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MX Master 3S レビュー | ユーザーのリアルな実情に即したハイパフォーマンスマウス

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ロジクールのスタンダード製品のラインナップで最上級の性能を持つ 「MX」 シリーズ。その中とりわけ人気を誇るのが、ハイエンドマウス 「MX Master」 だ。

2019年に現行モデル 「MX Master 3」 が発売していたが、そのハイパフォーマンスモデルとなる 「MX Master 3S」 が今年6月に登場することが発表された。

ロジクールは、「MX Master 3S」 の発表に先駆けて一部メディア向けに新製品記者発表会を実施。また、発売に先駆けて実機サンプルを提供してもらうことができたため、当記事では本製品の使用感および記者発表会で聞けた開発における経緯等を紹介したいと思う。

デザイン・仕様

今回発表された 「MX Master 3S」 は、2019年9月に発売した高機能デスクトップ向けマウス 「MX Master 3」 のハイパフォーマンスモデル。機能的なデザインはそのままに一部機能を改良することで、より使いやすくしたマイナーアップデートモデルになっている。

ハードウェアで強化された箇所は3つ。左右のクリックが静音式に変更されており、クリックしたときの音が90%小さくなった。そして、トラッキング用のレーザー式センサーの最大解像度が4,000DPIから8,000DPIに変更されており、デバイスとの接続方法もこれまでのUnifyingレシーバー/Bluetoothだったのが、新たにLogi Bolt/Bluetoothに変更されている。

▼ 進化したポイント

  • トラッキングセンサーの最大解像度:4,000DPI → 8,000DPI
  • クリックが静音式に。90%静音化
  • 接続方式:Logi Bolt/Bluetoothに変更

製品デザインについては、前モデル 「MX Master 3」 のものをそのまま引き継ぐ。人間工学に基づき手に馴染む設計になっており、持ちやすく使いやすいのが本製品の最大の特長。特徴的なのは、マウスを握った時、人差し指の第3関節にあたる部分が大きく盛り上がっている点。これは手の内側に立体的に収まるようにするための工夫。最初は少し戸惑うかもしれないが、慣れればきっと使いやすく感じるようになるはず。

親指を置く位置 (くびれ部分) は深く抉られた形状になっていて、掌全体でマウスをしっかりグリップすることが可能。アンダースカートも広めに作られているため、親指の置き場所に困ることはないだろう。ちなみに、アンダースカート部分にはジェスチャーボタンが用意されており、アプリの切替などに利用することが可能だ (専用ソフトウェアで変更可能) 。

クリックは 「コツッ」 と静かなクリック音に変更されている。これまでは 「カチッ」 と大きめの音が鳴っていたが、オンライン会議などで使用する場面が増えたことを踏まえて静音タイプに変更されている。

ロジクールによると、90%の静音化が果たされたとのことで、オンライン会議だけでなく図書館やカフェなどの静かな環境でも気にせず利用できるようになった。クリックの感触については前モデルから特に違いはなく、押した時の反発も強く、押した感がしっかりと得られる。

マウス上部にはスクロールホイール、親指を置く場所の上には進む/戻るスイッチのほか、横スクロールなどに使用するサムホイールが用意されている。

スクロールホイールとサムホイールはステンレススチール製。筐体はほぼプラスチックで作られているが、このステンレススチールのメタル感のおかげで、ハイエンドモデルらしい程よい高級感が醸し出される。また、ステンレススチールはプラスチックやアルミに比べて重いこともあって、より高いスクロール精度を実現するためにも一役買っている。

マウス上部のスクロールホイールには、「MagSpeed 電磁気スクロールホイール」 が採用されている。従来の物理的な摩擦による制御方式ではなく、電磁石を用いた制御方式を採用した回転機構で、スクロールの静音化、スムーズで高速かつ思い通りの場所で回転が止まる精確さを実現している。

同スクロールホイールには 「ラチェットモード」 「フリースピンモード」 の2種類のモードが用意されており、一度の回転でスクロールできる量を調節できる。

「ラチェットモード」 は、回すときにカチカチと手応えを感じるモードで、数行ごとの細かいスクロールを必要とする作業に向く。

一方の 「フリースピンモード」 は、スクロール時の抵抗がなくなるモード。1秒間に1,000行ものスクロールが可能となっているため、縦に長いエクセルファイルを見るときなどに重宝する。

