MacBook Air レビュー。新デザインと次世代M2チップで新たな時代が到来、最も嬉しかった改良点は?

コストパフォーマンスで優れ、エントリーモデルとして人気の高いMacBook Airに、待望の新型モデルがついに登場した。

新型MacBook Airは、Appleの次世代Apple Silicon 「M2」 チップを搭載したことでCPU・GPUパフォーマンスが向上。さらに、これまで長らく愛されてきた本体奥側から手前に向けて徐々に本体の厚みが薄くなるウェッジシェイプが廃止され、デザインが大幅に刷新されたことでも話題だ。

果たして、大幅なリニューアルを遂げた新型MacBook Airはどんな出来栄えになっているのか。当記事では、M2チップ搭載の新型MacBook Airの実機レビューをお届けする。

新型MacBook Airへの買い替えを検討している人や、性能が気になっていた人はぜひ参考にしていただきたい。

今回レビューするモデルのスペック

今回のレビューでは、MacBook Air (M2, 2022) の吊るしモデル8コアCPU/8コアGPUモデルを使用した。

RAM容量は8GB、ストレージ容量は256GB。カラーはスペーグレイ。具体的なスペックは以下のとおり。

今回検証したMacBook Airのスペック
購入モデル MacBook Air (M2, 2022)
CPU M2 (8コアCPU/8コアGPU)
メモリ 8GBユニファイドメモリ
ストレージ 256GB SSD
キーボード JIS配列
搭載ポート ・Thunderbolt / USB 4ポートx2
・MagSafe 3充電ポートx1
カラー スペースグレイ
付属電源アダプタ 30W USB-C電源アダプタ
価格(税込) 164,800円

ちなみに 「MacBook Air (M2, 2022)」 のM2チップは8コアCPU/8コアGPUと8コアCPU/10コアGPUの2種類の構成から選べる。より高いグラフィック性能が欲しい場合には、8コアCPU/10コアGPUモデルを購入すると良いだろう。

「MacBook Air (M2, 2022)」 のデザインをチェック

スペースグレイはミッドナイトよりも指紋は目立たない。Appleロゴは変わらず鏡面仕上げ

今回発売した 「MacBook Air (M2, 2022)」 の外観 (デザイン) をチェックしていこう。

「MacBook Air (M2, 2022)」 は、2021年秋に発売した14/16インチMacBook Pro (2021) と同じデザイン言語を採用した新型モデル。画面上部にノッチが搭載され、ボディの厚みを均一にし、筐体四隅に丸みを与えるなど、至る部分でMacBook Pro風デザインが採用されている。

MacBook Airといえば、本体奥側から手前にかけて徐々に薄くなるウェッジシェイプ (くさび形) デザインが伝統だったが、今回のモデルではウェッジシェイプがついに廃止されたかたち。

ウェッジシェイプなMacBook Airを昔から使用してきた筆者としては、これまでの慣れ親しんだデザインがなくなってしまったことにはすこしばかり寂しさを感じているものの、ボディの厚みが均一になったことで以前よりもどっしりとした印象で、膝に乗せたときの安定感は増しているように感じた。

本体サイズは、幅30.41cm×奥行き21.5cm×厚さ1.13cm。参考として、前モデルは幅30.41cm×奥行き21.24cm×厚さ0.41~1.61cm。幅と奥行きについては先代モデルから大きくは変わっていない。

  M1 MacBook Air M2 MacBook Air
本体サイズ 30.41cm 30.41cm
奥行き 21.24cm 21.5cm
高さ 0.41〜1.61cm 1.13cm
重量 1.29kg 1.24kg

一方で、前述のとおり厚みは均一になっており、このおかげで先代モデルよりも本体が厚くなったように感じられるかもしれない。しかし、実際には先代モデルのもっとも厚い部分 (1.61cm) よりはわずかに薄くなっている。実際に見比べてみると、全体的に薄くなっていることが確認できるとともに、従来のデザインがいかにうまく本体を薄く見せていたかがハッキリと分かる。

M1 MacBook Airと並べて比較

上:M1 MacBook Air/下:M2 MacBook Air

本体の大きさはほぼ変わらないが画面はわずかに大型化 (左:M1 MBA/右:M2 MBA)

本体重量は1.24kg。1kgを切れていないため軽量PCと呼ぶには厳しいものの、今回のデザイン刷新によって先代モデルMacBook Air (M1, 2020) から50g軽くなっている。実際に持ち歩いてみると、重量感は先代モデルからあまり変わらないが、本体の厚さが均一になったことで、従来よりもグリップ感が増してしっかりと持てるようになった印象だ。

先日発売したばかりの13インチMacBook Pro (M2, 2022) や14インチMacBook Proと比べても軽いことから、持ち運び性を最も重視する場合にはMacBook Airを選ぶと良いだろう。

本体底部は、より丸みを帯びたデザインに変更された。これまでは本体側面が90°にカクカクと折れ曲がるデザインだったのに対し、今回の新型モデルはエッジが角が丸くなっていて、より親しみやすいデザインになった。

本体底部の四隅には、先代モデルよりもひと回り大きくなったゴム足が4つ付けられている。設置面積が増えたことで、従来よりも机やテーブルなどに設置したときの安定感が増した。

ちなみに、14インチ/16インチMacBook Proは、底面に 「MacBook Pro」 とモデル名が刻印されていたが、MacBook Airにモデル名の刻印はない。画面下の 「MacBook Air」 の印字もなくなったことから、新型MacBook Airはデバイス名が本体に記載されなくなったことになる。

MacBook Airは本体デザインだけでなく、ディスプレイの形状と大きさも変更になっている。

具体的には、画面3辺(上・左・右) のベゼル幅が狭くなって画面縁いっぱいまで表示領域が広がったことで、画面サイズが13.3インチ→13.6インチとわずかに大きくなっている。

  MacBook Air (M1) MacBook Air (M2)
画面サイズ 13.3インチ 13.6インチ
画面 Retinaディスプレイ
広色域(P3)
True Toneテクノロジー
Liquid Retinaディスプレイ
広色域(P3)
True Toneテクノロジー
最大輝度 400ニト 500ニト
解像度 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) 2,560 x 1,664ピクセル (224ppi)

