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【レビュー】「iPhone XS Max」が生まれた意味を考える 新デザインiPhoneが本格普及なるか

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昨年、Appleは「iPhone」からホームボタンを排除し、端末いっぱいに画面を広げた「iPhone X」を発売した。

発売当時こそ、「ノッチのデザインがカッコ悪い」や「Touch IDがなくなって不便」「マスクを着けた状態では画面ロックができない」などネガティブな意見もチラホラ見受けられたiPhone Xだが、発売からかれこれ9ヶ月ほど経過した今となっては、それなりに世間に受け入れられるようになったと思う。街を行き交う人々が手にしているスマホを見ていると、iPhone Xを見ない日はない。それほどメジャーな端末になった気がしている。

そして、今月21日に登場したのがiPhone Xの次世代モデル「iPhone XS」。同時にその大型モデル「iPhone XS Max」が発表された。

「iPhone XS」 「iPhone XS Max」は、新型プロセッサ「A12 Bionic」の導入によって性能が向上。もちろん、「iPhone XS Max」の場合は端末サイズが一回り大きくなっている。

また、新たにゴールドモデルが追加されるなど、カラーバリエーションにも変化が加えられ、シルバー・スペースグレイで靡かなかったユーザーを獲得することができるようになった。

筆者は今回、初登場の大型モデル「iPhone XS Max」を購入した。カラーはもちろん新色ゴールド。Appleが最も推している最新端末を隅々まで紹介しようと思う。

また、購入から3日以上が経過し、徐々に「iPhone XS Max」の良いところや悪いところも分かってきた。そもそもなぜAppleは再び大型モデルを投入しようと思ったのか、その「意義」についても簡単に考察していきたいと思う。

※今回のレビュー記事は「iPhone XS Max」をベースに書いているが、しかし「iPhone XS」と「iPhone XS Max」の間には画面サイズや端末サイズ以外に違いはほとんどないため、「iPhone XS」の購入を検討している人もぜひ読み進めていただければと思う。

美しいゴールドが目を引く「iPhone XS Max」、デザイン変更はほぼ無し

「iPhone XS Max」の蓋を開けた時の第一声は「デカイ……!!」。つい数日前まで使っていた「iPhone X」も開封当初は画面が巨大でビックリしたものだが、今回はさらにひとまわり大きい。ブラウザを開くときもメールを確認するときも、6.5インチの大画面でダイナミックに情報が伝わってくる。

ただし、この見た目に騙されてはいけない。iPhone XS Maxは手にしっかりと収まるサイズ感になっており、実際に触ってみると予想以上に持ちやすい。片手で握って持つこともできるため、個人的にはかなり気に入っている。

本体サイズが大きくなると、重量も増す。iPhone XS Maxの重量は208グラムと歴代最重となっている。これまで重量級チャンピオンだった「iPhone 8 Plus」でも202グラムだったため、「iPhone XS Max」はこれまでの重量レコードを6グラム更新してしまった。

手に持った時の感覚はズッシリ。カバンに入れて歩いても結構な重量感があるため、スマートフォンの重さを気にしている方は注意が必要だ。

開封時には「デカイ」という感想が先行したが、実際に手に持ち端末を眺めていると、今度は「美しい」という気持ちが出てくるようになった。「iPhone X」でも全面ディスプレイの美しさは感じていたが、「iPhone XS Max」は画面が大型化したことでさらに美しさが増大。また、ゴールドモデルは角度を変えることで側面のゴールドがキラキラと輝き、光の当たり具合によっては背面のゴールドも様々な表情を見せる。シルバーやスペースグレイにはない美しさに、すっかり虜になってしまった。

昨年の「iPhone 8 / 8 Plus」にもゴールドモデルは存在したが、その時のカラーは淡いゴールド、ややベージュに近くお洒落目なものだった。しかし、「iPhone XS / XS Max」のゴールドはどちらかというとゴージャスもしくはエレガントに近い。ややくすみがかったゴールドで、端末全体に「落ち着き」を与えている。

端末のエッジ部分ももちろんゴールド。キラキラと輝くゴールドのステンレススチールになっており、背面のくすみがかったゴールドと相まって、とてもリッチ感のある端末に仕上がっている。

