる。

測定は 「血中酸素ウェルネス」 アプリから可能。Apple Watchの画面側を上に向けるようにし、腕を机の上に固定するなど手首を動かさないようにして15秒計測することで、酸素レベルが表示される。試しに筆者が測って見たところ、99%と表示されていた。

一般的な人の血中酸素濃度は95%〜99%だが、もしこれよりも低い数値が継続して出ているなら体に何らかの異常が起こっている可能性がある。早めにかかりつけの病院などに相談するようにしよう。

ちなみに血中酸素濃度は、バックグラウンド測定をオンにしていると、ユーザーがあまり動いていないときに自動で計測される。計測時にはApple Watchから赤い光が照射されるため、すぐに分かるはずだ。

心電図の計測

Digital Crown部分に搭載された電気心拍センサーを使えば、Apple Watch Ultraで心電図をとることが可能だ。

心電図をとりたい場合は 「心電図」 アプリを開き、指をDigital Crownに当てて30秒間じっと待てば記録が完了する。腕を動かしてしまうと正しく計測できないことがあるため、血中酸素の計測と同様に机などに腕を固定して計測しよう。

心電図の計測時に何らかの気になる症状があるなら、記録完了画面に表示される 「症状を追加」 から具体的な症状を一緒に記録することもできる。

記録した心電図の波形や追加した症状などのデータは、いずれもiPhoneの 「ヘルスケア」 アプリに保存される。この情報はPDFデータに書き出すことも可能で、書き出したデータをもとに診断を行ってくれる病院もあるので、もし心房細動などの病気の可能性が疑われる場合はまずはデータを持って行ってみてはどうだろうか。

心拍数の計測

Apple Watch Ultraには光学式心拍センサーが搭載されており、心拍数をリアルタイムで計測できる。

心拍数は血中酸素濃度や心電図のようにじっとしていないと計測できないというものではなく、動きながらでも計測が可能。Apple Watchを装着しているとかなり頻繁に計測されているようで、ヘルスケアアプリから1日のデータを見てみると、数分単位で計測されていることが分かる。

Apple Watch装着中に高心拍数・低心拍数が10分間続いたり、不規則な心拍リズムを検知した場合には、Apple Watchから通知が来るようになっている。この通知によって命を救われた人も多いとのことなので、Apple Watchから心拍数に関して何らかの通知がきた場合には、必ずチェックするようにしよう。

睡眠トラッキング

(画像:Apple)

Apple Watch Ultraは睡眠の計測も可能だ。睡眠計測は2022年9月に配信が開始された 「watchOS 9」 で進化を遂げており、新たに 「睡眠ステージ」 が加わった。

睡眠ステージは、Apple Watchの加速度センサーと心拍数センサーの情報を使い、レム睡眠やコア睡眠、深い睡眠、覚醒 (一時的に目覚めている状態) の状態を推定して記録する機能で、一般的に言われる 「睡眠の質」 をチェックできる。

たとえば、上記は筆者のとある日の睡眠ステージの記録。あまり詳しくはないため、このデータで睡眠の質が良いのか悪いのかは判断できないのだが、Apple Watchを腕につけて寝るだけで、こんなふうに目には見えない睡眠のステージを記録できる。日々の睡眠の改善に役立てることができるはずだ。

体温測定で生理周期

Apple Watch Ultra (とSeries 8)には、女性向けの機能として生理周期や排卵日が推測できる機能が搭載されている。

Apple Watchの裏側に搭載された皮膚温センサーで、睡眠中の手首の皮膚温を測定する。このデータを使用することで、より精度の高い生理周期を記録できるようになった。

皮膚温は基準値から0.1℃ごとの変動幅で毎晩記録できるため、生理周期の予測や生理不順や不正出血、さらには子宮筋腫などの病気の早期発見に繋げることも。

さらに、皮膚温のデータから過去に排卵が起こったと思われる日も推定でき、妊娠可能期間の予測も可能になる。妊活に励んでいる方の心強い味方になってくれるはずだ。

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Apple Watch Ultraでできること (アウトドア編)

運動トラッキング

(画像:Apple)

