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MacBook Air (2018/2019) レビュー:やっと現代化を果たした新型モデル、一体何がすごいのか

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Appleのエントリー型ラップトップといえばMacBook、ハイエンド型ラップトップといえばMacBook Pro。Appleの製品ラインナップをよく知る人であれば、これはもはや常識だろう。

だが、一般ユーザーにしてみればAppleのラップトップ端末といえばMacBook Airが真っ先に頭に思い浮かぶユーザーも多いようだ。MacBook Airは、かの有名な元CEOスティーブ・ジョブズ氏が茶封筒から取り出し披露したことで有名。世界的に大ヒットを記録し日本に 「Mac」 という製品を浸透させた名機だ。

しかし、そんなMacBook Airも発表当時から大きく姿を変えておらず、いつしか時代に取り残される。すでに大きなアップデートを果たした MacBook Pro や MacBook に比べると、どうしても見劣りする端末となっていた。

早く新型モデルの投入をーー。そんな声も各所から漏れ聞こえてきていたが、今年10月にAppleはそれらの期待に応えた。性能だけでなく、本体デザインも大きく変更された新生 「MacBook Air」 の登場だ。

MacBook Air (2018) は、MacBookとMacBook Proの良いどこ取りをした端末。MacBook Proより軽量で持ち運びやすく、MacBookよりも高性能。さらにはTouch Barが搭載されず、Touch IDだけが搭載されるなど、MacBook Pro・MacBookにはない特徴が魅力的だ。

筆者はMacBook Proを購入する以前、MacBook Airを使っていたということもあり、今回の新生MacBook Airが旧モデルに比べてどのように進化したのか、他のMacBookシリーズと比べるとどうなのかが個人的に気になったため、早速新型モデルを購入してみた。同レビュー記事では、従来モデルからの変更点を中心に、一般的な使い方からプロの仕事においても実用的な端末に仕上がっているのかを実機に触れた上で解説していく。購入するか悩んでいる方の参考になれば幸いだ。

追記

2020年3月、Appleは新プロセッサとシザー構造キーボード 「Magic Keyboard」 を搭載した新型 「MacBook Air (2020)」 を発売している。当サイトではこちらのモデルに関してもレビュー記事を公開しているので、最新モデルが気になる方はぜひ以下から確認していただきたい。

ちなみにプロセッサとシザー構造キーボード、スピーカー性能以外はほとんど2018/2019年モデルと性能は変わらないため、きっと当レビュー記事も参考にはなるはずだ。

「MacBook Air」 がようやく現代化を果たす。その真価とは

MacBook Airの初登場は2008年1月。当時、「世界最薄のラップトップ」 として登場し、世界をあっと驚かせたのを筆者は今でもよく覚えている。発表前から噂が出ていたため登場はほぼ確実視されていたが、実際に茶封筒から出してみせるジョブズ氏のパフォーマンスはMacBook Airのサイズ感が分かりやすく、とてもインパクトのある発表だった。

登場から約11年もの間には、フルモデルチェンジと同時に小型な11インチモデルが登場してみたり、一時的にキーボードが光らなくなるなど、いくつかの紆余曲折はあったものの、それでも基本デザインは変わらずに現役を貫き続けた。そのおかげもあって、いつしか化石と化してしまったMacBook Airだが、今ようやく姿を変えることとなった。

テーマはずばり 「現代化」 。Appleの持つ技術を流用、現代の常識を取り込み、これまでのMacBook Airの立ち位置を大きく変えることなくアップグレード。従来からの変更点は多岐にわたる。

小型化&薄型化

まずは、本体のコンパクト化と薄型化。

旧型MacBook Airのサイズは幅32.5cm×奥行22.7cm×高さ0.3~1.7cmだったのに対して、新型モデルは幅30.41cm×奥行き21.24cm×高さ0.41~1.56cm。以下の写真を見れば一目瞭然。従来モデルからはかなり小さくなったことがお分かりいただけると思う。

