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【徹底レビュー】「iPhone X」は本当に”未来のスマホ”なのか ホームボタン廃止の是非、気になるFace IDの認識精度、スペックなど

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11月3日の発売日当日、筆者は「iPhone X」を入手することに成功。当日は開封写真を撮影し、「iPhone X」のデザインや軽く使用してみた感想などをまとめたフォトレビュー(以下)を公開した。

同記事を公開してから丸一日、筆者は「iPhone X」をずっと触っていた。こう考えながら。

--これが、世間が絶賛している”スマホの未来”か。

実際、「iPhone X」はスマホの未来なのかもしれない。ホームボタンという物理的なボタンを必要とせず、ジェスチャーコントロールだけでスマホを操り、ケーブルを気にせず充電できるワイヤレス充電機能。さらに、顔を見せるだけでロック解除できる顔認証機能など。

これまでのiPhoneの操作方法から大きく変化し、できなかったことができるようになった「iPhone X」。だが、漠然と評される”スマホの未来”は、具体的に「iPhone X」のどこにあるのだろうか。

同記事では、「iPhone X」の機能をじっくりと紹介するのと同時に、「iPhone X」を二日間使ってわかったことなどを解説。さらに同端末が秘める”スマホの未来”を探り、iPhone(スマホ)の未来を描いてみようと思う。

ホームボタン廃止、基本はジェスチャーのみで操作

iPhone X」には従来型のiPhoneから、大きく変わった点がいくつもある。その中で最も大きな変更は、ホームボタンの廃止だろう。

これまでiPhoneは、コネクタが30ピンDockコネクタからLightningに変更されたり、画面サイズが大型化したり、イヤホン端子が廃止されたりと様々な変化を遂げてきたが、ホームボタンは初代iPhoneから搭載され続け、ある種トレードマークのようなものとなっていた。

しかし、「iPhone X」ではシリーズ10周年を機に、ホームボタンが廃止。ほぼ全ての操作をジェスチャーのみで行うようになった。これまで慣れていた操作が変更になったことで、一部ユーザーからは戸惑いの声も挙がっている中、iPhone歴8年の筆者はわずか5分程度で慣れてしまった。

これは決して筆者の理解能力が高いわけではなく、単純にホームボタンで行なっていた操作がホームインジケーター(画面下の細いバー)に移行しただけだからだ。

アプリの切り替えも最初こそは戸惑うかもしれないが、「iOS 11」のiPadと似た操作になったことで統一感があり、定着させるまでさほど苦戦はしなかった。個人的にはアプリの切り替えをホームインジケータの左右スワイプでできるようになり、作業が早くなったことがとても嬉しかった。

コントロールセンターや通知センターの表示方法も変化したものの、端末上部に設置された”センサーハウジング”と呼ばれるノッチ(凹)エリアの両脇を下にスワイプするだけなので、むしろ分かりやすくなったとも言える。

ただし、ジェスチャーコントロール以外の操作(スクリーンショットの撮影や電源オフなど)は、左右のボタンを使い分ける必要があるため、直感的には分かりづらい部分もある。使っていくうちに慣れてくるとは思うが、ホームボタン廃止の弊害が各種ボタンに来ている感も否めない

ホームボタン廃止の影響は操作方法だけでなく、端末のデザインに大きな影響を与えた。「iPhone X」の画面サイズは5.8インチ(対角)と歴代で最も大きくなったが、ディスプレイは端末全体に広がりベゼルレスになったことで、端末の大きさ自体は「Plus」モデルに比べて小さくなった。おかげで、歴代iPhoneの中で最も持ちやすい端末の一つになった

そういう意味では、ホームボタン廃止は必然だったのかもしれない。ここ数年、スマホは大型化の一途を辿っていたが、その一方でユーザーからはコンパクトさを求める声も大きくなっていた。ホームボタン廃止は「大型化を求める声」と「コンパクトさを求める声」の両方を満たす”唯一解”だったのかも