Apple Watchでは、GPSや心拍センサーを利用してユーザーの運動量を計測することができる。

運動を記録したい場合は 「ワークアウト」 アプリから可能。もしくは、ウォーキングなどの一部のワークアウトは自動検出にも対応していて、ワークアウトを選択せずに運動を始めても、おおよその開始時点まで遡っての計測が可能だ。

記録した運動量は、「アクティビティ」 アプリから確認できる。アプリでは1日ごとの記録はもちろん、長期的な傾向も確認できるため、筋トレなどのトレーニングやダイエットに活かすこともできるはずだ。

記録できるワークアウトはwatchOSのアップデートによって増えており、こちらのページから確認可能。

ちなみに、watchOS 9ではワークアウトアプリのアップデートにより、「心拍数範囲」 でワークアウトの強度をモニタリングできるようになったり、トライアスロン選手のために 「マルチスポーツ」 という新たなワークアウトに対応し、スイミングやサイクリング、ランニングの一連のワークアウトが自動で切り替わるようになった。

コンパス

Apple Watchにはコンパス機能が搭載されており、Wi-Fiやモバイル通信に接続されていなくても、Apple Watchが向いている方角や現在の位置、高度を確認できる。

コンパス機能は 「コンパス」 アプリから利用できる。Apple Watch Ultraの場合は高精度2周波GPSに対応するため、従来までのApple Watchよりも正確な位置情報を取得可能だ。

高精度2周波GPSについてはiPhone 14 Proのレビュー記事で検証を行ったが、従来のGPSに比べて精度が向上していることが確認できた。

また、Apple Watch Ultra専用の文字盤 「ウェイファインダー」 では、外側の円 (数字が表示されている部分) をタップすることで、時刻の表示をコンパスに切り替えることができる。パッと位置情報を確認したいときに便利だ。

通話・トランシーバー機能

Apple Watchは、iPhoneにかかってきた電話をApple Watchで受けて通話できたり、GPS+Cellularモデルなら、1つの電話番号をiPhoneとApple Watchで共有できるプランを通信キャリアで契約することで、iPhoneを持たずに行動していてもApple Watch単体で通話が可能だ。

また、「トランシーバー」 アプリを使えば、ワンタップで家族や友人とトランシーバーのように連絡を取り合うことができる。操作は本物のトランシーバーのように、ボタンを長押ししている間に発言し、話し終わったらボタンから指を離すことで相手に自分の声が届く仕組みだ。

Apple Watch Ultraは、3つの内蔵マイクを搭載したことで音声通話の品質が向上しているほか、適応型ビームフォーミングアルゴリズムにより、風の音などを低減して鮮明な音声を相手に届けてくれる。海辺など風の強い場所でも快適に通話することが可能だ。

ダイビング

(画像:Apple)

Apple Watch Ultraは従来モデルよりも耐水性能がアップしており、水深40メートルまでのダイビングに対応した。

新たに搭載された 「水深」 アプリを使えば、時刻や現在の水深、水温、水中の時間、最大水深などが確認できる。同アプリはApple Watch Ultraが水中に入ったときに自動起動するよう設定することも可能だ。

今秋後半には、レクリエーショナルダイビング器材の開発で知られるHuish Outdoorsとのパートナーシップから生まれた 「Oceanic+」 アプリの配信も開始される予定。同アプリはBühlmann減圧アルゴリズムを実行し、ダイブプランやダイビング指標、視覚と触覚のアラーム、減圧不要限界、浮上速度、安全停止ガイドなどの機能を備えているとのこと。

サイレン

Apple Watch Ultraには、86デシベルの大音量でサウンドを鳴らすサイレン機能が用意されている。道に迷ってしまったり、ケガをして動けなくなったなどの緊急事態に陥ったとき、自分の居場所を誰かに知らせるのに活用できる。

サイレンは2つのパターンが用意されていて、1つ目は遭難を知らせるもの、2つ目は一般的にSOSを求めるときに使用されるパターンを模したものであるという。実際に開けた場所でサイレンを鳴らしてみたところ、遠くまで音が反響していることが確認できた。

サイレン機能は、アクションボタン長押しで表示されるメニューの一番上にある 「サイレン」 ボタンを右スライドすることで利用できる。アクションボタンを長押しして、かつ項目を右スライドしなければ音はならないため、誤操作の心配はほとんどいらないはずだ。