また、画面上部には14/16インチMacBook Proと同様、ビデオ通話用のインカメラを搭載するためのノッチ(切り欠き)が設けられた。

ノッチはメニューバーの上に重なるため邪魔にはならないものの、画面上に垂れ下がる黒い物体があるというのはやや気になるところ。また、アプリケーションなどの各ウィンドウはノッチ裏に留め置くことができないため、メニューバーが自動で隠れるよう設定している人にはすこし邪魔に感じられるかもしれない。

ノッチ部分は矢印カーソルが通り抜けられる仕様になっている。また、アプリケーションによってはメニューバーの項目がノッチで隠れてしまうこともあるものの、そうした問題に遭遇した場合はアプリケーションを右クリックし、「情報を見る」 > 「内蔵カメラの下に収まるようにサイズ調整」 にチェックを入れることでノッチ内に項目が隠れないようにすることが可能だ。

キーボードは、前モデルから変わらずシザー構造の 「Magic Keyboard」 が採用されている。新しいキーなどの追加はなく、十字キーも従来と同じ逆T字仕様だ。

変更があったのは上部の物理ファンクションキー。先代モデルでは通常キーの半分の大きさだったが、今回からは通常キーとおなじ大きさになって押しやすくなった。

ファンクションキーの隣には、お馴染みのTouch ID用センサーが搭載。指紋を登録した指でタッチすることで、MacBook Airのロックを解除したり、各種ログイン、Apple Payの支払いができる。

左:14インチMacBook Pro/右:M2 MacBook Air

キーボードの仕様は、先に発売した14/16インチMacBook Proとほぼ同じであるものの、MacBook Proはキーとキーの間のカラーが黒だったのに対し、新型MacBook Airは本体と同じカラーが採用されている。本体とキーボードの一体感が高いことから、全体のオシャレ度は新型MacBook Airの方が上だと感じた。

キーボード下には、複数の指によるマルチタッチ操作や感圧タッチ (押し込み操作) に対応したトラックパッドが搭載されている。トラックパッドのサイズはわずかに大きくなっているものの、その使用感はあまり大きくは変わっていない。

MacBook Airのスピーカーといえば、キーボード左右に設けられたスピーカーグリルから音が発されていたが、今回の新型モデルではこれが廃止され、キーボード左右がつるんとしたデザインに。よりスッキリとした見た目が個人的には好印象だが、それではどこから音が出ているのか。

Appleによると、MacBook Airはキーボードとディスプレイの間にスピーカーが組み込まれているという。搭載されているスピーカーは4スピーカーサウンドシステムで、ドルビーアトモスによる音楽や、映画視聴時の空間オーディオにも対応する。実際に耳を当ててみると、音はそのあたりから聞こえてくる。音質についてはのちほど。

本体側面には、アクセサリーや他デバイスと接続するための外部コネクタが複数搭載されている。注目は14インチ/16インチMacBook Proにも搭載されたMagSafe 3ポートで、マグネットの磁力で充電ケーブルをカチッとくっつけて本体を充電できる。

使い勝手はMagSafe 2の頃からほとんど変わっておらず、充電ケーブルに足を引っ掛けてしまっても、ケーブルだけが外れることで、MacBookが床・地面に落ちてしまうのを防ぐことができる。

そのほかの外部コネクタは、アクセサリ製品を接続するためのThunderbolt/USB 4ポートが2ポート。有線イヤホン/ヘッドホンや外部スピーカーなどとの接続に使う3.5mmオーディオジャック。

左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air

各ポートの配置場所は、3.5mmオーディオジャックのみが右側、その他のポートはすべて左側だ。

搭載コネクタの違い
MacBook Air (M2, 2022) 14インチMacBook Pro
  • 3.5mmヘッドホンジャック
  • MagSafe 3ポート
  • Thunderbolt / USB 4ポート×2
  • 3.5mmヘッドホンジャック
  • Thunderbolt 4 (USB-C) ポート×3
  • MagSafe 3ポート
  • SDXCカードスロット
  • HDMIポート

SDカードスロットやHDMIポートなど便利なポートが多数搭載された14インチ/16インチMacBook Proに比べるとポートの種類は少ないものの、充電専用のMagSafe 3ポートが搭載されたことで、2つのThunderbolt/USB 4ポートをアクセサリ専用として使えるように。アクセサリを多用する人は、本体を充電しながら2つのアクセサリが利用できるようになって利便性が向上したはずだ。

ちなみに、本体の充電はThunderbolt/USB 4ポート経由でも可能。万が一MagSafe 3ケーブルを忘れたとしても、USB-C – USB-Cケーブルを持っていれば問題なく充電できる。

付属のステッカーは本体カラーに合ったものが同梱

同梱物は、USB-C電源アダプタと2mのUSB-C – MagSafe 3ケーブル、そして恒例のAppleロゴのステッカー。電源アダプタは3種類から選択可能で、通常は30W USB-C電源アダプタが付属する。

この30W USB-C電源アダプタは、3,000円(税込)のオプション料金を払うことで、デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタや、67W USB-C電源アダプタに変更できる。

ただし、10コアGPU搭載のM2チップと512GB以上のSSDストレージを選択した場合は、3,000円を支払うことなく無料で上記の2つの電源アダプタに変更することができる。

ディスプレイ性能

新型MacBook Airのディスプレイは13.6インチの 「Liquid Retinaディスプレイ」 、これまでの 「Retinaディスプレイ」 から性能がアップグレードされている。

「Liquid Retinaディスプレイ」 は、14/16インチMacBook ProのミニLEDディスプレイとは異なり液晶ディスプレイではあるものの、画面上部にノッチが設けられたことで端末の縁ギリギリまで画面を広げ、視認性を高めることができている。

  MacBook Air (M1) MacBook Air (M2)
画面サイズ 13.3インチ 13.6インチ
画面 Retinaディスプレイ
広色域(P3)
True Toneテクノロジー
Liquid Retinaディスプレイ
広色域(P3)
True Toneテクノロジー
最大輝度 400ニト 500ニト
解像度 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) 2,560 x 1,664ピクセル (224ppi)