ちなみに、「iPhone X」の画面はシリーズ初の有機ELディスプレイ。AppleはSuper Retinaディスプレイと呼んでいるが、従来のiPhoneの画面に比べて画面がよりクッキリと映し出されるようになった。さらに黒の表現に長けていることから、センサーハウジングと画面の境界が曖昧になり、フロント全体が全て画面になっているかのような錯覚を覚えるほど。この辺りは、フォトレビューで詳しく触れているので、そちらをご覧いただけるとありがたい。

また、周囲の光(色合い)に応じてホワイトバランスを調節する「True Toneディスプレイ」を搭載したため、より自然な画面色を表現することが可能。見る角度によっては青色がかったようにも見える(有機ELディスプレイの特性上仕方ないことである)が、画面の視認性はこれまでと変わらないため、問題なく使うことができるだろう。

「Face ID」は瞬時に認識、サングラスもOK ただし制約もあり

ホームボタンの廃止は、iPhoneシリーズにとって「Touch ID」との決別を意味する。一時期は画面内に「Touch ID」を埋め込む計画を立てていると噂されていたが、結局は顔認証機能「Face ID」の一本化で落ち着いたようだ。

この「Face ID」は、ユーザーの顔を赤外線で3D認識し、本人かどうかを検出する。主に画面ロックの解除に利用するが、「Apple Pay」など決済関係でも使用することになる。その認識精度はかなり高いもので、Appleは「Face ID」の誤認識(他ユーザーが顔認証を突破する確率)は100万回に1回しか起きないほどであると、自信を持って発表していた。

筆者も「Face ID」の精度は気になっていたので、同機能の認証精度をチェックしてみた。

まずは自身の顔で認証。顔をかざすと一瞬で認証し、ロック解除までわずか1秒程度。認証を待たずして、スワイプしても瞬時にホーム画面が立ち上がる。「Touch ID」よりも早く認証することができ、スムーズにiPhoneを使い始めることができた。

ただし「iPhone X」の真正面から認証する必要があり、「iPhone X」の斜め前から認証しようとすると、うまくできないこともしばしば

また、「iPhone X」に対して首を傾げたり、逆さまになった状態で認証することはできない。ベッドで横になっている時も、自身の顔の角度に合わせて持ち上げる必要がある。その点は「Touch ID」であればどの角度でも認証できるため、不便と言えば不便かもしれない。もちろん、服のポケットの中で本人認証を済ませることはできないため、「Apple Pay」を利用する際には、iPhoneを出して顔認証を完了させる必要がある。

また、誤認識の確率が低いとのことなので、他の人に顔を借りて認証できるかチェックしてみた。

結果は当然ながら認証できず。ただ、他人の顔であることを認識しているようで、「iPhone X」は「ロックは解除しません」と言わんばかりにアイコンロックを震わせる。

ちなみに、本人であってもお気に入りの帽子を被ってみたり、メガネやサングラスを着けたり、100円ショップでパーティグッズとして売っている「つけ髭」を着けたりしても無事に認証できた。

しかし、鼻から下を隠した状態で認証しようとするとうまく認識できず、マスクを装着した状態ではダメだったので、日本の冬場は困ることも多いかもしれない。

TouchID

ただ、顔認証で失敗するケースはそこまで多くない。むしろ、多汗症の方や手荒れが多い方などは「Touch ID」の認証をパスできないことも多かったため、中には「Face ID」の導入をとても喜んでいる方も。それらを勘案すると、「Face ID」は「Touch ID」の置き換えに成功したと考えていいだろう。

この「Face ID」はまさに「Touch ID」の上位互換とも言える機能なわけだが、残念ながら”とある点”において「Touch ID」に劣ることがある。それは、ひとつの顔しか登録できないということ。

今まで「Touch ID」では、ユーザーの指を5本まで登録できたため、最大で5人でのユーザーで一つの端末を共有することができた。しかし、「Face ID」は一つの顔のみを登録することができるので、二人目以降のユーザーはパスコードの入力が必要に。

