MacBook Pro 16インチ (2019) レビュー | キーボード・スピーカーが進化した次世代プロモデル。最新13インチモデルとも比較

Appleのラップトップの中でもプロモデル、とりわけ最上位モデルとして君臨してきた15.4インチMacBook Proに、数年ぶりのメジャーアップデートモデルが到来。画面が大型化した 「MacBook Pro 2019 16インチ」 が登場した。

16インチMacBook Proは、画面縁のベゼルが狭くなったことで表示領域が16インチに拡大したほか、多数の問題を抱えていたバタフライ構造キーボードが新たにシザー構造キーボードに置き換わり、ユーザーからの要望が大きかったEscキーが物理キーになるなど、信頼性が大幅に向上したのが特徴だ。

これらのアップデートにより、プロユーザーが待ち焦がれていた最強のMacBook Proが誕生したと言っても過言ではないだろう。果たしてその真価はいかほどか。

当記事では16インチMacBook Proを写真付きでレビューしていく。性能を測るためベンチマークスコア等も計測してみたので、生まれ変わった16インチMacBook Proの購入を検討している方はぜひ参考にしていただければと思う。

16インチモデルを購入した理由

レビューをはじめる前に、まずはMacBook Proには13インチモデルと16インチモデルの2種類が存在することをご存知だろうか。

13インチモデルはコンパクトで軽量、主に持ち運びに優れているのが特徴だ。対して、今回レビューする16インチモデルは決してコンパクトとは言えないものの、頑張れば持ち運びが可能。13インチモデルよりも性能に優れ、プロレベルの作業を確実にこなすことができる、主にパワフルさを全面に押したラップトップだ。

左:13インチモデル / 右:16インチモデル

この両モデルのうち、今回筆者が16インチモデルを購入した理由は大きな画面を搭載しているからだ。そもそもこのMacBook Proは父親へのプレゼントとして購入した。父は仕事で顧客に大して大きな図面を見せる機会があるそうなのだが、現在使っている13インチMacBook Pro(2016) では画面が少し小さいのだとか。

そこで今回登場した16インチMacBook Proを早めの退職祝いということでプレゼントしたのだ。父の場合は3Dモデルを扱うこともあるためdGPU(独立GPU)を搭載しグラフィックに強いMacBook Proはまさに最適だろう。

  購入したMacBook Proの構成・スペック
名称 MacBook Pro (16-inch, 2019)
プロセッサ 第9世代 Intel Core i7 9750H (6コア/2.6GHz)
Turbo Boost使用時最大4.5GHz
メモリ 32GB (2666MHz/DDR4)
グラフィック Intel UHD Graphic 630 (1536MB)
AMD Radeon Pro 5300M (4GB)
ストレージ 512GB
ディスプレイ True Tone搭載Retinaディスプレイ
外部ポート Thunderbolt 3ポート x 4
Touch BarとTouch ID Touch IDが分離されたTouch Bar
キーボード バックライトキーボード – 英語 (英国)

ちなみにMacBook Proは筆者も使っているが、筆者の愛用は本来は13インチモデル。その理由は 「MacBook Pro 2019 13インチ」 のレビュー記事で触れているとおり自宅でのメイン機としてiMac、外に持ち出す際のサブ機としてMacBook Proを使用しているから。筆者の場合はMacBook Pro 16インチモデルほど高い性能のデバイスを屋外で使う機会はかなり少ない。

▶︎【徹底比較】MacBook Proの13インチと16インチモデル、どちらを買うべき?

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製品デザインは大きくは変わらず

MacBook Pro 16インチ, 2019」 の製品デザインをチェックしていこう。

AppleのMacBookシリーズは他のラップトップ端末に比べると本体がかなりスリムになっているのが大きな特徴で、もちろん今回発売した新型MacBook Proもその特徴を受け継いでいる。

ディスクドライブが搭載されていなかったり、外部ポートがThunderbolt 3 (USB Type-C) であるなど基本的なデザインは先代の 「MacBook Pro 15インチ, 2019」 から大きくは変わっていないため、外観から見分けるのはやや難易度が高めだ。

とは言っても、細かく見ていくとアチコチで変更箇所があるのだが、まずは全体的なデザインに大きな変更がないことはお伝えしておきたい。

15インチモデルからの変更点

今回の新型MacBook Proはメジャーアップデートと言っても過言ではないくらい重要な変更がいくつも行われた。

「MacBook Pro 16インチ, 2019」 で起きた変化をまとめると以下のとおり。画面・筐体サイズが変更になったこと、そしてキーボードがシザー構造に変更になったことがまずは大きな変更点としてあげられるほか、それ以外にもグラフィックやオーディオの性能が大幅に向上するなど、まさに “プロ” の名に恥じぬようなデバイスになっている。

  • 画面サイズが15.4インチから16インチに
  • 筐体サイズがわずかに大きく、重量もアップ
  • キーボードがバタフライ構造からシザー構造に変更
  • EscキーとTouch IDがTouch Barから分離
  • リフレッシュレートが変えられるように
  • グラフィック性能が向上
  • 冷却構造が変更され効率よく放熱できるように
  • RAMやSSDの容量をさらに増やせるように
  • バッテリー容量の増加によりバッテリー持ちが向上
  • スピーカーやマイクの性能が向上