スピンモードの切り替えはホイール手前のボタンひとつでできるほか、ラチェットモード時に高速でスピンさせることで、一時的にフリースピンモードにすることも可能だ。

MX Masterシリーズでお馴染みとなったユニークな機能だが、一度使うとなかなか手放せない同機能。作業効率が上がるのはもちろんのこと、高速でスピンさせたときの感触がかなり気持ち良いので、ぜひ一度体験してみていただきたいところ。

マウスの裏側には電源スイッチやトラッキングセンサー、滑り止めのほか、マウスの接続先を切り替えるボタンが用意されている。

この接続先の切り替えボタンにより、最大3台までのデバイスの接続設定を保持することが可能。現在接続しているデバイスに関してはLEDライトで1・2・3のいずれかの数字が光る仕組みのため、どのデバイスに接続しているかはここを見れば一目瞭然だ。

トラッキングセンサーは、ロジクール独自技術 「Darkfield」 に対応した8Kセンサー。解像度は200DPI〜8,000DPIで、50DPI刻みで変更可能。先代モデルの最大解像度は4,000DPIであったため、より精度の高いトラッキングが可能になったことになる。

高DPIはデスクワーク中心のユーザーにはあまり恩恵はないかもしれないが、PC/Macでゲームをプレイするユーザーにとっては重要なアップデートとなる。特にFPSなどのシューティングにおいては顕著で、ゲームのプレイの質を上げるのにとても重要なポイントだ (プロゲーマーなどは低DPIで操作しているなどの話もあるが、それはまた別の話)。つまり、今回のアップデートで 「MX Master」 シリーズは、普段のデスクワークだけでなくゲーミングにも向いた製品へと昇華したとも言えるだろう。

まだ使いはじめて1週間程度ということもありこの高DPIの恩恵が得られた経験はまだないものの、筆者がゲーミング用として愛用しているG502 Lightspeedではゲームプレイ時は8,000DPI程度で操作しているため、同等のDPIを実現できるようになったことは地味に嬉しいところ。カーソル飛びなどもほぼ起きないため、安心して使用できている。

もちろんゲーミング専用として買うならゲーミングマウスの購入がオススメだが、デスクワーク兼ゲーミングマウスとして購入するなら、十分な性能を持っていると言えるだろう。

「MX Master 3S」 はガラス製の透明なテーブルなどでも正確かつ精細に操作することが可能。筆者はこれまでさまざまなマウスを使ってきたが、「MX Master 3S」 の操作性の高さはおそらく業界最高レベルではないかと思っている。

搭載されるボタンは、左右のクリック含めて全7個。それぞれのボタンは専用ソフトウェア 「Logicool Options+」 で自由にマッピングすることが可能。

充電用のコネクタは前モデルと同じくUSB Type-Cを採用する。駆動時間は1回のフル充電で70日間。1分の充電で3時間の駆動が可能だ。当然ながら使いはじめてまだ間もないこともあり、バッテリー切れには遭遇していない。しかしながら、先代モデルの 「MX Master 3」 や 「MX Master 3 for Mac」 を利用していても数ヶ月に一度の充電で済んでいることから、バッテリー残量についてはあまり気にしなくて良いはずだ。

なお、USB Type-Cのコネクタの位置はマウスの前面となっているため、使用中にバッテリー切れが起きても(有線マウスと同じスタイルで)充電しながら操作し続けることが可能だ。

左:MX Master 3/右:MX Master 3S

デザインに関する変更点はほぼないが、唯一の違いとしてカラーラインナップがグラファイト/ミッドグレーからグラファイト/ペールグレーに変更された点が挙げられる。

今回提供してもらったのは、新カラー 「ペールグレー」 のもの。「ペールグレー (=淡いグレー)」 の名のとおり、白により近いグレーとなっている。参考として、先代のMac向けモデル 「MX Master 3 for Mac」 と比較してみた。

グラファイトは渋みがありカッコ良いが、ペールグレーもデスク映えするようなスマートな見た目で、どちらを選ぶかは悩みどころ。ぜひお好きなカラーを選んでいただきたい。

デザインに変更を加えなかった理由について、ロジテックインターナショナル (ロジクールの海外法人名) のマキシム・ボンダー氏は、「現在のデザインはユーザーから気に入られているので、そのまま維持することにした。そのほか、機能についてもユーザーが好んでいる部分についてはそのまま継承することにした」 と先日開催された記者発表会にて説明している。

そのうえで、MXシリーズを使用するユーザー層はソフトウェア開発者やゲーム開発者など、高度なコンテンツクリエイターたちが多く、彼らの最近のトレンドを分析した結果、コワーキングスペースや在宅で仕事をしており、家族や同僚の近くで作業するなどの機会が多いことに気付いたとのこと。そこで、静音式クリックや正確な接続性が得られるデバイスを開発する必要があったという。