新旧MacBook Airの比較 (左:新モデル 右:旧モデル)

これは画面やキーボードの外側にあった太いベゼルを、半分程度に狭めたことで実現している。最近のAppleはベゼルを狭くすることで端末を小型化する傾向にあるが、この流れを汲むようにMacBook Airもコンパクト化が図られた。おかげで、画面サイズは13.3インチと従来と全く変えずに、従来の 「野暮ったいデザイン」 を解消することに成功している。

MacBookとMacBook Airの比較

ちなみに、MacBook AirのサイズはMacBook Pro 13インチモデルとほぼ同じで、12インチMacBookと比べると2割ぐらい大きい。

本体の厚みも最厚部分で1.7cmから1.56cmと2ミリ弱薄くなり、手にした時に持ちやすくなった印象を受ける。試してはいないが、形状も相まってスイカぐらいであればサクサク切れそうだ。

コンパクト化に伴い重量も100gほど軽くなっている。また、電源アダプタも60g近く軽量化されているため、持ち歩く時の重量は実質160gほど軽くなったと考えて良いだろう。160gというと文庫本1冊ぐらい、これは結構な違いだ。

  MacBook Air (2017) MacBook Air (2018)
サイズ 幅32.5cm×奥行22.7cm 幅30.41cm×奥行21.24cm
厚さ 0.3~1.7cm 0.41~1.56cm
重さ 1.35kg 1.25kg

ボディには100%再生アルミニウムを使用

本体デザインはくさび型とも言われるウェッジ型。背面から先端に向けて徐々に細くなるデザインで、依然としてこのデザインを好むユーザーも多い (筆者もそのうちのひとり)。このシャープな見た目は元々はMacBook Airのお株だったが、それは12インチMacBookにも受け継がれ、再びMacBook Airに帰ってきた形。

やや傾斜のある形状をしているため、平らな形状のMacBook Proよりも、膝に乗せて使うには優れている。モバイル端末としてのデザインは未だにMacBook Airが最適解なのかもしれない。

シリーズ初のRetinaディスプレイ対応

待望だった画面のRetina化。Appleが 「iPhone 4」 で初めて採用した高精細ディスプレイだが、今ではiPhoneをはじめ、iPadやMacBook、iMacなど多くの製品に導入されてきた。

しかし、主力製品のひとつだったはずのMacBook Airだけはなぜかアップグレード対象外で、これまではMacBook Airを買うということは、すなわち非Retina画面で作業をしなければならないという残酷な制約があった。iPhoneやiPadの美しい画面で慣れた目を、今度は文字がガビガビの低解像度画面に慣らす必要があったのだ。

だが、それも今や昔の話。「MacBook Air (2018)」 でようやくこの問題が解消されている。おそらく、これを待っていたユーザーが大半だったのではないだろうか。

MacBook Air (2018) の画面サイズは13.3インチとこれまでと変わらずだが、画面解像度は1,440×900ピクセルから2,560×1,600ピクセル (ピクセル密度は128ppiから227ppi)と従来の4倍近くに引き上げられ、とても滑らかで美しい文字描写が可能だ。実際、SafariでWebサイトを見るにしても、書いた文章をチェックするにしても、撮ってきた写真を確認するにしても、すべての描写が美しくなっている。

色味も旧型モデルから50%近く向上している。撮ってきた写真はかなり緻密に描写されるようになったため、撮影してきた風景を綺麗に画面に映し出してくれる。今や当たり前となったRetinaディスプレイが、これほどまでに嬉しく思う時が来るとは思わなかった。

↑クリックで画像を拡大

とても美しくなったMacBook Airの画面だが、Appleの製品にはさらに美しい画面を搭載したMacBook ProやiMacがある。これらは広色域(P3)に対応し、被写体の正確な色を表現できるようになっている。また、環境光に応じて見やすい画面に調節するTrueToneディスプレイも存在するものの、これらの機能はやはり 「プロ向け」 であることから、残念ながらMacBook Airに搭載されることはなかった。

