MacのARMベース化計画、2025年までに完了か。第1弾は12インチMacBook、バタフライキーボードとともに復活?

AppleはMacのプロセッサをIntelのものからARMベースの独自カスタムチップに変更する計画と報じられている。この移行計画は順調に進んでおり、今月22日に開催されるWWDC20で計画の一部詳細を発表する予定とも伝えられている。

このARMベースの独自チップを搭載したはじめてのMacは12インチMacBookになると噂。一度廃止された小型モデルだが、ARMベースプロセッサと同時に復活する可能性がある。

これらに噂に関して、著名リーカーのひとりであるFudge(@choco_bit)氏が13日、自らの持つ情報とそれに基づく予想を発表した。Fudge氏によれば、Appleは2014年から2025年までの最大11年をかけてMacのARMベース化を成し遂げようとしている。

  内容 時期
第1段階 ARMベースMacへの移行準備開始。まずはMacBook ProにT1チップを搭載。 2014/2015年 〜 2017年
第2段階 T1チップをT2チップにアップグレード。ここまでがARMベースMacへの移行における重要ステップ。 2018年 〜 現在
第3段階 いよいよIntelからARMへの移行開始。手始めに12インチMacBookがARMベースに。 現在/2021年〜 2022/2023年
第4段階 全MacのARMベース移行完了。 2023年 〜 2025年

同リーカーがRedditに投稿した情報では、AppleはMacのARMベース化を2014年(もしくは2015年)からスタートさせていたとのこと。

ARMベース化は大きく分けて4段階のステップに分かれていて、その第1弾は、MacBook Proに搭載されたT1チップだったという。

MacのARMベース化への第1ステップ

AppleがMacのARMベース化への第1ステップとして行ったのは、「MacBook Pro (2016/2017) 」 へのT1チップの搭載。

このチップはARMベースで開発されたカスタムチップで、主にMacBook ProのTouch IDの制御、セキュリティの向上を目的として従来のSMC(システム管理コントローラー)を置き換えるかたちで搭載されていたが、このチップは上記のためだけでなく、Macのパフォーマンス・電力消費に関する課題を調査・分析するためのデータ蓄積を行うなど、将来的にARMベースのチップを搭載するにあたって重要な役割を果たしていたという。

ステージ1に関しては、特に大きな問題はなかったとのこと。「MacBook Pro (2016)」 の発売当初はいくつかのファームウェアの問題があったが、それらもソフトウェアのアップデートで更新され、修正されていったという。

また、Intelとのプロセッサの供給に関する問題も指摘されている。AppleはIntelとプロセッサの供給で長期契約を結んでいたため、MacにIntel以外のプロセッサを搭載すると契約違反をしてしまうリスクがあった。T1チップやのちのT2チップはそれらを考慮して搭載されていたのかもしれない。

MacのARMベース化への第2ステップ

Appleが第2ステップとして行ったのは、MacBook ProへのT2チップの搭載。T2チップはiPhone 7に搭載されていたA10チップを改良したもので、先代のT1チップにくらべて性能が強化されている。さらにハードウェアのセキュリティ強化も行われるなどの改良も施された。

同チップはMacBook Proに留まらず、現在ではMacBook AirやiMac Pro、Mac Pro、Mac miniなどに搭載されるようになった。

これらのデバイスにT2チップを搭載することで、AppleのエンジニアリングチームはARMベース化に向けたハードウェアとソフトウェアに関するデータをより収集できるようになり、ステップ3のARMベースプロセッサの実搭載に向けた準備が整っていくことになる。

MacのARMベース化への第3ステップ

12-inch-macbook_3

第3ステップは、いよいよMacにARMベースプロセッサを搭載していく段階。ここからはこれから起こる話になる。

まず既報のとおり、Appleは今月22日(日本時間23日)からはじまるWWDC20の基調講演で、MacのARMベース化計画を発表する。

そして近い将来、12インチMacBookが発売されるとのこと。同デバイスにはA14Xをベースに開発したMac用の8〜12コアプロセッサを搭載するという噂だ。また、これまで故障など問題が多発していたバタフライ構造キーボードがふたたび搭載される可能性があるとのこと。これらは以前にも報じられていた内容だ。

また、ついにMacもモバイルネットワーク通信に対応する可能性があるようだ。Fudge氏は5Gセルラー通信を12インチMacBookがネイティブサポートする可能性に言及している。今後のMacはiPhoneのテザリングや、公共のWi-Fiサービスを利用せずとも通信できるようになるかもしれない。

このMacのARMベース化計画は12インチMacBookからはじまり、2022〜2023年には他のMacもARMプロセッサが搭載されていくとFudge氏は予想する。他のMacとはおそらくMacBook ProやiMac、iMac Pro、Mac Pro、Mac miniなどだろう。

MacのARMベース化への第4ステップ

プロセッサのARM化が完了し、安定的なパフォーマンスを提供できるようになった段階が第4ステップ。これまである意味当たり前だった “ソフトウェアとハードウェア間の問題” (自社製アプリでさえも正常動作しないこともあった) は、自社製チップの導入によって各ハードの発売直後でもついに快適に動作するようになるのではないだろうか。

この段階に到達すれば、AppleはGPU(グラフィックス)についても自社製のものを搭載できるようになるのではとFudge氏は言及する。ただし、AppleがAMDのグラフィックスを今後搭載するつもりなのか、それともA11以降の自社グラフィックソリューションを使用するのかについては現時点では不明としている。

おそらく多くのユーザーが気になっているBootCampについてもFudge氏は言及している。

同氏によれば、やはりARMベースのプロセッサを搭載したMacではBootCampは正常に動作しない可能性が高いという。BootCampはARM版Windows 10と互換性のあるバージョンが開発されているものの、Intelプロセッサ向けに開発されたx64(64ビット)アプリを動作させることはまだできていないとのこと。

MicrosoftもARMベースのSurfaceでx86_64をエミュレートする実験を行なっているが、こちらもうまくいっていない模様。少なくとも初期段階ではUWPアプリ以外は動作しない可能性が高く、WindowsがARMベースのプロセッサのアーキテクチャーとの親和性が高くなるまではBootcamp自体が放棄される可能性があるとしている。

AppleがARMベースプロセッサをMacに導入する理由

そもそも、なぜAppleはIntelからの脱却を試みているのだろうか。その理由はいくつかあるとみられている。

まずはMacの投入タイミングを自分たちでコントロールしやすくなること。これまでIntelのプロセッサの製品スケジュールに合わせて新型Macを発表していたが、独自でカスタムチップを開発すれば今後は他社スケジュールに左右されることは少なくなる。

また、Appleのプロセッサ開発チームは非常に優秀。性能の高く、効率の高いプロセッサを作ることに長けているため、Macの性能をさらに強力なものにできる可能性がある。すでにARMベースチップはiPhoneやiPad、Apple TVなど複数の製品に投入されているが、これらの製品に搭載されているチップは高性能かつ効率が良いもので、OSとの親和性も高い。

さらにプロセッサを独自開発することでコストを圧縮することができる可能性もある。こうした変化をもたらすことができるのであれば、AppleがIntelプロセッサに別れを告げようとしていても何ら不思議ではないだろう。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

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