筆者はこれまでスペースグレイのiPhoneを好んで使ってきたが、今回のゴールドカラーにはとても魅力を感じていたので、本当に買って良かったと思っている。

端末の背面は全面ガラスパネル仕様。この全面ガラスのおかげで、背面はしっとりとした質感になっておりとても高級感がある。また、見た目だけでなく実用的な作りにもなっていて、端末側面のステンレススチールと背面ガラスのしっとりとした手触りのおかげで、片手で持った時のグリップ感が結構ある。

端末が大きいため「iPhone XS Max」の場合は片手で持つことは難しいかもしれないが、「iPhone XS」の場合は使い心地が良いだろう。実利と見た目の両方を兼ね備えた良い端末になっている。

おもて面は全面ガラスのベゼルレス仕様。画面上部にはノッチ(切り欠き)があり、ここにカメラ・センサー群(TrueDepthカメラ)が配置され、顔認証機能「Face ID」を利用可能にしている。

「iPhone XS Max」の画面サイズは6.5インチ(解像度は2,688 × 1,242)。大きさ的にスマートフォンというより、スマホとタブレットの間の「ファブレット」に近いかも。

画面は「iPhone X」と同じく有機ELディスプレイとなっており、従来の液晶画面に比べるとよりハッキリとした描画が可能だ。また、有機ELディスプレイは黒の表現に長けているおかげで、黒の壁紙を使うことで端末上部のノッチを目立たなくすることができる。

背面左上にはデュアルレンズカメラが搭載。iPhone Xの時と同じくふたつのレンズでLEDフラッシュを挟む構造になっている。カメラは本体から直角に出っ張るようになっており、「iPhone 6」から続くカメラ出っ張り症は今後も続くようだ。ちなみにカメラの出っ張りは、iPhone Xの頃よりも数ミリ程度増えている。

端末側面にあるサイドボタンや音量調節ボタン、ミュートスイッチは前モデルの「iPhone X」とほぼ同じ仕様。変化があったとすれば、端末下部のスピーカー穴が減らされ、代わりにアンテナラインが追加されているということ。このアンテナラインのおかげで左右対称デザインではなくなってしまったのが少し悔やまれる。

ただし、細部にまでこだわりを持つAppleが自ら左右対称デザインを犠牲にしたということは、この新デザインにもきっと意味があるのだろう。

これはおそらく、ギガビット級のLTE通信に対応するための変更だったとみられる。Wi-Fi環境のない場所で通信する際、高速な通信環境が利用できるはずだ。

イヤホンジャックはこれまで通り存在しないため、従来のイヤホンは使用することができない。iPhoneで音楽を聞くにはワイヤレスイヤホンもしくはLightningイヤホンを使用する必要があるが、Lightningイヤホン(EarPods)は今年も同梱されており、それを使うことで有線で音楽を聴くことが可能だ。

ただし、これまで同梱されていた「Lightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」が今年から同梱されなくなっているため、Lightningイヤホン以外の有線イヤホンを使用する場合は別途アダプタを購入する必要がある。初めてイヤホンジャックのないiPhoneを買う場合は注意が必要だ。Apple公式サイトでの販売価格は1,000円(税別)となっている。

以上が「iPhone XS Max」のデザインについて。「iPhone X」から端末サイズは大きくなったものの、大幅なデザイン変更がないことがお分かりいただけただろうか。ただし、細かい部分には変更も加えられており、完全に同じデザインではないことも確認できる。

Appleは新型モデルの開発にあたって、デザインの調整を行なっていたわけだ。まさに「S」系アップデートらしい変化になっている。

顔認証の速度が改善

ここからは機能面の話をしていきたい。

まずは、「iPhone X」からお馴染みとなった顔認証機能「Face ID」について。Apple曰く、同機能は「iPhone XS」シリーズで処理が高速化しており、これまでより早く端末ロック解除ができるようになっているという。

ただし、どれほど処理が高速化しているのか実機で検証してみたのだが、筆者の持っている「iPhone X」と「iPhone XS Max」では認証速度が変わっているとは思えなかった。