画面サイズは13.6インチで、先代モデルから0.3インチ大型化。解像度は先代モデルからわずかに大きくなった (2,560×1,600 → 2,560 x 1,664) ほか、これまでどおり広色域(P3)やTrue Toneテクノロジーにも対応する。上位のMacBook Proには敵わないものの、それでも十分な画面の綺麗さが担保されている。

画面輝度は最大400ニト→500ニトとわずかに向上しており、従来よりも明るい画面で作業できるようになった。画面輝度の向上は主に太陽光の下など明るい場所での使用に効果的だが、わずか100ニトの向上であっても画面がより見やすくなったと感じられた。

14インチMacBook Proの画面

ちなみに、上位モデルにあたる14インチ/16インチMacBook Proには、小さなLEDバックライトを大量に搭載し、それらを1つずつコントロールするミニLEDテクノロジーを採用した 「Liquid Retina XDRディスプレイ」 が搭載されている。同ディスプレイの搭載により、画面輝度やコントラストが向上したほか、最大120Hzのリフレッシュレートに対応したことで、対応アプリで画面がヌルヌルと動くようになった。

残念ながら新型MacBook Airにはこのような機能は搭載されていないため、より綺麗で滑らかな画面に魅力を感じるなら、14インチ/16インチMacBook Proの購入を検討しよう。

「Liquid Retina XDRディスプレイ」 の詳細については、14インチMacBook Proのレビュー、もしくは16インチMacBook Proのレビューをチェックしていただきたい。

M2チップについて

(画像:Apple)

新型MacBook Airには、M1チップの後継プロセッサ 「M2チップ」 が搭載されている。

M2チップは5nmプロセスで製造された次世代Apple Silicon。先行する形で発売したMacBook Proにも搭載されていたものだが、コア構成はCPUが8コア/GPUが最大10コアになっていて、CPUパフォーマンスは先代比で最大18%、GPUパフォーマンスは最大35%向上している。40%高速になったNeural Engineも搭載されているほか、M1に比べてメモリ帯域幅が50%高くなっており、最大24GBの高速ユニファイドメモリが搭載可能だ。

検証機の構成
搭載チップ Apple M2 (8コアCPU/8コアGPU)
メモリ容量 8GB
ストレージ容量 256GB SSD

今回筆者が検証に使用したレビュー機は、MacBook Airの吊るしモデル。8コアCPU/8コアGPU構成のM2チップと、8GBのユニファイドメモリ、256GB SSDを搭載している。

CPU性能


まずはCPU性能をチェックすべく、Apple Siliconにネイティブ対応済みのベンチマークアプリ 「Geekbench 5」 を使ってベンチマークスコアを計測した。

計測の結果、シングルコアスコアは1902、マルチコアスコアは8723となった。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M1, 2022)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1705 7220
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1717 7602
Mac mini
(M1, 2020)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1718 7573
iMac
(M1, 2021)
M1 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1714 7255
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1902 8723
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1938 8905
MacBook Pro
(14-inch, 2021)
M1 Pro 合計8コア
・高性能x6
・高効率x2
1761 9897
M1 Pro 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1765 12505
MacBook Pro
(16-inch, 2021)
M1 Pro 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1747 12502
M1 Max 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1782 12775
Mac Studio
(2022)
M1 Max 合計10コア
・高性能x8
・高効率x2
1744 12138
M1 Ultra 合計20コア
・高性能x16
・高効率x4
1782 22726

Appleによれば、M2チップは先代のM1チップからCPUパフォーマンスが最大18%向上しているとのことだったが、M1チップを搭載した先代MacBook Airとスコアを比較してみたところ、シングルコアスコアは約12%、マルチコアスコアは約23%前後向上していることが確認できた。大幅な性能向上とまでは言えないものの、M1→M2で順当に性能を上げてきたことがわかる。

M2チップのCPUコア数と構成はM1チップと一致するにも関わらず、ベンチマークスコアが向上しているということは、各コアの処理性能がわずかでも向上していることの証拠と思われる。

左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air

特にシングルコアスコアはM1シリーズのチップよりも高くなっている。M1シリーズはおおよそ1700台だったのに対して、M2チップは1900台をマークしている。もし、M2をベースにした上位プロセッサM2 Pro/M2 Max/M2 Ultraが登場した場合にはM1 → M2の性能向上と同等あるいはそれ以上の性能向上が見込めるだろう。

マルチコアスコアにおいては、M1チップからは向上しているものの、コア数の多いM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraには劣ることから、やはりM2チップはエントリーモデル向けのチップであることに代わりはなく、ハイエンドモデルが欲しい場合は、引き続きM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraを搭載したMacBook Pro/Mac Studioの購入がオススメだ。

ただし、M1 Proの最下位構成(8コアCPU)とはマルチコアスコアの差がかなり縮まっていることには注目しておきたい。実際にM1 MacBook Airで動きがカクつくことが多い作業をM2 MacBook Airで実行してみたところ、だいぶ軽減されていたように感じた。これから14インチMacBook Proを購入しようと思っているなら、最低でもM2 MacBook Proよりもマルチコアスコアが高い10コアCPU構成のM1 Proを選んでおきたいところだ。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1902 8723
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1938 8905

また、同じM2チップを搭載するMacBook Proとの差についても気になっている方もいると思う。ファンレス仕様であるためかMacBook Proよりもわずかに小さい数字が出るが、大きく違わないことから同じM2チップ同士で性能差を気にする必要はないだろう (そもそも高い性能を求めるなら筆者としては14インチMacBook Proをオススメしたい) 。

最後に、参考としてIntelプロセッサを搭載したモデルとも比較できる表を掲載しておく。IntelモデルからApple Siliconモデルへの買い替えを検討している人は参考にしていただければと思う。