  MacBook Pro (2018) MacBook Air (2018)
画面の明るさ 500ニト 300ニト
カラー 広色域(P3) 標準色(フルsRGB)

筆者の環境で比べてみたが、やはり広色域に対応したMacBook Proの画面に比べると色味がわずかに褪せているように感じることもある。そこまで気にするほど大きな違いがあるわけではないものの、ディスプレイの発色にこだわりを持っているのであれば、MacBook Proなどの美しい画面をした搭載モデルを購入するべきなのかもしれない。

特に、写真家やイラストレーターの方などは画面の発色によって作品の仕上がりが大きく変わってくる可能性があるため、個人的には広色域(P3)やTrueToneに対応したMacBook Pro (もしくはiMac)の購入を強くオススメしたい。

スペースグレイとゴールド追加 ゴールドはシリーズ全体でも完全新色

新型MacBook Airの本体カラーラインナップには従来のシルバーに加えて、スペースグレイとゴールドカラーが追加されている。これまではシルバーただひとつだったMacBook Airだが、新型モデルからは3色のマルチカラー展開となる。

スペースグレイカラーはMacBook Proで初めて導入された黒系カラー。これまでもMacBookやiMac Pro、Mac miniなどに導入されており、プロ仕様を彷彿とさせるスタイリッシュなカラーリングだ。

ゴールドは、iPhone XS/XS MaxApple Watch Series 4iPad (6th gen)で採用された金系カラー。こちらはリッチでゴージャスな色合いで、どちらかというと女性にとても人気が高いが、もちろん男性にも好評だ。

背面のリンゴは光る仕様から鏡面仕上げに

筆者はMacBook Airといえばシルバーカラーという印象があったため、今回は新色ではなくクラシックなシルバーを選択した。従来カラーと比べて違いはほぼないが、筐体に使用されている素材の関係か、やや光沢感がないのが2018年モデルで、光沢感があり光り方がより金属っぽいのが旧型モデルとなっている。

店頭でも確認したが、シルバーだけでなくゴールドやスペースグレイもとても良い色になっているため、購入の際は是非お好きなカラーをお選びいただきたい。ちなみに、ゴールドカラーについてはMacのラインナップの中でもMacBook Airと12インチMacBookにしか存在しないため、ゴールドカラーのMacが欲しいならぜひ最新モデルのMacBook Airを購入してみてはどうだろうか。

また、せっかくオプションの話になったので、ストレージ容量とメモリ容量の選択肢についてお伝えしておきたい。MacBook Airにはプロセッサのオプションは設けられておらず、一律でIntelの第8世代 「Core i5デュアルコアプロセッサ(1.6GHz/TB使用時最大3.6GHz)」 が搭載されることになる。

ただし、メモリ容量はデフォルトの8GBに加えて、16GBのメモリ容量を選択することができる。最近のmacOSはメモリ管理に優れているとはいえ、やはりメモリ容量は大いに越したことはない。長く使うことを想定しているなら、是非とも16GBへの増量を。

また、ストレージ容量は128GBと256GB、1.5TBの3種類から選択可能。この辺りはパフォーマンスには大きく影響しないため、単純に必要なストレージ容量を選ぶといいと思う。ただし、USB-C(Thunderbolt 3)経由で外付けストレージも利用できるため、必ずしも大容量が必要というわけでもないだろう。

ちなみに、筆者の購入したモデルの構成と価格は以下の通り。

  MacBook Air (2018)
プロセッサ 1.6GHzデュアルコア第8世代Intel Core i5プロセッサ
(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)
メモリ 8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ
ストレージ 128GB SSDストレージ
グラフィック Intel UHD Graphics 617
キーボード バックライトキーボード – 英語(英国)
カラー シルバー

第3世代バタフライ構造キーボード&Touch ID&Touch Bar非搭載という絶妙な組み合わせ

新型MacBook Airの最大の魅力とも言えるのが、最新キーボードとTouch IDが搭載されたものの、Touch Barが搭載されなかったという絶妙な組み合わせが実現したことだろう。これにより、AppleはTouch Barを必要としないユーザーのニーズを見事に満たすことに成功した。