おそらく、これはハードウェアのアップデートではなく、iOSのソフトウェアアップデートによって実現しているのではないかと思う。そのため、「iOS 12」をインストールすることでiPhone Xも顔認証が高速化している可能性がありそう。

実際、「iOS 12」をインストールしていない友人の「iPhone X」と比べてみたところ、iPhone XS Maxの方がわずかに認証速度が早くなっていることが確認できた。ただ、その差もわずか0.1~0.5秒程度の違いなため、あまり気にするほどの性能差ではないだろうと思う。

「アニ文字」を使っている様子

認証精度については特に変化なし。筆者の場合はiPhone Xの頃から認証精度には困ってなかったのだが、一部のユーザーからは認証できないケースがあると聞いていたため、改善されることを期待していた。しかし、iPhone XS Maxになったからといって認証精度に違いがあるようには思えなかったため、もし「iPhone X」で顔認証がうまくできない人でも買い替える必要はなさそうだ。

ちなみに、「iOS 12」からは顔をふたつまで登録できるようになっているので、家族や恋人の顔を登録しておけば、本人でなくても開けることができるようになる。これは便利。

「音の広がり」が感じられる新スピーカー

「iPhone XS」シリーズでは、搭載されているスピーカーの仕様が若干変更になっている。端末仕様を読んだ方はすでに気づいているかもしれないが、「iPhone X」のスピーカーは単に「ステレオ再生」となっていたのに対し、「iPhone XS / XS Max」に搭載されたスピーカーは「よりワイドに広がるステレオ再生」となっている。

今回筆者は両者の違いをチェックすべく、「iPhone X」と「iPhone XS Max」で同じ音量で同じ音楽を再生。どれほどワイドになったのかを調べたところ、「iPhone XS Max」の方が音に広がりがあるように感じた。

しかし、その差はほんの微々たるもの。音に敏感な筆者はすぐに気づいたが、隣にいた友人は「ほとんど変わらない」と話していた。また、iPhoneにイヤホンやヘッドホン、スピーカーを繋げて音楽を流すことが多く、直接iPhoneから音を出す機会が少ない人は、そこまでの違いは感じられないかもしれない。

スピーカーは良いに越したことはないが、購入の決め手となるほどのインパクトはないと個人的には感じている。スピーカーの良し悪しで購入を決定する人はほとんどいないとは思うが、一応参考までに。

バッテリー持ち・ワイヤレス充電・急速充電機能

iPhone XS / XS Max」は、「iPhone 8 / 8 Plus」「iPhone X」と同じくワイヤレス充電ができるようになっている。対応する最大出力も7.5W(ワット)と変わらず。ただし、充電器側が7.5W出力に対応していることが必須となるため、最大速度でワイヤレス充電する場合は7.5W出力への対応を謳っている製品を購入する必要がある。

また、最近のiPhoneはワイヤレス充電だけでなく高速充電も利用できる。高速充電するには「Apple USB-C – Lightning ケーブル」と「29W以上のUSB-C電源アダプタ」が必要になるが、これを活用するとiPhoneを30分で最大50%まで高速充電することができる。

筆者の購入した「iPhone XS Max」でも高速充電が利用できることは確認できた。充電速度についてはまだ検証中なため確実なことは言えないのだが、わずか20分程度で40%弱のバッテリーを回復することができたため、1時間~2時間もあればフルまでバッテリーを充電することができるのではないだろうか。

また、スマートフォンにとっては重要な「バッテリー持ち」についても改善が見られた。Appleによると、「iPhone XS」は最大30分、「iPhone XS Max」は最大1.5時間ほどバッテリー駆動時間が延びたという(iPhone Xとの比較)。

実際、その変化は筆者も感じている。例えば、一日中スマホを使いながら街中を歩いていると、iPhone Xであれば夕方にはバッテリーがなくなっていたのが、iPhone XS Maxであれば夜まで持ち堪えられる。

もちろん、使い方や頻度によってバッテリー持ちは大きく変わってくるが、筆者の生活スタイルでは途中でバッテリーを充電する必要性はかなり減ったと言える。

1日のどこかで電源のあるカフェなどに入った時に充電できれば間違いなくバッテリー切れに遭遇する機会はないだろう。もしかしたら、日によってはモバイルバッテリーを持ち歩く必要もなくなったかもしれない。