製品名 プロセッサ コア構成 シングルコア マルチコア
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 合計8コア
・高性能x4
・高効率x4
1922 8910
MacBook Pro
(13-inch, 2020)
Intel
(i5-8257U)
合計4コア 925 3852
MacBook Air
(2020)
Intel
(i3-1000G4)
合計4コア 1102 2842
Mac mini
(2020)
Intel
(i3-8100B)
合計4コア 897 3202
MacBook Pro
(16-inch, 2019)
Intel Core i9
(2.4GHz)
合計8コア 1095 6869
iMac
(27-inch Retina 2020)
Intel Core i9
(3.6GHz)
合計10コア 1251 9021
Mac Pro
(2019)
Intel
(Xeon W-3265M)
合計24コア 1116 18960

GPU性能

次はGPU性能のチェック。「Geekbench 5」 を使ってGPU性能 (MetalとOpenCL) のベンチマークスコアを計測してみた。

計測の結果、Metalは26376、OpenCLは23789。同じく8コアGPU構成だったM1 MacBook Airと比較したところ、Metalは約34%、OpenCLは約41%と大幅に向上していることが確認できた。さすがに14インチ/16インチMacBook Proには敵わなかったものの、それでもだいぶ差を縮めてきたように感じる。

製品名 プロセッサ GPUコア数 OpenCL Metal
MacBook Air
(2020)
M1 7コア 16026 18897
M1 8コア 16925 19755
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
M1 8コア 19447 21616
Mac mini
(M1, 2020)
M1 8コア 19619 21832
iMac
(M1, 2021)
M1 8コア 19024 21332
MacBook Air
(M2, 2022)
M2 8コア 26263 23491
MacBook Pro
(13-inch, M2, 2022)
M2 10コア 27107 30863
MacBook Pro
(14-inch, 2021)
M1 Pro 14コア 31503 35463
M1 Pro 16コア 38214 40721
M1 Max 24コア 50612 58219
M1 Max 32コア 63341 70202
MacBook Pro
(16-inch, 2021)
M1 Pro 16コア 34778 38042
M1 Max 24コア 51267 59480
M1 Max 32コア 59541 67524
Mac Studio
(2022)
M1 Max 24コア 50094 61078
M1 Max 32コア 58995 67429
M1 Ultra 48コア 78421 98023
M1 Ultra 64コア 82445 100035

10コアGPU構成のM2チップを搭載したモデルならもうすこし高いスコアが期待できるため、14コアGPU構成のM1 Proを搭載したMacBook Proのグラフィック性能にはさらに近づくことができるはずだ (10コアGPU搭載モデルのベンチマークスコアについては分かり次第追記する予定) 。

参考として10コアGPUを搭載したM2 MacBook ProのスコアはMetal:26263、OpenCL:23491だったことが別記事より分かっているが、MacBook Airはファンレス設計であることからサーマルスロットリングなどが発生することでM2 MacBook ProよりはGPU性能が低く出るとみられる。

Metalスコア (左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air)

OpenCLスコア (左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air)

仕事柄、筆者はAdobe LightroomでRAW写真を現像・編集することが多いわけだが、従来のM1 MacBook Airでは急いでいるとき即座の写真現像・編集・書き出しができず、代わりに14インチMacBook Proを使って作業することが多かった。

しかし、今回のM2 MacBook AirではM1チップの時に感じたカクツキはそれなりに軽減されたように感じている。先代のM1 MacBook Airではメモリ16GBを選択し、今回は8GBとメモリ容量が減っているにも関わらずだ。

上記の理由から 「たまに写真を編集することがある」 程度の頻度ならM2 MacBook Airでも問題なく使えるのではないかと判断する。もし予算に余裕があるなら、オプションでメモリ容量を16GBあるいは24GBに増量したり、10コアGPU構成のM2チップに変更しておけば、より快適に動作させることができるはずだ。

また、新型MacBook AirはCPUコアの強化だけでなく、メディアエンジンの強化も行われている。8K (H.264/HEVC) 動画対応のビデオデコーダー、およびProResビデオエンジンを搭載した関係で、最大11ストリームの4Kビデオ、最大2ストリームの8K動画の再生ができるようになった。

Final Cut Proにおいては最大40%の処理高速化が図られており、Apple ProResの変換速度についても先代のM1チップ比で約300%高速化される。映像関係の作業をする機会が多い場合にはスコア以上の変化が感じられるかもしれない。

ただ繰り返すが、やはりM1 Pro/M1 Max/M1 Ultraチップに比べるとやはり力及ばずであることは変わりなく、より高いGPU性能を求めるユーザーであればやはり14インチ/16インチMacBook ProやMac Studioを購入するという選択肢が最も安心できるはずだ。

今秋にリリース予定の次期macOS 「macOS Ventura」 では、ゲーミング体験が進化することが案内されている。では、M2 MacBook Airのゲーミング性能はどれほどのものなのだろうか。

検証したのは、高いPCスペックが求められる街づくりゲーム『Cities: Skylines』と大人気オープンワールドアクションゲーム『原神』の 2タイトル。『原神』はMacには正式対応していないものの、「GeForce NOW」 に対応するようになったことでクラウドゲーミングサービスという形にはなるがMacでもプレイできるようになっている。

M1 MacBook Airでプレイ

まずは『Cities: Skylines』について。本作は高いCPU性能が求められるゲームで、M1チップでは人口2〜3万人あたりからフレームレートが落ちていき、人口が9万人に到達する頃には平均15fps程度まで下がってしまい、それ以上の街の拡大はかなり厳しくなってしまっていた。

M2 MacBook Airでプレイ

M2 MacBook Airの実機で動作チェックしたところ、人口9万人の状態で19〜20fpsで動作していることが確認できた。

M1 MacBook Airでは15fps付近だったことから、わずかに改善されていることになる。ちなみに、これはメモリ容量8GBで検証したものであるため、16GBで動作させた場合はもうすこし良い数字が出る可能性はありそうだ。

左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air

発熱量も調べてみた。上記ソフトを実行しているときは表面温度は最大40℃付近まで上昇していた。手で触ると熱く感じる程度で、とても重い負荷がかかっていることがわかる。一方でM1 MacBook Airは38℃付近で推移していた。発熱が大きめだが、動作はM1よりもM2のほうが高速という検証結果になった。