LEDバックライトが搭載 暗所でもキーがよく見える

まずはキーボードについて。MacBook Air (2018)には、MacBook Pro (2018)にも採用された第3世代バタフライ構造キーボードが搭載されている。

第3世代バタフライ構造キーボードの特徴は、キーボード下に薄いシリコン膜が配置されていること。この膜によってキーボードを叩いた時の静粛性が増し、さらに埃や液体など異物侵入によるキーボードの故障率を減らすことにも貢献している。

この第3世代キーボードの打鍵音は、従来までの第2世代キーボードが搭載されていたモデルに比べると高音の 「カチャカチャ」 という耳障りな音が低減。文字入力の際に周囲に気を遣うことなく安心してタイプすることができる。

旧型MacBook Airのキーボード

また、旧型MacBook Airからの乗り換えを検討している方の中で、キーが薄くなったことによるキータッチの変化を気にしている方もいることだろう。旧型MacBook Airのキーボードはバタフライ構造に比べるとキーストロークが深めになっており、未だにこちらのキーボードの方が好きだというユーザーも多い。

実際、筆者も初めてバタフライ構造のキーボードを使ったときには、従来よりも軽いキータッチに少し戸惑いを覚えたものだ。しかし、キーが薄いということは、その分入力時に大きな力を必要としないため、指が疲れにくいという利点がある。さらに、慣れてしまえば従来までのキーボードよりも早く文字入力ができるようになるため、バタフライ構造キーボードはかなり優秀なのではないかと個人的には感じている。

バタフライ構造のキーボードもすでに第3世代とだいぶ改良が進んでいるため、初代もしくは第2世代よりはずっと使いやすくなっている。もしどうしても不安なのであれば、Apple Storeなどの実店舗で最新モデルのキーボードの試し打ちをしてみていただきたいが、大半のユーザーは少し触っただけで不安を解消できるのではないだろうか。

ちなみに、筆者は今回も 「UK配列」 のキーボードを選択した。UK配列はJIS配列とUS配列の両方の良いところを併せ持つ便利なキーボード。欧州に関わりのある仕事をしていることもあるため個人的にはとても重宝しているのだが、もしUS配列の見た目の格好良さとキー配列に魅力を感じていながら、JIS配列に似た使用感を求めているならオススメだ。詳細はこちらの記事で解説しているので、是非とも参考にしていただきたい。

ファンクションキー右端には電源ボタンを兼ねた指紋認証機能 「Touch ID」 が搭載されるようになった。この機能を心待ちにしていた方はかなり多いはずだ。

Touch IDはiPhoneやiPadでお馴染みの機能であるため説明の必要はないと思うが、Macの場合は本体のロック解除のほか、メモアプリのロック解除、システム環境設定での重要な変更、アプリ購入時の承認などパスワードの入力を指紋でスキップできる。また、Apple Payを使った決済が指一本で完了するなど、様々な用途で利用できる便利機能だ。

端末ロック解除はMacBook Airを開いて指を当てるだけ。わずか1秒足らずでMacのロック解除ができてとても便利。また、各種パスワードの入力ではタイプミスを起こしたり、時にはパスワードを忘れてしまい認証にもたついてしまうことがあるが、Touch IDだと一瞬でしかも認証に失敗することはほとんどないため、かなりスムーズにユーザー認証ができる。

また、Touch IDが搭載されたもののTouch Barは搭載されなかったというのも実はポイントが高い。

これまではMacBookシリーズでTouch IDを使うためには、Touch Barが搭載されたMacBook Proを選択する必要があったのだが、Touch Barは使い道がかなり限られている上に、バッテリー持ちがあまり良くないという欠点があるため、「Touch Barは要らないからTouch IDだけ搭載してくれ」 という意見も上がっていた。