スマートフォンは基本的に個人情報の山なので、家族や他人と共有する人は少ないかもしれないが、中には恋人同士や家族でロック解除し合えるように指紋を登録していた方もいるはず。

今はiPhoneなので問題ないかもしれないが、いずれiPadなどで「Face ID」が導入されることになるだろう。iPadは複数人で使う機会が多いだけに、どのような仕様になるのか気になるところだ。

また、「Face ID」が搭載された「iPhone X」ならではの便利機能も存在する。それは、「iOS 11」から変更できるようになった「通知プレビュー」の設定について。

通知プレビュー設定を「ロックされていないときのみ」に設定すると、ロック画面の通知がアプリ名と「◯件の通知」しか表示されなくなり、他人に通知を覗き見されることがなくなる

これは従来までのホームボタンが搭載されたiPhoneでも利用可能なのだが、「iPhone X」は端末に顔を見せるだけでロックが解除できるようになったため、必然的に端末の持ち主が端末を覗き込んでいるときのみ通知の内容を表示するようになっている。

もちろん、他人が覗き込むことでまた端末がロックされるので、表示はアプリ名と「◯件の通知」だけに。ただiPhoneを覗き込むだけでこの切り替えが自動で行われるのはかなり便利だし、安心感がある。

「アニ文字」でメッセージをより楽しく

「iPhone X」には、前面に搭載されている赤外線センサーを使用し、ユーザーの表情を絵文字のアニメーションに変換する「アニ文字」という新機能が搭載されている。

同機能はメッセージアプリから使用可能で、絵文字のキャラクターに自分の表情を映し出し、そのまま相手に送信することができる。もちろん音声をつけることも可能だ。

「アニ文字」の使い方は、まずはメッセージアプリを開き、メッセージ入力バーの下に表示されているサルが驚いている顔文字をタップ。すると、キャラクターが表示され、すぐに表情の読み取りが始まるようになっている。キャラクターは左のバーから変更することができ、現時点では12種類のキャラクターを選択することが可能だ。

赤外線センサーの読み取り性能はかなり高く、細かな表情の変化もしっかりとキャラクターに反映してくれる。Appleの絵文字のキャラクターはお世辞にも可愛らしいとは言えないが、自分の表情に合わせてコロコロと表情が変わる様子は見ていてとても面白い。なければならない機能というわけではないが、会話の途中で効果的に使えば、会話が楽しくなるのは間違いないだろう。

「アニ文字」を使ってみた様子がこちら。

ただし、実際に使ってみて思ったのがセンサーとの距離感が少し難しく、うまく顔が認識されない場面が多いこと。首を傾げる場合には、傾げすぎると認識されないということもあったので、あまりオーバーに動くのは禁物だ。

また、使用できるキャラクターが少ないのも少し気になるところ。おそらく今後のアップデートでどんどん新しいキャラクターが追加されるものとみられるが、それまではまだオマケ程度の機能だと思っておいた方が良いかもしれない。

ワイヤレス充電でエレガントにiPhoneを充電

「iPhone X」にはワイヤレス充電機能が搭載された。端末の背面にワイヤレス充電用のコイルが内蔵されており、充電ポートの上に置くだけで、バッテリーを充電することができる。

今まではiPhoneを充電する場合、Lightningコネクタを利用して有線で充電する必要があり、充電中もしくは充電完了後に席を立たなければならなくなった時、わざわざケーブルからiPhoneを外して持っていくという一手間が必要だった。

しかし、ワイヤレス充電の場合は、ただ充電器の上に置いてあるiPhoneをさっと持っていくだけ。実にエレガントに席を立つことができるように。

ただし、ワイヤレス充電だと不便だと思う場面ももちろん存在する。例えば、充電しながらiPhoneを使いたいとき。これまでであれば少し長いケーブルを使えば、充電しながらベッドに寝転がることができたが、ワイヤレス充電は充電器の上にiPhoneを載せておく必要があるので、この使い方は不可能。