次に『原神』を検証した。クラウドゲーミングということもあり、動作にはMacのCPU/GPU性能には依存しないため、こちらはかなり軽快に動作しており、発熱も29度前後に抑えられていた。

クラウドゲーミングはCPU/GPU性能の代わりにネットワークスピードが求められるが、一般的な光回線のレベルであれば動作は難しくない。最近はクラウドゲーミングでプレイできるゲームが多くなってきているため、もしMacBook Airでゲームをプレイするならクラウドゲーミングを活用するのがベストではないだろうか。ちなみにmacOSはXboxコントローラーやPS4/PS5のコントローラーの認識をサポートする。

内蔵SSD

新型MacBook AirにはストレージとしてSSDが内蔵されている。容量はデフォルトが256GB(上位モデルは512GB)で、CTOオプションで最大2TBまで増やすことが可能だ。

今回のレビューに使用した検証機は、標準構成の256GB SSDを搭載したモデル。SSDの転送速度をチェックするため、Blackmagic Disk Speed Testを使って読み込み/書き込み速度をテストしてみた。

製品名 書込速度(Write) 読込速度(Read)
MacBook Air (M1, 2020) 2737MB/s 2848MB/s
MacBook Air (M2, 2022) 1421MB/s 1527MB/s

テストの結果、Read (読み込み速度) が1527.1MB/s、Write (書き込み速度) が1421.0MB/sとなった。これは先代のM1 MacBook Airの256GB SSD (Read 2848.5MB/s、Write 2737.9MB/s) よりも明らかに遅い結果となっている。M2 MacBook Airの256GB SSDの性能は大幅に悪くなったと言えるだろう。

左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air

実はこれと同じ現象が6月に発売したM2 MacBook Proでも確認されており、M2チップ搭載のMacBook Air/MacBook Proの256GB SSDは先代モデルよりも性能が悪くなっていることが判明している。

転送速度が悪くなった理由は、M2チップ搭載のMacBook Air/MacBook Proの256GB SSDのNANDフラッシュメモリの数にある。

YouTubeチャンネル 「Max Tech」 のVadim Yuryev氏がM2 MacBook Proを分解したところ、同モデルの256GB SSDには1つのNANDフラッシュメモリしか搭載されていないことが確認できたとのこと。

以前のM1 MacBook Proの256GB SSDには、128GBのNANDフラッシュメモリが2つ搭載されていたことが確認されている。複数のNANDフラッシュメモリがあることで、処理を分散して転送速度が向上するため、M1 MacBook Proの方が転送速度が速かったということだ。

M2 MacBook Proと同様、M2 MacBook Airも256GBモデルは同じ仕様になっているようで、Appleの広報担当者が1つのNANDフラッシュメモリしか搭載されていないことを公式に認めている。ただし広報担当者は 「256GB SSDのベンチマークは前世代と比較して違いがあるかもしれないが、実際の性能は高速である」 と述べており、Appleがこの現象を問題として認識しているかどうかは不明だ。

ちなみに、512GB以上のSSDストレージを搭載したモデルは256GBのNANDフラッシュメモリが2つ使われていることから、転送速度は低下しないことが判明している。

ストレージの性能は、写真や動画など大容量データの読み込み/書き出しに影響がある項目である上に、Thunderboltに対応した外部ストレージの場合はデータ転送にも影響がある。筆者の環境でもM2 MacBook Airでデータの読み込み/書き出しが遅くなったことが確認できたことから、処理時間を少しでも短くしたいなら、512GB以上のストレージ容量を選択しておくべきだろう。

RAM性能+容量増量のススメ

MacBook Airに搭載できるメモリ(RAM)の容量は、先代モデルでは16GBが上限だったが、今回の新型モデルでは最大24GBまで搭載できるようになった。さらにメモリ規格がLPDDR4からLPDDR5に変わりメモリ帯域幅が50%増加したことで、よりマルチタスクでの作業がスムーズにできるようになった。

下記はメモリの転送速度をAmorphousMemoryMarkでチェックした結果。従来のM1 MacBook Airより速度が向上しており、特にWriteの数字が大きく向上している。

今回のレビューに使用した検証機のメモリ容量は8GBだが、複数のアプリを立ち上げて作業しても比較的スムーズに動作していた。Apple Siliconはメモリ管理が以前よりも格段に上手になっていることから、メールの返信やWebページの閲覧など一般的な作業をする上でメモリ不足に陥ることはほぼなく、多少負荷が高い動作をさせてもサクサク動作するようになっている。

ただし、それはライトな作業だけに留めた場合であり、写真や映像の加工・編集や3Dレンダリングなどを動作させた際にはやはりメモリ不足を感じることもあった。メールやブラウジングなどライトユースを目的とする場合を除いては、これまで通り16GB以上の容量に上げておくことを基本的にオススメする。

上記は、MacBook Airのメモリ使用状況をチェックしたときの画像。9つのアプリケーションを起動したときのメモリ使用状況で、メモリの使用量が8GB以内に収まっていることがわかる。しかし、アプリケーションの種類にもよるが10個以上のアプリケーションを動作させるとメモリの使用量は不足するようになりがちだ。

  • 緑色のメモリプレッシャー:コンピュータはすべてのRAMを効率的に使用しています。
  • 黄色のメモリプレッシャー:コンピュータのRAMが今後足りなくなる可能性があります。
  • 赤色のメモリプレッシャー:より多くのRAMが必要です。

アクティビティモニタユーザーガイドより引用

下は大量のメモリを消費する3Dゲームをプレイしたとき、つまり高負荷時のものになるが、メモリプレッシャーが黄色に変わっており、スワップ使用領域を使って動作している状況であることがわかる。筆者の経験則では16GBもあれば大抵問題はないと思うが、IllustratorやPhotoshopなどの画像編集ソフトや、前述の『Cities: Skylines』のようにメモリ容量を大量に消費する3Dアプリを動作させたい場合には24GBのメモリ容量も検討してみるべきかもしれない。