筆者は新しい技術と直感的な操作が好きであるため、現時点ではそこまで使い道がなくともTouch Barが要らない機能だとまでは感じていない。しかし、Touch Barが搭載されたMacBook Proは意外とあっという間にバッテリーがなくなってしまうため、そこに若干の不満があるのも事実だ。

そういった点では、MacBook Air (2018)はTouch Barが搭載されていないためバッテリー持ちが良好、それでいてTouch IDの恩恵を得ることができるため、Touch Barを不要と思っているユーザーにしてみれば、ある意味完璧な組み合わせであると言えるだろう。

バッテリー持ちに関しては後ほど詳しく触れるが、結論から言うとMacBook Proよりも遥かに長持ちする印象だ。もしMacBook Air (2018)の性能でも十分で、Touch Barをそこまで使わないというのであれば、MacBook Air (2018)は最良の選択肢になってくれるかもしれない。

トラックパッドは従来より広く、さらに感圧タッチにも対応

キーボードが新しくなったことに加えて、トラックパッドも従来の 「Multi-Touchトラックパッド」 から最新の 「感圧タッチトラックパッド」 に変更されている。

この感圧タッチトラックパッドは物理的に押し込むことができないものの、少し力を入れて押し込むとカチッと疑似的なクリック感を指先にもたらしてくれるというもの。

さらに、ただクリックするだけでなく、強めにググッと押し込むことでさらに特定の操作をすることが可能。Appleはこの操作を 「強めのクリック」 と呼んでおり、単語の意味を辞書で調べたり、SafariやメールのURLのインラインプレビューを表示させることができる。これがなかなか便利なので、まだ使ったことがない方はぜひ試してみていただきたい。

ちなみに、クリック感の強弱はシステム環境設定の 「トラックパッド」 から簡単に設定できるようなっており、自分の好みの感覚にカスタマイズすることが可能だ。

また、新しいトラックパッドは従来よりも20%広くなっているため、2~4本指で操作するMulti-Touchジェスチャーが格段にしやすくなった。個人的には、従来までのトラックパッドでは親指と3本指をピンチしたり広げたりしてLaunchpadやデスクトップを表示するジェスチャーの失敗率が高かったのだが、トラックパッドが広くなったことで失敗率が確実に減った。

ちなみに、トラックパッドは従来モデルよりは広くなったものの、同じく13.3インチの画面を搭載したMacBook Proに比べると若干横幅が狭くなっている。

また、トラックパッドが大きくなったと聞くと、キーボードでの文字入力中に手の一部がトラックパッドに触れて、カーソルが変なところに飛んでしまうのではないかと心配する方もいるかもしれない。

これについては、Appleもソフトウェア側で検知してある程度防いでくれている上に、筆者のこれまでの経験ではそもそも文字入力中にトラックパッドに触ってしまう機会はかなり少なく、タイピングが邪魔されることは滅多なことがない限り起きていないため、この辺りはそこまで気にする心配はないと個人的には感じている。

USB-C (TB3) が初めて搭載 便利なのかそれとも不便なのか

これまでのレガシーポートを投げ捨て、新たにThunderbolt 3が搭載されるようになったMacBook Air。他のMacBook端末と共通化が図られた。

MacBook Airの側面にはふたつのThunderbolt 3ポートが搭載されている。ポートの形状はUSB Type-Cと同じだが、MacBook Proと同じくThunderbolt 3になったことで、データ転送速度は最大40Gbpsまで高速化されている。

このおかげで、MacBook Airは4Kディスプレイへ画面出力ができるように。また、LG UltraFine 5K DisplayなどのThunderbolt 3対応ディスプレイに対しては、さらに上の5K高解像度出力ができる仕様になっている。

MacBook Airが接続できるのは4Kディスプレイが2台まで、5Kディスプレイは1台まで。5K出力に関しては高いグラフィック性能を必要とするため、作業内容によっては 「Blackmagic eGPU」 などのeGPUを必要とするかもしれない。ちなみに、USB-Cを搭載している12インチMacBookはThunderbolt 3に対応していないため、現状では5Kディスプレイに接続したり、eGPUを利用することはできなくなっている。