カメラ性能(スマートHDR)

カメラ性能の話をする前に、まずは「iPhone XS」と「iPhone XS Max」のカメラ性能の違いについて説明を。結論から言うと、今回はどちらを選んでもデュアルレンズカメラになっており、その性能は一緒だ。

これまでのシリーズでは、例えば「iPhone 8」シリーズでは通常の「8」はシングルカメラが、「8 Plus」はデュアルレンズカメラが搭載されるなど、大型モデルに優秀なカメラが搭載されていたため、クオリティの高い写真を撮りたいなら大型モデルを選ぶ必要があった。

しかし、今回はどちらもデュアルレンズカメラ、さらには性能も同じであるため、カメラの性能を重視するとしても強制的にモデルが限定されてしまうことはない。「本当はコンパクトな方がいいんだけど、優秀なカメラは譲れない」という方も、今回は安心して「iPhone XS」を選んでいただいて大丈夫だ。

さて、それではカメラ性能について詳しく説明していこう。今回搭載されたカメラは、前モデルの「iPhone X」に比べてより高度なセンサーや高度なアルゴリズムによる「スマートHDR」での撮影が可能になり、よりクオリティの高い写真を撮影できるようになった。

例えば、以下の写真を見ていただきたい。左がiPhone X、右がiPhone XS Maxで同じ場所で撮影したものなのだが、iPhone Xの方は全体的に白っぽくなってしまっているのに対して、iPhone XS Maxの方はくっきりと見やすい写真になっている。

また、夜の写真もこの通り。光が少ない場面での写真も、スマートHDRにかかれば綺麗に撮影するいことが可能だ。

(写真は出張先の青森市で撮影。ちょうどお祭りもやっていて活気に溢れたいい街でした)

上記写真を比較していただければ分かると思うのだが、逆光や光が少ない場所での撮影など、光の処理が難しい撮影シーンでは、スマートHDRは重宝する機能であると感じた。

ただし、劇的に変わったかと聞かれると「そうでもない」というのが正直なところ。「iPhone X」で撮影した写真も、他のスマートフォンで撮影した写真に比べればかなりのクオリティだったため、カメラ性能を気にして「iPhone X」から「iPhone XS」シリーズに乗り換える必要はそこまでないと個人的には感じている。

ランドスケープモード

iPhoneには本体を横向きにすると、画面表示が横向きに切り替わる「ランドスケープ(横向き)モード」という機能が搭載されているが、今回発売した「iPhone XS」シリーズでもこれは健在だ。

さらに大型モデルの「iPhone XS Max」に限り、専用ユーザーインターフェイスが表示されるようになっている。実機でチェックしたところ、「メッセージ」「メール」「連絡先」「天気」「メモ」などの純正アプリがランドスケープモードに対応しており、いずれのアプリも使いやすくなっていた。画面の大型化の恩恵と言えるだろう。

ただし、「iPhone 7 Plus」や「iPhone 8 Plus」などの「Plus」モデルで利用できたホーム画面のランドスケープモードは残念ながら利用不可。昨年発売された「iPhone X」でもホーム画面を横向きにすることはできなかったが、これはおそらく「Face ID」が縦向きで使うことができないからだろうと筆者は個人的に想像している。

とはいえ、大きな変化があるわけではないためランドスケープモードを多用しないユーザーにとっては特に問題はないとは思うのだが、ホーム画面のようにこれまで「Plus」モデルで使えたものが「iPhone XS Max」では使えないなど、これまでのUIに慣れ親しんだ人にとってはやや違和感を感じることになるかもしれない。新型モデルへの乗り換えを検討している方は少しだけ注意いただければと思う。

ベンチマークスコア

「iPhone XS / XS Max」には、「A12 Bionic」という新型プロセッサが搭載されている。Appleによると、「A12 Bionic」は初めて7nmプロセスルールで製造されており、前モデル「iPhone X」に搭載されていた「A11 Bionic」から最大15%処理能力が向上しているほか、GPU性能が50%向上しているという。これらが事実かどうか検証するため、今回のレビューでは実機でベンチマークを計測してみた。