一応、iPhoneを立てた状態で充電できるワイヤレス充電器もあるのだが、それを使ったとしてもせいぜい動画が観れるくらい。充電しながらベッドに寝転がってゲームをしたい人は、従来通り有線での充電を行なった方が良いだろう

また、急いで充電をしたい場面でワイヤレス充電はあまり適さない。というのも、ワイヤレス充電は送電時のロスが大きく、充電速度はそこまで早くないからだ。

Apple公式サイトで販売されている「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad [レビュー]」や「mophie wireless charging base」などのワイヤレス充電器では、今後のアップデートで7.5Wの高速ワイヤレス充電が可能になる予定だが、これらの充電器の価格は6,980円(税別)。

わざわざワイヤレス充電を高速化するためにそこまでお金をかける必要性を感じない人もいるだろう。筆者としても、必ずしも高速ワイヤレス充電は絶対に必要なものではないと思うので、この辺りは自分の財布と相談した上で、購入するかしないかの判断をしていただければと思う。

ちなみに、バッテリー持ちについては従来のiPhoneに比べてさほど違いを感じることはできず。ただ、Appleによれば「iPhone 7」から2時間バッテリー持ちが改善されたと書いてあるが、「iPhone 7 Plus」からの比較では若干バッテリー持ちが悪くなっている

昨日、iFixitが「iPhone X」の分解レポートを公開しており、中のバッテリー容量は2,716mAhであることが判明。「iPhone 7 Plus」のバッテリー容量は2,990mAhだったことから、「iPhone X」のバッテリー容量はわずかに減少していることがわかる。

しかし、同じくバッテリー容量が減った「iPhone 8 Plus(2,691mAh)」は「iPhone 7 Plus」とほぼ同じバッテリー駆動時間となっていることから、「iPhone X」のバッテリー持ちが「iPhone 7 Plus」や「iPhone 8 Plus」に比べて短い理由は、単純に消費電力が大きくなったためとみられる。その原因は「Face ID」用の赤外線センサーにあると個人的にはみているが、その詳細は不明。

デュアルレンズカメラ、前面カメラもポートレート撮影が可能に

ここからは、「iPhone X」のカメラ性能について。

「iPhone X」には、内側カメラと背面カメラの2つのカメラが搭載されており、背面のカメラは「iPhone 7 Plus」や「iPhone 8 Plus」と同じくデュアルレンズ仕様。

望遠カメラがf2.8からf2.4の明るいレンズに変化したことから若干明るい写真が撮れるようになった印象だが、画質は大きく向上しておらず、劇的な変化はさほどない。ただし、毛先やシワなど細かいところを見ると画質の向上が見受けられる上に、望遠レンズに光学手ブレ補正が内蔵されたため、シャッタースピードが遅くてもブレない写真を撮ることができるようになった。

ちなみに、撮影した写真を「iPhone X」で見るととても綺麗に見える。その理由は、画面描写が綺麗になったためで、「iPhone 7 Plus」で撮影した写真を「iPhone X」に送ってプレビューすると、写真によっては同じ端末で撮った写真とは思えないほどの違いを感じることも。

もちろん「iPhone X」ではポートレートモードも利用でき、被写体の周りをぼかした遠近感のある写真を撮影することが可能だ。これは「iPhone 7 Plus」や「iPhone 8 Plus」に搭載されている機能と同じものだ。

しかし、「iPhone X」はさらにその上をいく。「iPhone X」はインカメラでもポートレート写真が撮影できるようになっており、手軽にインスタ映えする写真を投稿することが可能だ。また、「iPhone 8」シリーズで初採用された「ポートレートライティング」機能が搭載されており、被写体の肌を明るく撮影したり、背景を黒に自動加工してくれる機能が搭載された。