付属の電源アダプタとUSB-Cケーブル。軽くて持ち運びに優れている

また、このUSB-Cポートは急速充電規格「USB-PD (Power Delivery) 」をサポートしており、付属する充電器やUSB-PDに対応するアクセサリであればMacBook Air (2018)を急速充電することができる。

もしバッテリーが空になったとしても、付属の30W電源アダプタとケーブルを使えばわずか1~2時間でバッテリーを完全回復させることが可能。出先でバッテリーが足りなくなった時は、電源を提供するカフェなどに逃げ込めば、少しゆっくりしている間にMacBook Airは再び息を吹き返すだろう。もしくはUSB-Cに対応したモバイルバッテリーを使って充電することもできる。どうしても出先で電源を確保できない時に役立つはずだ。

また、最近ではiPhoneやiPadで廃止されるなど、ある意味で邪魔者扱いされてきたイヤホンジャックもMacBook Airでは健在だ。いずれMacからもなくなってしまう可能性があるが、今はまだその時ではないようだ。

旧型MacBook Airの外部ポート(端末右側)

一方で失われたポートもある。SDXCカードスロットやDisplayPort兼用のThunderbolt 2ポート、そしてUSB-Aポートだ。これまでMacBook Airは多くの機器と変換も必要とせず直接繋ぐことができたが、これらのレガシーポートを廃止したために、USB-C非対応デバイスとは変換アダプタやUSB-Cハブを介して接続しなくてはいけなくなった。USB-Cへの移行を済ませた方はむしろ楽かもしれないが、これまでMacBook Airを使ってきた方にはやや不便となる出来事だろう。

とはいえ、最近ではMacだけでなく、iPadですらUSB-Cを搭載するようになった。おそらく今後はiPhoneでもUSB-Cが採用される可能性が高いため、徐々にユーザーもUSB-Cへの移行をせねばなるまい。最近はUSB-C対応アクセサリが増えてきているため、これを機にUSB-Cのアクセサリを購入するのもありだろう。

USB-C(Thunderbolt 3)ポートは端末左側に配置

USB-Cハブはサードパーティ製のものを利用することができる。また、ポートの位置はMacBook Proとは若干異なるものの、ポート同士の間隔は全く同じなので、MacBook Pro用に作られたUSB-Cハブなどのアクセサリをそのまま流用可能であることも重要だ。この辺りはユーザーやサードパーティに配慮して作っているのだろう。

ちなみに、搭載されているUSB-Cポートの数が1つではなく2つであるというのも地味にポイントが高い。なぜなら、充電しながらでも外部アクセサリと接続することができるからだ。

充電しながらデジタル一眼レフカメラの画像をインポート、充電しながら4Kディスプレイへ画面出力。そういったことは12インチMacBookにはUSB-Cハブを経由する以外にできなかった。

性能については以下で後述するが、MacBook Airはそれなりにパワフルな端末であるため4K出力もお茶の子さいさい。外部ディスプレイを使う機会が多い人も安心して使えるのがMacBook Airの魅力のひとつだ。

予想以上に快適な動作でビックリ ベンチマークスコアで性能を確認

MacBook Air (2018)は、デザインだけでなく中身も大幅に進化を遂げている。プロセッサには最新の第8世代Intel Core i5プロセッサが搭載され、旧モデルから性能が向上。当然、プロ向け端末であるMacBook Proには劣るものの、作業内容によっては十分にメイン端末として使うことができるレベルに到達した。

では、このプロセッサの実力はどれほどのものなのか。早速だがベンチマークスコアを計測し、他の端末と比べてみた。

Geekbench 4を使って計測したところ、「MacBook Air (2018)」のシングルコアスコアは4,063、マルチコアスコアは7,642だった。デフォルトのプロセッサを搭載したモデル同士で比較した場合、このスコアは 「MacBook (2017)」 を上回っているだけでなく、なんと 「MacBook Pro (2016)」 13インチTouch Bar搭載モデルに匹敵するほどとなっている。