ベンチマーク結果は以下。ベンチマークはiOSアプリ「Geekbench 4」で計測した。

ベンチマーク結果
  iPhone X Phone XS Max
搭載プロセッサ A11 Bionic A12 Bionic
シングルコアスコア 4,245 4,816
マルチコアスコア 9,620 11,385
Metal 14,026 21,646
RAM容量 3GB 4GB

シングルコアスコアは4,245→4,816と約13%高速化。さらにマルチコアスコアは9,620→11,385で約18%高速化した。また、GPU性能(METAL)については14,026→21,646と約54%の処理能力の向上がみられた。

これらの結果から、Appleの発表には間違いがないことがお分りいただけると思う。特にGPU性能が大幅に向上していることから、3DゲームやARゲームなどグラフィックを多用するゲームを快適にプレイできるようになっているはずだ。

ちなみに、iPhone XS MaxのRAM容量は4GBになっていることが判明。iPhone XのRAM容量は3GBだったため、1GB増えたことになる。

細かい変化

ここからはやや細かい変更点をご紹介。

「iPhone XS / XS Max」はシリーズで初めてデュアルSIM(DSDS)に対応した。SIMトレイは今まで通りひとつしか用意されていないが、中国を除く世界各国ではeSIMと物理SIMの2つでデュアルSIMを実現している。

つまり、日本でデュアルSIMを利用するにはeSIMを運用するキャリアとの契約が必須となる。残念ながら日本ではeSIMを契約できる会社が主要キャリアには存在しないため、デュアルSIMを利用することができないのが実態だ。

ただし、デュアルSIMに対して期待を寄せているユーザーも多いこともあり、どこかの会社がデュアルSIMのためのeSIMサービスを開始してくれるのではないだろうか。少なくとも、この新サービスをチャンスと考えている会社もありそうなものだ。

ただし、格安SIMと格安SIMでデュアルSIMを運用するのは将来的にも難しそう。この辺りはApple側でなく、国内キャリア(MVNO含む)の動きによって決まってくるだろうが、あまり期待しない方が良いかもしれない。

ちなみに、中国で販売されているiPhone XS / XS Maxは2枚の物理SIMを挿入できるデュアルSIM仕様になっている。

また、「iPhone XS / XS Max」のSuicaには予備電源で動作する機能が搭載されている。エクスプレスカードに指定したカードであれば、本体電源が切れてしまっても、4~5時間は使用することができるという。これで万が一のバッテリー切れでもSuicaとして使うことができるため、安心してiPhoneのSuica機能を利用できるだろう。

通信速度(LTE通信)も地味ながら向上している。iPhone XS / XS Maxは、4×4のMIMOとLAA対応ギガビット級LTEが利用できるようになった。これによって、iPhone XやiPhone 8 / 8 Plusよりも速いモバイル通信が利用できるようになっている。

実際に測ってみたところ、以下の結果となった(計測はそれぞれ3回ずつ)。

iPhone X(docomo LTE)
  Download Upload Ping
1回目 55.0 Mbps 11.9 Mbps 52 ms
2回目 44.2 Mbps 11.6 Mbps 46 ms
3回目 56.7 Mbps 9.92 Mbps 49 ms
iPhone XS Max(docomo LTE)
  Download Upload Ping
1回目 67.6 Mbps 11.9 Mbps 47 ms
2回目 57.4 Mbps 12.1 Mbps 57 ms
3回目 57.7 Mbps 12.2 Mbps 48 ms

確かに、2018年モデルは2017年モデルに比べて通信速度は速いようだが、こちらも決して大きな変化というわけではないため、そこまで気にする必要はなさそう。ただし、通信量が多くなればなるほどこれらの差は顕著になるため、毎月大量のデータ容量を使用する方にとっては嬉しい仕様変更かもしれない。

そして最後に防水・防塵機能について。最近のiPhoneは水に浸けても何時間も生き続けるほどのタフな肉体を持っていることで知られているが、iPhone XS / XS Maxの場合はさらなる強靭さを身につけた。