普通であれば、アプリや専用ソフトを使って加工する必要があるものだが、これを全てiPhoneの中で完了することができる。しかも、写真を撮る時にワンタップで。

ポートレートライティングは「自然光」「スタジオ照明」「輪郭強調照明」「ステージ照明」「ステージ照明(モノ)」の5種類が用意されている。

このポートレートライティングはインカメラだけでなく、背面カメラで撮影することも可能なので、好きなエフェクトを入れて写真撮影を楽しんでいただきたい。

「iPhone X」のスペック

軽く「iPhone X」の性能について触れていこう。当然だが、毎年iPhoneは性能は向上しており、今年のiPhoneの処理性能も大きな進化を遂げている。

「Geekbench 4」でベンチマークスコアを計測してみたので、ご覧いただきたい。

ご覧いただければお分かりいただけるように、「iPhone X」の処理性能は13インチモデルの「MacBook Pro 2017」に匹敵するほど

この高速な処理を支えているのは、新たに採用された「A11 Bionic」プロセッサ。2つの高性能コアと4つの高効率コアで構成された6コアチップだ。

数字上では、「iPhone 7 Plus」から数十パーセント近く上回っており、高い潜在能力を持っていることを知ることができた。

ただ、その違いを実感できるかというと正直そうでもない。マルチタスクの起動、アプリの切り替え、動画再生など、ほとんどの動作で「iPhone 7 Plus」と処理速度は変わらずで、違いがあるとすれば「iPhone X」の方が起動がわずかに早い程度。さほど大きな差を感じることはできなかった。

処理性能は高いに越したことはないが、「iPhone 7 Plus」の性能を持ってしてもカクつくような高負荷な3Dゲームをしない限りは違いを見出すことは難しいだろう。結論を言えば、処理性能という点で「iPhone X」を選ぶ必要はないということだ。

防水性能は従来と変わらず、スピーカーの音質は地味に向上

「iPhone X」の防水性能はIP67等級。これは、「iPhone 7」「iPhone 8」シリーズと同じレベルの防水性能になる。

iPhoneを水場で使うシチュエーションは結構限られてくるが、普段の生活の中でも間違って水没させてしまう危険性はどこにでもある。筆者も自宅で幅120cmの大型水槽を維持しているため、iPhoneが防水だと非常に安心して作業ができている。基本的には防水性能は高いに越したことはないだろう。

また、「iPhone 7 Plus」とスピーカーの音質を聞き比べてみたのだが、「iPhone X」の方が音質が向上しているような印象。音が若干こもっていたのに対し「iPhone X」のスピーカーは低音が強くなり、よりクリアで通る音になった。

音量も心なしか「iPhone X」の方が大きいようで、より迫力のある音が出るように。スピーカー通話の時もより明瞭に相手の声が聞こえるようになるなど、スピーカーの性能は全体的に向上しているように感じた。

残念ながら完璧とは言えない「iPhone X」の不満点

ここまでは「iPhone X」の機能について詳しく紹介してきた。従来端末から大きな変更が実施された10周年記念端末だが、使いづらくなった箇所や改善が必要な箇所もいくらか存在する。

例えば、バッテリー残量をパーセンテージ表示できなくなったこと。センサーハウジングの右脇の小さなエリアにアンテナピクトやバッテリーアイコンが表示されているわけだが、領域が狭すぎるからか数字でバッテリー残量を表現することができなくなった。

数字でバッテリー残量を確認するには、現状ではコントロールセンターを開くなどの一手間が必要。個人的にはバッテリーアイコンのタップでバッテリー残量を数字で表示できるようにすればいいのではないかと思っているのだが、それが叶うときは来るのだろうか。

また、筆者はそこまで感じてはいないが、一部ユーザーからは「Face ID」の認識精度が悪いという声もチラホラある。使う環境や人によっては、うまく認識できないのだとすれば、Appleはもう少し「Face ID」を改良する必要があるだろう。

そして、多くのユーザーが購入を渋っている大きな原因が高額な端末価格。SIMフリー版では、一番ストレージ容量の小さい64GBでも112,800円(税別)と10万越えで、64GBで足りないユーザーはより高額な256GB(価格は129,800円、税別)を購入する必要がある。

また、端末価格ほど不満に思っている人は少ないとは思うが、「iPhone X」の重量は「iPhone 8 Plus」よりも30gほど重くなっている。スマホは手に持って使うものなので、長時間持って使った際に気になる人がいるかもしれない。