メモリを増量する場合、16GBにするなら28,000円、24GBにするなら56,000円のオプション料金が必要になる (価格はいずれも税込) 。MacBookシリーズのいずれも購入後のメモリ換装はできないため、購入時点でのカスタマイズが必要だ。

USB-Cについて

従来のアクセサリも使用可能

今回の新型MacBook Airに搭載されているUSB-Cポートは、「Thunderbolt / USB 4ポート」 。先代のMacBook AirやM1 MacBook Proにも搭載されていたものと同じもので、Thunderbolt 3やUSB-4、USB 3.1 Gen 2 (USB 3.2 Gen 2)、DisplayPortと互換性があり、最大40Gb/sでのデータ転送に対応する。

内蔵ポートの転送速度を確かめてみた。検証には、USB 3.2 Gen 2に対応した 「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 と、USB 3.2 Gen 2×2に対応した 「Lexar SL660 BLAZE Gaming Portable SSD」 を使用した。

「OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub」 を接続して計測してみたところ、転送速度はRead(読み込み)が838.0MB/s、Write(書き込み)が938.2GB/sという結果になった。Thunderbolt 3やUSB-4に対応した製品ではないため、最大40Gb/sでは転送できなかったものの、それでもかなり高速に転送できている。

製品名 書込速度(Write) 読込速度(Read)
OWC Mercury Elite Pro Dual with 3-Port Hub 938MB/s 838MB/s
Lexar SL660 BLAZE Gaming Portable SSD 848MB/s 923MB/s

また、「Lexar SL660 BLAZE Gaming Portable SSD」 を接続して計測してみたところ、ほぼ同じくらいの転送速度になっていることが確認できた。

上記検証から得られた速度はこれでも十分高速な部類と思うが、もしMacBook Airの「Thunderbolt / USB 4」 の性能をフルで活かしないのならThunderbolt 3やUSB-4をサポートするデバイスを購入する必要がありそうだ。

ちなみに、新型MacBook Airに搭載されている 「Thunderbolt / USB 4ポート」 は、14インチ/16インチMacBook Proに搭載されている 「Thunderbolt 4 (USB-C) ポート」 とは仕様が異なる (最新のThunderbolt 4をサポートしない) ので注意していただきたい。

ディスプレイ出力

MacBook AirはUSB-Cケーブルを使用することで、外部ディスプレイに映像を出力することが可能だ。サードパーティのアクセサリを使用し、HDMIコネクタを増設することでHDMI経由で映像を出力することも可能だ。

14/16インチMacBook ProのようにHDMIコネクタは内蔵されていないため、もしホテルなどで備え付けのテレビに映像を出力するには別途アクセサリを持ち歩く必要があることに注意が必要だ。

なお、M1チップ搭載モデルの最大の弱点と言われたのが、出力できるディスプレイ数の上限が1台に限定されることだった。ここはM2世代での改良が期待されていた部分だったが、残念ながらチップの世代が上がっても改善されることはなかった。

わずか1台の外部ディスプレイにしか映像を出力できないのはやはり不便。以前のIntelプロセッサ搭載モデルでは、最低でも2台には映像を出力できたことから次世代モデル (M3チップ?) では改善されてほしいところ。

一応、Display Linkのディスプレイアダプタに対応したアクセサリなどを使用することで複数の外部ディスプレイに映像を出力することはできるものの、公式的に認められているアクセサリではないことや、高画質で出力できない場合があることから、2台以上の外部ディスプレイで環境構築するなら、やはり14インチ/16インチMacBook Proを購入するのがベターと言えるだろう。

キーボード

新型MacBook Airのキーボードには、お馴染みのシザー構造を採用したMagic Keyboardが搭載されている。

MacBookシリーズのMagic Keyboardは、Intelプロセッサ搭載のMacBookシリーズで搭載されていたバタフライ構造のキーボードより打鍵音や打ち心地が良くなった上に、故障率が低いため、使いやすく信頼感があるキーボードだ。

新型MacBook Airのキーボードは、13インチMacBook Pro(M2, 2022)や14インチ/16インチMacBook Proとほとんど変わらない仕様で、キーボードの配置も大きく変わっていないことから、多くの人が問題なく使用できるだろう。

M1 MacBook Airからの変更点としては、キーボード上部のファンクションキーが通常のキーと同じサイズになった点が挙げられる。これまでの半分サイズのファンクションキーも打ちづらかったわけではないが、キーが大きくなったことでより確実に入力しやすくなったと言えるだろう。

スピーカー性能

(画像:Apple)

新型MacBook Airの内蔵スピーカーはシステムが大きく変更されている。

搭載されているのは4スピーカーサウンドシステム。ドルビーアトモスによる空間オーディオもサポートしており、音楽や映画を視聴する際に立体的なオーディオを楽しむことができる。先代モデルもスピーカー性能はそれなりに高かったが、システムとしてはステレオスピーカー。より高い音質が期待できる。

実際にApple Musicで音楽を聴いてみると、ラップトップとしてはかなり高い音質に仕上がっている。特にスピーカーが2→4に増えたことで音の広がりが増しており、空間的な音が楽しめるように。全体的な音の解像度も向上しており、エントリーモデルながらとても良い音が楽しめる。

また、ドルビーアトモスによる音楽や、映画視聴時の空間オーディオにも対応するため、Apple Musicの空間オーディオや、ドルビーアトモス対応の映画/ドラマを立体的な臨場感あふれる音で楽しむことができるのも大きな特徴だ。MacBook Airの内蔵スピーカーは、YouTube動画を視聴したり、Abema TVなどでテレビ番組を視聴したりする分には十分な性能。出先で友達と一緒に音楽を聴いたりするにも十分なはずだ。

ただし、当然ながら2つのツイーターと4つのフォースキャンセリングウーファーによる6スピーカーシステムを採用した14インチ/16インチMacBook Proと比べるとやや音質は落ちてしまう。MacBook Proのそれはもっと解像度が高く、音の広がりもより優れる。また、低音がたまに弱く感じられる部分がある。