防水・防塵性能は「IP68」とグレードがひとつ上がっている。これは深さ2メートルの水の中に入れて30分放置しても耐えられるほどの性能。つまり、足がつく程度のプールであれば沈めても生きている可能性が高いということになる。

また、Appleは水だけでなくオレンジジュースやお酒などでもテストをしており、これらをこぼしてしまったとしても耐えられるようになっているとのこと。バーやカフェで「事故」が発生したとしても、問題なくiPhoneを使える時代が来たようだ。

iPhone XS Maxに変えたことで起きた弊害

端末サイズが大きくなったことで、筆者にはいくつかの弊害が発生している。それは、これまですんなりと入っていたジーンズのポケットに、iPhoneが入らないということ。

男性用の一般的なジーンズであればギリギリ入るくらいの大きさだが、小さいポケットのついたパンツであればiPhoneが入らない可能性がある。また、女性用のジーンズ、パンツであればおそらくどれも入らない。

 ジャケットの胸ポケットからも端末がひょっこりと顔を出す

「iPhone X」の時はジーンズにも余裕で入ったし、上着のポケットにもスッポリと収まっていたが、おそらく「iPhone XS Max」にすると小さいポケットにねじ込むか、カバンに入れて歩く必要があるだろう。

ただ、大きいとは言っても実は「iPhone 8 Plus」と端末サイズはほぼ一緒。「iPhone 7 Plus」や「iPhone 6s Plus」など、かつての5.5インチモデルを持っていた方なら違和感なく持つことができると思う。

サイズ・重量の表
機種名 サイズ 重量
iPhone X / XS 143.6 × 70.9 × 7.7mm 177g
iPhone XS Max 157.5 × 77.4 × 7.7mm 208g
iPhone 8 Plus 158.4 × 78.1 × 7.5mm 202g

ちなみに、本体が重いせいで筆者は車載ホルダーにiPhoneを載せて使うことができなくなってしまうという弊害も発生している。

エアコンの吹き出し口に装着するタイプの車載ホルダーを使っているのだが、運転中の振動などで徐々にズレるせいか、たまに車載ホルダーごとiPhoneが落下してしまう。運転中に落ちると危ないため、車載ホルダーには装着せずにカバンやポケットに入れるようにした。残念ながら、車の中での使い勝手はiPhone Xから悪化してしまった。

また、片手で操作することができなくなったのも少しだけ痛い。筆者の手は人より少し小さめなので、「iPhone X」の段階ですら片手で操作することは完全にはできていなかったのだが、それがもっと不可能になったのが、iPhone XS Max。

というより、基本的に使う際はそもそも両手持ちが基本となっている。片手だけで完了できる操作も多いが、文字を打ってメッセージを返したり、タイマーを設定したり、調べごとをするなど速い操作が必要な時はすぐに両手持ちに切り替えるようになった。

このことから、片手でiPhoneを操作したいなら「iPhone XS」。両手で操作することに不満がない方は「iPhone XS Max」を選択するといいと思う。

ちなみに、筆者の場合は上記弊害が生まれたが、これらを分かった上で「iPhone XS Max」を購入しているため、特に不満には感じていない。片手で操作できるiPhoneも便利なものだが、やはり大画面を操作できるiPhoneにも魅力があるものだ。どちらを購入するかはユーザーの好みで変わってくるだろう。

まとめ:「iPhone XS Max」の存在意義について考える

Appleは年に一度の新型iPhoneとして「iPhone XS」「iPhone XS Max」を作りだしたが、これらのiPhoneの存在意義は一体どこにあるのだろうか。大きく進化したわけでもないのに、Appleは「iPhone X」を拡張させたことをアピールしたかったのだろうか。

筆者の考察では、今回の「iPhone XS / XS Max」は「iPhone Xシリーズを普及させるための次なる一手」だと思っている。

Appleは「iPhone X」を未来のスマートフォンだと言った。それは顔認証機能だけでなく、ワイヤレス充電や高速充電、ベゼルレスデザインなどの最新技術を導入したことで、これまでのiPhoneの常識を打ち破り、次なる次元に突入したからだ。