  シングルコアスコア マルチコアスコア Metal
MacBook (2017) 3523 6587 15732
MacBook Pro (13-inch, 2016) 3816 7639 27934
MacBook Air (2018) 4063 7642 21430
MacBook Pro (13-inch, 2017) 4211 8835 27378
MacBook Pro (13-inch, 2018) 4510 16501 32491

「MacBook Air (2018)」 は購入時のCTOオプションでプロセッサ変更ができないため、性能が十分かどうか心配している方も多かったのではないだろうか。しかし、このベンチマークスコアが示すとおり、メールチェックやブラウジング、YouTubeでの動画視聴などの軽い作業であれば、ストレスなくこなすことができている。ライティング(文章作成)やブログ記事作成なども余裕、コーディングやWebデザインもサクサクだ。

実を言うと、筆者は普段からiMac 5KディスプレイモデルやMacBook Proで作業をすることが多いため、正直MacBook Air (2018)の性能はMacBook (2017)と同じくらいだろうと高を括っていた。しかし、実際に使ってみるとその処理性能は意外と高く、ベンチマークスコアなどの数字上ではそこまで大きくは変わらないものの、購入前の予想を遥かに上回る快適さで使うことができた。

もちろん、GPUはオンボードであるためグラフィック性能はやや低めで、高負荷のかかるグラフィック処理が必要な3Dゲームで遊ぶには不向き (試しに都市づくりゲームのCities Skylineを起動したところ、予想通りカックカクだった) 。高画質写真や4K動画の加工・編集をする方にはよりスペックの高い 「MacBook Pro」 の購入をオススメしたいところだが、そこまでヘビーな作業をしない、もしくはサブ端末として使うというのであれば、MacBook Air (2018)のスペックで困ることはまずないだろう。

バッテリー持ちは改善、スピーカー性能は大幅向上

各種ベンチマーク結果で、新型MacBook Airが意外に高性能であることを確認していただいたと思うが、そのほかにもバッテリー持ちやスピーカーの性能もチェックしていきたい。

まずはバッテリー持ちについて。Appleのラップトップは10時間以上のバッテリー駆動を目標に作られていることが多い。参考までにMacBook Pro (2018)は最大10時間のバッテリー駆動を謳っているが、MacBook Air (2018)の場合もやはり例に漏れず、最大12時間のインターネット閲覧、13時間のムービー再生が可能、とAppleは伝えている。

これはあくまでカタログ上の数字で、実際には使い方によってわずか数時間でバッテリーが切れることもあるわけだが、それにしてもMacBook Airのバッテリー駆動時間は他に比べて長い。画面の輝度を最大にしてタイピングしていても、始めてから2時間で30%もバッテリーが減っていないことに気がついた。

参考までに、アバウトだが昨日のバッテリー残量の推移と再充電にかかった時間を記録してみた。

作業時間 バッテリー残量/充電(おおよそ)
0時間 100%
1時間 87%
2時間 73%
3時間 61%
4時間 46%
5時間 29%
6時間 12%
6時間40分 2%
ここから充電開始 2%
1時間 62%
1時間50分 100%

作業は音楽を聴きながらのタイピングとNumbersによる表計算。画面は最大輝度で行っているため、実際にはもっとバッテリーが長く持つ可能性があるものの、少なくとも同じ条件下でも4~6時間で尽きてしまう 「MacBook Pro (2018)」 よりはバッテリー持ちが良くなっていると言えるだろう。

ちなみに作業は、一時的な離席も多く完全に継続して行ったわけではないため、上記の数字はあくまで参考程度に捉えておいていただきたい。

そしてスピーカーの性能について。結論から言えば、MacBook Airのスピーカー性能は想像以上に良くなっている。

旧型MacBook Airに比べるとその差は明らか。音の解像度は高くとてもクリアで聴きやすく、さらに低音が強化されているためズンズンと低い音が響く音楽は迫力が増している。また、部屋全体に響くような良質なスピーカーになっていて、リビングで音楽を流したりラジオを聴いたりするには十分な性能だ。