もとより高い音質を求めるユーザーならば内蔵スピーカーではなく外部スピーカーを使用すると思うのだが、MacBook Airでプロレベルの本格的なサウンドを楽しみたいのであればハイエンドな外部スピーカーやヘッドホン等を使うのが改めてオススメとなる。

左:14インチMacBook Pro/右:M2 MacBook Air

ちなみに、今回の新型MacBook Airでは、キーボード左右に設けられたスピーカーグリルが廃止されており、Appleによるとキーボードとディスプレイの間にスピーカーが組み込まれているという。耳を近づけてみると、MacBook Airの内部 (もっというと底面あたり) から音が響いてくるような感覚がある。

キーボード左右にスピーカーグリルが搭載されていた先代モデルに比べると、机に音を反射させて音を響かせるという特性が強くなったことから、机やテーブルなどの硬い素材のものの上に置いた方がより良い音で聴けるはずだ。

電源関係

バッテリー持ち

MacBookは内蔵チップが高効率のApple Siliconに変更されたことで、バッテリー持ちが劇的に改善されている。かつてのIntelプロセッサ時代は4〜6時間の駆動に留まっていたが、Apple Siliconを搭載するようになってからは10時間以上の駆動も一般的になった。

Apple公式サイトの技術仕様によると、今回の新型MacBook Airのバッテリー持ちは最大18時間。これはM1 MacBook Airから変わらないことになる。

以前にM1 MacBook Airでバッテリー持ちを検証したところ、10時間程度使用し続けることができたが、M2 MacBook Proを実際に使用するとどれほどのバッテリー持ちになっているのか。

画面輝度を50%に設定し、YouTubeで4K動画を流し続けて30分おきにバッテリー残量をチェックしてみた。

バッテリー残量
経過時間 バッテリー残量
計測開始 100%
1時間 95%
2時間 86%
3時間 75%
4時間 66%
5時間 56%
6時間 46%
7時間 37%
8時間 27%
9時間 16%
10時間 7%
11時間 0%

計測の結果、1時間に9〜10%ずつバッテリーが減っていき、最終的には11時間前後駆動し続けることができた。バッテリー持ちはmacOSのバージョンなどによっても変わるため、1時間程度の違いならほぼバッテリー持ちは変わらない可能性が高いと言えるだろう。

今回実施したテストはあくまでYouTubeで映像を再生させ続けるというシンプルな作業をさせただけだったが、動作環境や実際の作業内容によっては、バッテリー持ちが数時間短くなる可能性があるため、今回の結果はあくまでも参考程度に捉えていただきたい。

充電速度

今回のM2 MacBook Airで大きな変化があった部分として忘れてはいけないのが、MagSafe 3への対応だ。

MagSafeは14/16インチMacBook Proで復活した磁器コネクタ。充電ケーブルを磁石の力でカチッとくっつけて本体を充電できる。充電ケーブルに足を引っ掛けてしまってもケーブルだけが外れることで、MacBookが床・地面に落ちてしまうのを防げるという便利なものだ。

また、高速充電に対応しており14インチ/16インチMacBook Proはそれぞれ96W、140Wでの充電が可能だったが、果たしてM2 MacBook Airではどうだろうか。

実際に検証してみた。まずは純正の140W USB-C電源アダプタを繋いだときのデータとして、MacBook Airのシステムレポートには94Wの供給と認識された。次に筆者の所有するワットチェッカーで計測してみたところ、実測値は20.1V x 3.53A=70.953Wとなった。

続いて純正の96W USB-C電源アダプタを接続してみたところ、こちらもシステムレポートでは94Wとして認識されていた。実測値は20.2V x 3.49A=70.498Wとなった。従来のMacBook Airは最大で45Wで充電ができていたため、かなり高速に充電できるようになったことになる。

さらに、サードパーティ製の電源アダプタも接続してみた。単ポートで最大100Wまで出力できるAnker 547 Charger (120W)を接続してみたところ、システムレポートでは100Wと認識され、実測値は19.6V x 3.52A=68.99Wとなった。

上記の検証結果から、MacBook Airの入力上限は67〜70W程度と考えるべきだろう。67W〜70Wとした理由は、67WがMacBook Airに付属する電源アダプタの上限ワット数で、実際に本電源アダプタを接続したとき約66Wでの充電となったためだ。

もし上限の67〜70Wで充電したい場合はMacBook AirのCTOオプションとして用意されている67W USB-Cアダプタを購入するのがベストだろう。単体で購入することも可能だがその場合の価格は7,800円となるが、一方でCTOオプションで注文すると3,000円に抑えられる。

あとからサードパーティメーカーから購入することもできるが、70W~100Wのレンジの充電器は安全面への考慮などで意外と高価にはなるため、個人的にはCTOオプションとして購入するのがオススメ。もしサードパーティを選ぶなら2ポートや4ポートなど他ポートの充電器を購入したい場合に有効だろう。個人的にはAnker PowerPort III 2-Port 100WやAnker 547 Charger (120W)がオススメだ。

製品名 出力
Anker 547 Charger (120W)
(MagSafe経由)
19.6V x 3.52A = 68.99W
Anker 547 Charger (120W)
(USB-C経由)
19.2V x 3.54A = 67.96W
Apple 140W USB-C電源アダプタ 20.1V x 3.53A=70.953W
Apple 96W USB-C電源アダプタ 20.2V x 3.49A=70.498W

なお、本体の充電はMagSafe 3ポートだけでなく、Thunderbolt 4(USB-C)ポートからも可能。MagSafeポートを使用することでThunderbolt 4(USB-C)ポートを消費せずに済むというメリットがある。

また、Thunderbolt 4(USB-C)ポートを使用したときの入力は19.2V x 3.54A = 67.96WとMagSafeよりわずかながら低めに出る。誤差の範囲となるためあまり気にする必要はないものの、ポートの節約と落下防止なども含めてMagSafeに勝る部分はないことから、MagSafeケーブルが手元にある場合は積極的に使うと良いのではないだろうか。