しかし、この新型モデルの恩恵を受けているユーザーは、「iPhone X」を買った一部のユーザーだけ。まだまだ旧型モデルを使っているユーザーも多い。その一部のユーザーをネクスト・ジェネレーションにステップアップさせるための次なる一手。それが「iPhone XS / XS Max」なのではないだろうか。

実際、昨年のモデルはやや荒削りだった箇所がある。大画面派だったユーザーは「iPhone X」ではなく「iPhone 8 Plus」を選ぶ必要があったし、カラーラインナップも2色しか存在しなかったため、ゴールドモデル復活の期待も一部ユーザーから生まれていた。つまり、全てのユーザーのニーズを「iPhone X」に向けさせることが出来ていなかった。

ただし、今年は大型モデルや新カラーモデル「ゴールド」を投入。さらに顔認証も最大でふたりまで登録できるようになるなど、ハードウェアだけでなくソフトウェアの改善も新型iPhoneのリリースに合わせてきた。

こう言った細かい変更も含めて使い勝手を向上させたことで、どんなユーザーにも合う端末を作りたかったのではないだろうか。次世代のスマートフォンをすべてのユーザーに。だからこそ、Appleは「iPhone XS」と「iPhone XS Max」の間に機能差を設けなかったんだと思う。Appleの売り方を見ていると、「小型モデルと大型モデル、どちらか好きな方を選んでね」という感じだ。

「iPhone XS Max」は、画面が大きくなったことで片手で届かなくなったエリアが増えたのは事実。間違いなくコントロールセンターを引っ張り出すことはできないし、画面上にひょっこり現れる通知にだって手が届かない。ポケモンGOでモンスターボールをスローイングする距離だって増えた。もし片手だけでiPhoneを操作したいなら、あまりiPhone XS Maxはオススメできない。片手で操作できるのは「iPhone XS」ぐらいのサイズ感が限界だ。

ただし前述の通り、Appleはふたつの選択肢を用意している。大きすぎて操作できないなど不安がある方は「iPhone XS」を購入すべきだし、筆者のように大画面が好きな方は「iPhone XS Max」を購入するべき。機能など余計な何かに縛られることなく、自分のサイズの端末を購入できるのはAppleにしては珍しいことだ。

今回、大型モデルが登場したということもあり、大画面好きな筆者は大型モデルを購入した。筆者の使い方から「iPhone XS Max」で特に不満は感じていないが、必ずしも「XS Max」でなくてはならないというものでもないため、どちらを購入すべきかは本当にユーザーの好みで決めてしまっていいと思う。自身に合っている端末は「iPhone XS」なのか、それとも「iPhone XS Max」なのか、購入予定の方はぜひじっくりと考えていただきたい。

ちなみに、「iPhone X」ユーザーは「iPhone XS / XS Max」に買い替える必要はほぼないと思っている。あるとすれば大きな画面を持っている「iPhone XS Max」だけ。性能は進化しているものの、十数万円をかけて買い替えるほどの性能差はないからだ。あくまで乗り換えるなら、「iPhone 8 / 8 Plus」以前のユーザーだけだろう。

ちなみに、「iPhone XS」と「iPhone XS Max」の価格は以下の通り。決して安い端末ではないが、きっとあなたを満足させる端末になっているはずだ。もし予算が許すのであれば、「iPhone XS」や「iPhone XS Max」で新世代のiPhoneを試してみていただきたい。

ストレージ / 税別価格
iPhone XS iPhone XS Max
64GB:112,800円
256GB:129,800円
512GB:152,800円
64GB:124,800円
256GB:141,800円
512GB:164,800円
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  iPhone XS iPhone XS Max
ディスプレイ 3D Touch搭載
Super Retina HDディスプレイ
オールスクリーンOLED Multi-Touchディスプレイ
HDRディスプレイ
広色域ディスプレイ(P3)
True Toneディスプレイ
3D Touch搭載
Super Retina HDディスプレイ
オールスクリーンOLED Multi-Touchディスプレイ
HDRディスプレイ
広色域ディスプレイ(P3)
True Toneディスプレイ
ディスプレイサイズ 5.8インチ 6.5インチ
解像度 2,436 × 1,125ピクセル
(458ppi)
2,688 × 1,242ピクセル
(458ppi)
プロセッサ A12 Bionicチップ
次世代のNeural Engine
A12 Bionicチップ
次世代のNeural Engine
外向きカメラ 広角カメラ
12Mピクセル(1200万画素)
f/1.8