ちなみに、遭難などで使用するだけでなく、街中では痴漢や暴漢などと遭遇したときの防犯ブザーの代わりにも使えそうだ。音はかなり大きく周囲に人がいれば異常が起きていることには気づいてもらえそうなので、緊急通報機能とあわせて活用したいところ。

Apple Watch Ultraでできること (日常生活編)

Mac・iPhoneのロック解除

(画像:Apple)

Apple Watchには、MacやiPhoneのロックを解除する機能が搭載されており、Touch IDやFace IDの認証をせずとも画面ロックを解除したり、パスワードの入力ができる。

Apple Watchによるロック解除機能は、MacやiPhoneと同じApple IDでiCloudにサインインした上で、Macはシステム環境設定の 「セキュリティとプライバシー」 から、iPhoneは設定アプリのFace IDとパスコード内にある 「Apple Watchでロック解除」 という項目から、ロック解除に利用したいApple Watchをオンにするだけだ。

普段からApple Watchをつけて行動しているなら、MacやiPhoneのロック解除がとても快適になるのでオススメ。

音楽再生

iPhoneで音楽を再生しているとき、ペアリングしているApple Watchがあれば、iPhoneを使うことなくApple Watchの画面で音量調整や曲送り・曲戻しなどの操作ができる。

また、Apple WatchとAirPods Proなどのワイヤレスイヤホンを直接接続すれば、iPhoneを介さずとも音楽を聴くことができる。Apple Watchの本体ストレージに保存してある音楽はもちろん、GPS+Cellularモデルならモバイルデータ通信を利用してApple Musicの楽曲を聴くことも可能だ。

Apple Pay・Suicaの利用

(画像:Apple)

Apple Watchは 「ウォレット」 アプリにクレジットカードやSuicaなどの交通系ICを登録しておくことで、Apple Pay経由で支払いをすることができる。

ウォレットアプリはApple Watchのサイドボタンの2回押しで開くことができ、上下スワイプで支払いに使用したいカードを選んで読み取りリーダー部分に近づければ、一瞬で支払いを完了できる。財布やiPhoneが取り出しにくいときに便利だ。

Suicaなどの交通系ICは 「エクスプレスカード」 として登録しておけば、わざわざウォレットアプリを開かずともApple Watchを改札の読み取りリーダーにかざすだけで支払いを完了できる。よく使うカードはエクスプレスカードに登録しておこう。

ただし、駅の改札は右側に読み取りリーダーがあり、左腕にApple Watchをつける人は通り抜けるようにスムーズに改札を抜けられないのが残念なところ。Apple Watchを右腕につけるようにするか、iPhoneのエクスプレスカードを使った方がスムーズかもしれない。

日本語キーボード

Apple Watchには、文字を打つためのフルサイズキーボードが用意されている。Apple Watchでタイプする必要があるかどうかはともかくとして、Apple Watchの画面からメッセージを送ることが可能だ。

さらに、watchOS 9では日本語キーボードも導入されている。日本語のキーボードはフリック入力が利用でき、慣れている人であればサクサクと文字を入力することが可能だろう (筆者はフリック入力はしないので、あまり早く打てない) 。

Apple Watch Ultraは画面が大きく、さらにフラットなため従来のApple Watchに比べて入力しやすくなっているはグッドなポイントかもしれない。

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バッテリー持ち:驚異の56時間

Apple Watch Ultraは、「長時間のバッテリー駆動」 がひとつのアピールポイント。Appleは 「2日以上使えるバッテリー」 とアピールしており、最大36時間の駆動が可能だと言う。

果たして実機はどれほど長く駆動できるのか。実際に計測してみた。

計測は、バッテリーをフル充電してから、Apple Watch Ultraを腕に装着して時間経過とともにバッテリーの残量をチェックするというもの。ディスプレイは常時表示状態にして、ディスプレイ輝度は最大にして、通知など基本的な機能はすべてONにして計測した。セルラー通信はOFF。

結果は以下のとおり。比較対象として、以前計測したApple Watch Series 7やApple Watch Series 6のバッテリー残量の推移も掲載している。