最後に、発売から多くの人が不満を漏らしているのが、「iPhone X」の画面サイズに対応しているアプリがまだまだ少ないこと。メジャーなものでも結構な数のアプリが対応しておらず、早い段階で「iPhone X」を購入したユーザーが不便な思いをしているのが事実。

これについては時間が経つにつれて徐々に解決していくものだとは思うが、まだしばらくは不便な状態が続きそうな予感。もし自分が愛用しているアプリが対応していないようだったら、対応が行われるまで他のアプリで代用するなど工夫が必要だろう。

細かいことかもしれないが、この他にも修正が必要な箇所が多数散見される。そういう意味では、「iPhone X」は現時点では完成度した端末とは言えないかもしれない。この辺りは今後の調整などによって、ブラッシュアップを期待したいところ。

まとめ:「iPhone X」はスマホの未来か

Appleの「iPhone X」での試みは大成功に終わった。なぜなら、「iPhone X」は今後のスマホのスタンダードとして、早くも世間に受け入れられ始めているからだ。

実際、ホームボタン廃止によって操作が変わった以外に、「iPhone X」になって困ることはなく、苦戦すると思っていた筆者でさえも、新しい操作に案外すんなりと馴染んでしまった。おそらく「iPhone X」を手にしたユーザーの多くが、すでに当たり前のように使い始めていることだろう。

Appleが、”ホームボタン廃止”レベルに基本操作を大きく変更したのは、「ホームボタン」や「タッチスクリーン」を導入した初代「iPhone」以来。その前は、iPhoneの前身の「iPod」に搭載されていたクリックホイールまで遡ると思われる。

ただ、見た目を変えるだけであれば簡単かもしれないが、10年間も変える必要のなかったものを変え、なおかつ使い勝手の良いものを作るのは容易いことではない。ホームボタンがない違和感をどのように解消するのか、Appleはかなり頭を悩ませたはずだ。

しかし、「iPhone X」の開発チームはそれを見事に解決し、「画面の大型化」と「コンパクトさ」を両立させ、顔認証の導入によって今まで以上にスマートなシステムを実現させた。さらに、ワイヤレス充電を搭載したことで完全なるコードレスを実現、昨年にはイヤホン端子を廃止しているので、iPhoneを縛るものはもう何もない。「iPhone X」の姿は、まさに”未来のスマホ”、そのもの。

10周年を記念して「X(テン)」という名前を授かった同端末だが、個人的にはプロトタイプ的な意味合いが強いように感じている

完全に新しい端末を作りだしながら、それと同時に完璧な端末を世に送り出すことは、いくらAppleでも不可能。おそらくユーザーの反応を見て、すでにAppleは「iPhone X」をベースに新しい端末の開発を始めているだろうし、来年には「iPhone X」に続く端末も登場するだろう。

思い起こせば、最初の頃のiPhoneは発表されるたびにワクワクを感じていたが、残念ながら最近のiPhoneではそれを感じることはできなかった。その理由は、いくら性能が良くても最近のiPhoneに”未来”を感じることができなかったから。

ところが「iPhone X」は、初代iPhoneが見せてくれたようなワクワクを、未来を、我々に思い起こさせてくれた気がする。その証拠に、”スマホの未来”がギュッと凝縮されたこの一台に、筆者も久々にワクワクしている。

Appleが提示したスマホの未来。これから先、iPhoneやスマートフォン業界がどのように変わっていくのかゆっくりと考えながら、来年の新型モデルが登場するまでの1年の間、しばらく「iPhone X」が魅せるAppleの新しいボヤージュに付き合ってみたいと思う。

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Apple、Appleのロゴ、Apple Pay、Apple Watch、FaceTime、GarageBand、HomePod、iMovie、iPad、iPhone、iPhoto、iSight、iTunes、Retinaは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。
※App Store、AppleCare、iCloudは、Apple Inc.のサービスマークです。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。