望遠カメラ
12Mピクセル(1200万画素)
f/2.4

2倍の光学ズーム
最大10倍のデジタルズーム
進化したボケ効果と深度コントロールが使えるポートレートモード
ポートレートライティング(5種類)
デュアル光学式手ぶれ補正
クアッドLED True Toneフラッシュとスローシンクロ
写真のスマートHDR

広角カメラ
12Mピクセル(1200万画素)
f/1.8

望遠カメラ
12Mピクセル(1200万画素)
f/2.4

2倍の光学ズーム
最大10倍のデジタルズーム
進化したボケ効果と深度コントロールが使えるポートレートモード
ポートレートライティング(5種類)
デュアル光学式手ぶれ補正
クアッドLED True Toneフラッシュとスローシンクロ
写真のスマートHDR

ビデオ撮影 4Kビデオ撮影(24fps、30fpsまたは60fps)
1080p HDビデオ撮影(30fpsまたは60fps)
ビデオの拡張ダイナミックレンジ(最大30fps)
720p HDビデオ撮影(30fps)
クアッドLED True Toneフラッシュ
1080p(120fpsまたは240fps)スローモーションビデオに対応
2倍の光学ズーム、最大6倍のデジタルズーム
ステレオ録音
4Kビデオ撮影(24fps、30fpsまたは60fps)
1080p HDビデオ撮影(30fpsまたは60fps)
ビデオの拡張ダイナミックレンジ(最大30fps)
720p HDビデオ撮影(30fps)
クアッドLED True Toneフラッシュ
1080p(120fpsまたは240fps)スローモーションビデオに対応
2倍の光学ズーム、最大6倍のデジタルズーム
ステレオ録音
内向きカメラ 7Mピクセル(700万画素)
f/2.2
1080p HDビデオ撮影(30fpsまたは60fps)
Retina Flash
進化したボケ効果と深度コントロールが使えるポートレートモード
ポートレートライティング(5種類)
アニ文字とミー文字
7Mピクセル(700万画素)
f/2.2
1080p HDビデオ撮影(30fpsまたは60fps)
Retina Flash
進化したボケ効果と深度コントロールが使えるポートレートモード
ポートレートライティング(5種類)
アニ文字とミー文字
通信 4×4 MIMOとLAA対応ギガビット級LTE4
2×2 MIMO対応802.11ac Wi‑Fi
Bluetooth 5.0
リーダーモード対応NFC
予備電力機能付きエクスプレスカード
FeliCa
4×4 MIMOとLAA対応ギガビット級LTE4
2×2 MIMO対応802.11ac Wi‑Fi
Bluetooth 5.0
リーダーモード対応NFC
予備電力機能付きエクスプレスカード
FeliCa
バッテリー 連続通話時間:最大20時間
インターネット利用:最大12時間
ビデオ再生:最大14時間
オーディオ再生:最大60時間

高速充電(30分で最大50%充電)
ワイヤレス充電(Qi規格)

連続通話時間:最大25時間
インターネット利用:最大13時間
ビデオ再生:最大15時間
オーディオ再生:最大65時間

高速充電(30分で最大50%充電)
ワイヤレス充電(Qi規格)

防水性能 IP68等級 IP68等級
本体サイズ 縦143.6 × 横70.9 ×厚さ7.7 mm 縦157.5 × 横77.4 ×厚さ7.7 mm
重量 177g 208g
カラー ゴールド
スペースグレイ
シルバー
ゴールド
スペースグレイ
シルバー
価格 64GB:112,800円
256GB:129,800円
512GB:152,800円
64GB:124,800円
256GB:141,800円
512GB:164,800円

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Apple、Appleのロゴ、Apple Pay、Apple Watch、FaceTime、GarageBand、HomePod、iMovie、iPad、iPhone、iPhoto、iSight、iTunes、Retinaは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。
※App Store、AppleCare、iCloudは、Apple Inc.のサービスマークです。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。