Intel → M2チップ (Apple Silicon) の恩恵

ここからは、M2チップが搭載されたことで、新型MacBook Airで何ができるようになったのかをまとめたいと思う。

まずはIntelプロセッサ搭載モデルからの買い替えを検討している人のために、IntelプロセッサからApple Silicon (M1/M2チップ) になったことで得られる恩恵を簡単にまとめてみた。

  • iPhone/iPadアプリがMacで動作可能に
  • 既存のMacアプリも動作する
  • 発熱が少なくなった
  • バッテリー持ちが向上

注目すべきは、プロセッサの発熱が少なくなったことで高い処理効率を維持し続けられるようになり、高パフォーマンスのまま長時間使用し続けられるようになったこと。通常の作業をする程度なら本体が高熱になることはほとんどなくなったため、ももの上に乗せての作業も快適だ。

また、Intelプロセッサ搭載モデルでは実際のバッテリー持ちが4〜6時間程度とあまり良くなかったが、Apple Silicon搭載モデルの場合は処理効率が向上しており、消費電力が少なくなったため、作業内容によっては10時間以上駆動し続けられることもある。バッテリー持ちの大幅向上はApple Siliconのもっとも大きな恩恵とも言えるだろう。

左:M1 MacBook Air/右:M2 MacBook Air

次にM1チップからM2チップになったことで得られた恩恵についてまとめていく。

まずはチップ性能の全体的な向上。CPUやGPUに加えて、Neural Engineの性能が向上したほか、メモリ帯域幅も高くなっている。

さらにM2チップでは、M1 Pro/M1 Max/M1 Ultraチップで実施されたメディアエンジンの強化が新たに実施されている。8K (H.264/HEVC) 動画対応のビデオデコーダー、およびProResビデオエンジンを搭載した関係で、最大11ストリームの4Kビデオ、最大2ストリームの8K動画の再生が可能になった。

ビデオ通話の機会が多い人に嬉しいアップデートとしては、画像信号プロセッサ (ISP) によるノイズ低減も挙げられる。今回の新型MacBook Airは、先代モデルに比べて内蔵カメラの画質が720p→1080pに向上したことから、画質の向上+画像信号プロセッサによるノイズ低減により、かなり綺麗な映像を相手に届けられるようになった。

M2チップが搭載されたことで新たにできるようになったことはあまりなかったものの、全体的な処理性能がアップしたことで、M1チップ搭載モデルよりも速く作業できるようになったことがM2チップの恩恵と言えるだろう。

Intel → M2チップ (Apple Silicon) の不利益

Intelプロセッサ搭載モデルからApple Silicon搭載モデルになることで得られる恩恵は多数あるが、もっとも大きなデメリットが外部ディスプレイへの画面出力数が最大1台に制限されること。

M1チップもM2チップも出力できる外部ディスプレイの台数は1台のみとなっているため、もしこれまでIntelプロセッサ搭載モデルで2台の外部ディスプレイに映像を出力していた人は、2台以上の外部ディスプレイに映像が出力できる14インチ/16インチMacBook Proを購入することをオススメする。

もしくは、Display Linkのドライバーに対応したUSB-Cハブなどのアクセサリを使うことで、2台以上の外部ディスプレイに映像を出力することはできる。ただし、Appleが公式でサポートしているものではないことに加えて、アクセサリによっては4K画質をサポートしないなど画質が低いものもあるため、使用は自己責任ということになるだろう。心配ならやはり14インチ/16インチMacBook Proを選んでおいた方が安心できると思われる。

また、外部ディスプレイへの映像出力数の制限に加えて、Apple Siliconを搭載したMacではeGPUが使用できなくなっている点にも注意が必要だ。もしeGPUが必要なほどの高いグラフィック性能を必要とする作業をするなら、14インチ/16インチMacBook ProやMac Studioなどの高性能モデルの購入を検討した方が良いだろう。

まとめ

以上、MacBook Air (M2, 2022)のレビューをお届けしてきた。

先月M2チップを搭載したMacBook Proを紹介した際に、”CPU性能が向上しただけで、それ以外のどこに魅力があるのか見つけるのが難しい” と書いたが、その認識はいまも変わっていない。

しかし、今回の新型MacBook Airについては全く真逆の感想を持っている。長年親しまれてきたウェッジシェイプなデザインが廃止されたことにはかなりの寂しさを感じてはいるものの、一方でプロ向けとして販売されている14/16インチMacBook Proの特長の一部を得たことで、使い勝手が大きく改善されていることは大きく評価したい。

M1 MacBook Airからの変化として最も大きかったポイントは2点あると思っている。

1点目はやはりM2チップを搭載したこと。CPUパフォーマンスの改良は劇的とは言えないが、GPUパフォーマンスは大きく改善されており、M1チップの弱い部分をしっかりと補ってきた印象を受けた。GPUパフォーマンスが改良されたことで写真・動画編集といった作業にも余裕が出た気がするし、3Dゲームのプレイ時にも動作は多少軽くなっていた (とはいえ実用的とは言いづらいが) 。

2点目はMagSafeが搭載されたことで、充電中に使用するポートがひとつ減ったこと。同時にアクセスできるコネクタが増えて利便性が大きく向上している。できればMagSafeとUSB-Cはそれぞれ別サイドに搭載して欲しかったなど細かい要望はあるものの、コストとの兼ね合いもあるだろうし、MagSafe搭載によるメリットのほうが大きいため、そこは甘めに見ようと思う。

また、充電速度も45W→67〜70Wまで向上しており、充電時間が短縮されている点も重要なアップデートポイントだった。普段の仕事用として使用することの多いデバイスなだけに、こういったアップグレードは地味ながらとても嬉しいところ。

プロユースにも耐えられる肉体を手に入れ、生まれ変わった次世代型MacBook Air。新たな時代の幕開けを歓迎するとともに、このプラットフォームのもと進化していくMacBook Airの今後の発展が楽しみだ。

メイン機は今後も14インチMacBook Proで継続することになりそうだが、写真の処理をする必要がないときなどは、軽くて持ち運びに優れるMacBook Airを手に出かけようと思う。

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※iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。
※App Store、AppleCare、iCloudは、Apple Inc.のサービスマークです。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。