もちろん上位モデルのMacBook Proのスピーカーに比べたら、やや低音が弱く包み込むような音の広がりは感じられないなどの違いはあるものの、こちらはそこまで大きな違いではないため、さほど気にする必要はなさそうだ。

スピーカーはキーボードを挟むように配置するMacBook Pro方式

まとめ:MacBook Air (2018)は時代遅れから唯一無二の存在に大進化

発表イベントでティム・クックCEOはMacBook Airのことを「最も愛されたMac」と表現した。日本はもちろん世界的にもヒットとなった同端末、その復活を喜んでいる人はとても多い。中にはMacBook AirでApple製品への扉を開いたというユーザーもいるのではないだろうか。

一時は廃止も危惧されていたが、今回めでたく新型モデルが登場したことで、長年待ちわびていた人はようやく報われる時が来た。この平成最後の秋に。

T2チップの搭載により 「Hey Siri」 にも対応

冒頭でも触れたとおり、MacBook Air (2018) の特徴は 「現代化」 。従来の本体デザインを受け継ぎながら、現代の技術をコストの許す限り詰め込んだ。

完成された第3世代バタフライ構造キーボードを搭載し、耐久性に優れたアルミニウム合金が使用され、長年の使用にも耐えられる構造に。さらに処理性能はMacBook以上、MacBook Pro未満。スピーカー性能やディスプレイ性能もエントリーユーザーにとっては十分なものとなっている。

そして、Touch Barを搭載せずにTouch IDのみを搭載するという唯一無二な組み合わせはMacBook Proを持つユーザーからも羨まれるほど。これらを最新MacBookシリーズで最も安い148,280円(税込)で実現できたことは、ユーザーにとって喜ばしいことであるはず。

SNSなどを見ていると、一部からは 「微妙」 「中途半端」 などと酷評されているのを目にした。確かに、MacBook Air (2018) は、今のところMacBookとMacBook Proの中間的な存在であることは事実だ。だが本当に 「中途半端」 なのだろうか、筆者はそうは思わない。

性能に特化した端末が欲しければMacBook Proがある。コンパクトでモバイル性に特化した端末が欲しければ12インチのMacBookがある。どちらもとても良い端末だ。

しかし、人によっては両製品の特徴を兼ね備えた製品が欲しいと考えている人もいる。MacBook Airはどちらかというとそういう人向けの端末だ。性能と機能面、そしてコストのすべてのバランスが取れているのが最大の魅力、まさに中間。MacBookとMacBook Proのギャップを埋めることができるのはMacBook Air以外にない。

あったとしても13インチMacBook ProのTouch Barなしモデルだが、こちらは2017年モデルでTouch ID非搭載、そして第2世代バタフライ構造キーボードであることから現状ではMacBook Airを選んだ方がお得だ。

MacBook Airは、動画や画像編集、3Dゲームなどのグラフィック作業以外であれば、割とどんなことでもサクサクと実行できてしまうため、一般社会人の方はもちろん、学生にだってピッタリとハマるだろう。プログラミング、表計算、ブラウジング、メールチェックやグループチャットなど、汎用性はとても高い。ゲームだってブラウザタイトルであれば問題なく動作するし、プロユースにだって使えちゃう。値段の割に、結構できるヤツだ。

MacBookMacBook Pro、どちらにするか決められなかったという人にとってMacBook Airは新しい選択肢になるだろう。どれを買うか悩んだら、とりあえずコストパフォーマンスの高い 「MacBook Airを買う」 という選択肢も悪くないはずだ。

筆者が使ってみた感じ、MacBook Airはグラフィック性能以外で非力さを感じることは少なかったため、おそらく買って後悔はしないだろう。Appleユーザーが最も愛してきた端末のひとつ 「MacBook Air」 、ぜひあなたも手にとってみてはどうだろうか。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。