経過時間 バッテリー残量
Apple Watch Series 6 Apple Watch Series 7 Apple Watch Ultra
0時間 100% 100% 100%
6時間 81% 75% 90%
12時間 57% 52% 80%
18時間 34% 29% 69%
24時間 11% 6% 59%
30時間 47%
36時間 36%
42時間 28%
48時間 18%
54時間 8%
56時間 0%

これまでのApple Watchは、最大18時間のバッテリー駆動が可能とされ、筆者の検証では実際のところ24時間駆動できることが分かっているが、Apple Watch Ultraはその2倍以上となる56時間。32時間多く駆動できることが明らかになった。

これだけもてば、BBQやキャンプなどのアウトドアはもちろんのこと、山小屋やテントに泊まりながら複数日にまたがって行う本格的なトレッキング/登山などにも十分に役立てるはずだ。

もちろん毎日充電するのが面倒な人でも、Apple Watch Ultraなら2日に一度ペースの充電で済むようになるため、これまでバッテリー持ちを理由に手放してきた方も再チャレンジしても良いかもしれない。

高速充電:約2時間でフル充電可能

Apple Watch Ultraはバッテリー持ちが長くなったものの、その分バッテリー容量も増えているため、バッテリーの充電に時間がかかりがち。そこで活用したいのが高速充電だ。

Apple Watchの充電ケーブルといえば、従来まではUSB-A端子のものが販売されていたが、Apple Watch Series 7から同梱されるようになったUSB-C端子のケーブルを使うことで、従来よりも高速にApple Watchを充電できるようになった。

Apple Watch UltraにはUSB-C端子のケーブルが付属してくるため、5W以上のUSB-C 充電器と組み合わせて使うことで高速充電を利用可能だ。

実際に高速充電を利用すると、どれほどのスピードで充電できるのか。Apple Watch Ultraのバッテリー残量を0%まで減らし、そこから急速充電で充電してみた。

経過時間 バッテリー残量
Apple Watch Series 7 Apple Watch Ultra
0:00 0% 0%
0:30 51% 29%
1:00 80% 53%
1:30 100% 77%
2:00 100% 100%

上記がその結果で、充電開始から30分で29%まで充電でき、その後も充電をし続けたところ、約2時間後でフル充電することができた。

比較対象としてApple Watch Series 7(45mm)の計測結果も掲載しているが、やはりApple Watch Ultraはバッテリー容量が多いからか、充電に時間がかかる印象だ。長時間バッテリーを過信しすぎず、足りなくなりそうなら早めの充電を。

まとめ:Apple Watch Ultraはどんな人にオススメ?

Apple Watch Ultraは過酷な環境下でも使用できることを謳ったタフネスモデルではあるものの、驚異のバッテリー持ちやスムーズにワークアウトを開始できるアクションボタンなどがもたらす便利さは、高い山や海などから遠く離れた日常でも大いに感じることができたように感じている。

特に筆者が嬉しかったのがバッテリー持ちの向上。これまでのApple Watchシリーズは毎日充電する必要があったが、筆者の計測では2日以上も充電なしで使い続けることができたことから、バッテリーが充電できない環境でも安心して使えるようになったと言えるだろう。

唯一の欠点はサイズが大きいことだとは思うが、45mmモデルを使ってきた筆者はわずか数時間で慣れてしまったことから、使っていれば自然と馴染んでいく人が多そうだ。サイズについてはあまり心配する必要はないと思われる。

また、フォルムはややアウトドア向きではあるものの、アクションボタンをシャツの内側に隠れるようにして、革バンドなどをあわせて使用すればビジネスユースでも使えなくはないだろう。

以上を踏まえると、Apple Watch Ultraは筆者としては 「買い」 のモデルだと思う。特に今年はまったく新しいモデルとしてApple Watch Ultraが登場したことから、過去のApple Watchシリーズを使ってきた人たちの買い替え対象にピッタリ。最上位モデルということで価格は高めだが、チタニウム製のケースで見た目もカッコ良く、高級感もあるため、きっと満足のいく買い替えになるはずだ。

ちなみに、今年はApple Watchシリーズの全ラインナップがアップデートされており、エントリーモデルのApple Watch SE(第2世代)、通常モデルのApple Watch Series 8も登場している。これらのモデルとの違いを比較したい場合は、以下の比較記事をご確認いただきたい。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

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