また、もうひとつ重要なトレンドとして最近は複数のディスプレイを使用したデスク環境を構築するユーザーが多く、使用するディスプレイも5K解像度が多くなってきており、より高いDPIを実現する必要があったと説明した。

お馴染みの 「Logicool Flow」 機能は健在

Logicool Flow イメージ (画像提供:ロジクール)

MX Masterシリーズといえば、複数のデバイス間をシームレスに移動できる 「Logicool FLOW」 機能が有名だ。

同機能は、マウスカーソルを画面端に移動させたとき連携した他デバイスをコントロールできてしまうというもの。複数のデバイスを1台のマウスのみで操作することができるので、作業効率の向上に役立つ。

また、片方のデバイスでコピーしたファイルをもう片方のデバイスにペーストできる機能も搭載されており、複数のデバイス間で自由にファイルをやり取りすることができる。2台以上のデバイスを使って作業することが多いならぜひとも活用していただきたい機能だ。

画面端での挙動が少し怪しかったり、たまにラグが発生するなど使いづらさを感じることもあるものの、慣れてしまえば便利に使いこなすことができるはずだ。

Macではユニバーサルコントロールという同様の機能が最近利用できるようになったものの、行き来できるのはApple製品の間のみに限られる。一方で 「Logicool FLOW」 はMacとWindows間の行き来も可能なため、依然として 「Logicool FLOW」 は便利な存在だ。

「Logicool Options+」 でボタン割当/DPIを変更可能。各ソフト用の設定も保存できる

「MX Master 3S」 は、専用ソフトウェア 「Logicool Options+」 で各種設定の調整・変更ができる。ボタンの割り当てやDPIの調整、さらにはスクロールホイールの速度/向きなどだ。

そして、その設定を特定のアプリ毎に保存することもでき、各アプリをアクティブにしたときに事前に設定しておいたセッティングを使ってシームレスに操作することが可能。たとえば、Steamのゲームは高DPI、Adobe Photoshopは低DPIにするなど。

また、サムホイールの挙動もウェブブラウザを使っている時はタブ切り替えに設定し、 ExcelやNumbersなどの表計算ソフトを使う際には横スクロールに変える、など。これらを駆使することでPC・Macの操作が圧倒的に便利になるだろう。

まとめ:「MX Master 3S」 はユーザーのリアルな実情に即したハイパフォーマンスマウス

まとめ:「MX Master 3S」 はユーザーのリアルな実情に即したハイパフォーマンスマウス

今回新たに登場する 「MX Master 3S」 は細かいアップデートが中心となっており、すでに 「MX Master 3」 をお持ちのユーザーに買い替えを推奨する製品ではない。

しかし、筆者は 「MX Master 3S」 の今回のアップデートを高く評価している。その理由は、ユーザーの置かれているリアルな実情に合わせたアップデートとなっているからだ。

改めてアップデート内容を俯瞰してみると、本体のデザインは前モデルと変わらず、変更点も(カラーラインナップ含めて) 4箇所に留まるなど、決して派手なアップデートにはなっていないことがわかる。

しかしながらその4箇所は、DPIの上限引き上げ、静音式のクリック、さらにセキュリティの高い新たな接続方式 「Logi Bolt」 への対応など、オンラインでの作業が多くなった現代のワーカーの生活様式のことを考えたアップデートになっていた。

リモートワーク用として購入するのであれば、そのままゲームプレイにも流用できるのもポイント。筆者のようにデスクワーク用とゲーミング用とでデバイスを分けているユーザーにとっては、仕事とゲームの両方をこなせるというだけで魅力的に映るのではないだろうか。

「Logi Bolt」 への対応も重要なアップデート。もともと法人向けとして提供が始まった 「Logi Bolt」 は、高いセキュリティが売りのひとつ。これまでのUnifyingレシーバーは使えなくなってしまうものの、大事な情報を取り扱うような仕事にも安心して使用できることは、とても重要なポイントと言えるだろう。

「MX Master 3S」 は、前モデルの “ハイパフォーマンスモデル” として登場したが、実際に使ってみて感じたのは “ユーザーにとって必要なものを追求したモデル” であるということ。ユーザーにとって最も使いやすいマウスを目指したこのマウスなら、おそらく普段のデスクワークはより快適なものにできるのではないだろうか。高機能かつ高性能マウス 「MX Master」 シリーズをまたひとつ上の次元に引き上げる 「MX Master 3S」 は、MXブランドそのものを牽引する製品として間もなくデビューしようとしている。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。