ここからは上記の変更点について詳しく解説していく。

画面サイズが15.4インチから16インチに拡大

まず大きな変化があったのは画面のサイズ。これまで15.4インチの画面が搭載されていたが、今回の新型モデルからはわずかに大きくなった16インチの画面が搭載されるように。

この画面の大型化は、画面周りにあるベゼルを細くすることで実現している。下記写真は 「MacBook Pro 13-inch, 2019」 との比較ではあるが、画面周りのベゼル (=黒い部分) が狭くなっていることがお分かりいただけると思う。

左:16インチモデル / 右:13インチモデル

画面が縁近くまで広がったことで、これまでの15.4インチMacBook Proの時代に比べてよりスマートなデザインに。

そして、ほんの少しでも画面が大きくなればそれだけ作業するエリアが増える。写真や映像を本業とするプロの方にはきっと好意的に受け入れられるはずだ。

  15インチモデル
(販売終了)
16インチモデル
 デザイン
画面サイズ 15.4インチ 16インチ
解像度(画素密度) 2,880 x 1,800ピクセル(220ppi) 3,072 x 1,920ピクセル(226ppi)
画面輝度 500ニト 500ニト
True Tone YES YES
広色域(P3) YES YES

ただ、ベゼルが狭くなり相対的に画面が大きくなったこと自体は評価できるものの、実際に使ってみると画面の大型化の恩恵を感じることはほとんどない。先代の15.4インチMacBook Proとも比較してみたが、0.6インチの違いが何かを生み出すことはほぼないため、少なくとも “画面の大型化” が16インチMacBook Proの購入理由になることはないだろう。

筐体がわずかに大型化、重量もアップ

今回筆者はスペースグレイモデルを購入

大きな画面が搭載されたということは、その分だけ本体サイズも大きくなったのかな?と思う人もいるかもしれないが、実態はほんのわずかに大きくなっただけで済んでいる。

「MacBook Pro 16インチ, 2019」 の本体サイズは横幅35.79cm、奥行き24.59cm、高さ1.62cm。高さを除いて1cm弱大きくなった。前述したとおり、画面のベゼルが狭くなったことで画面サイズが広くなっているため、筐体の大きさ自体はそこまで変わっていないのが現状だ。

  15インチMacBook Pro 16インチMacBook Pro
サイズ 幅34.93 × 奥行き24.07 × 高さ1.55 cm 幅35.79 × 奥行き24.59 × 高さ1.62 cm

また先代モデルに比べると重量も少し増加している。本体の重量は2kgピッタリで、だいたい牛乳パック2本分と同じくらいの重さだ。手提げカバンに入れて持ち運ぶにはやや厳しい重量感のため、持ち運ぶならやはりバックパックに入れて背負いたいところ。ちなみに13インチモデルの本体重量は1.37kgなので500mlペットボトル1本以上の差があることになる。

  13インチMacBook Pro 15インチMacBook Pro 16インチMacBook Pro
重量 1.37kg 1.83kg 2.0kg

新たに搭載されたシザー構造キーボード

今回の新型MacBook Proには、従来のバタフライ構造ではなくシザー構造のキーボードが新たに採用された。

Appleはこの新型キーボードを 「Magic Keyboard」 と呼んでいるが、その名のとおりiMacやiMac Pro向けに販売されているワイヤレスキーボード 「Magic Keyboard」 と似た構造が採用されていることが分解レポートから確認されている。

従来のバタフライ構造は打ちづらさや故障のしやすさが問題としてあげられていたため、信頼性の高い 「Magic Keyboard」 を採用することで、MacBookのキーボードの諸問題を解決するつもりなのだろう。

Magic Keyboardのキーに交換することも可能

キーボード全体はほんの少し大型化しており、それぞれのキーの間隔もわずかに広くなったため、以前に比べてゆったりとタイプできるようになった。

ただし、キー自体の大きさはミリレベルで小さくなっているため、先代のキーボードで慣れている方が使うと最初のうちはタイプミスを犯してしまうかもしれない。ちなみにMacBook Pro搭載のMagic Keyboardのキーの高さは 「Magic Keyboard」 に比べてわずかに低めだが、デバイスとして全く別物であるためほぼ誤差の範囲と考えていいだろう。

左:16インチMacBook Pro 右:13インチMacBook Pro(2019)

また、微妙な違いにはなるが16インチMacBook Proはキーの隙間が少しだけ広くなったことで、バックライトの光が漏れるようになった。暗い場所で見ると少しだけキーが見やすくなっていることがお分かりいただけると思う。

筆者は 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 を入手してから約1週間ほど同デバイスを使った上でこのレビューを書いているが、今回の新しいキーボードにはそれなりに満足できている。

従来のバタフライ構造キーボードは浅くて軽い打鍵感が特徴だったが、今回のシザー構造キーボードはキーストロークが0.55mmから1mmに増えたことで、以前よりも深い打鍵感が特徴となる。

もっと細かく言うとキーを押した後に若干の跳ね返りを感じる。これは決して悪い意味ではなく、”押している” という感覚が指先にしっかり伝わってくるため、安心感が得られるのだ。

キーの端を叩いてしまったときに正確にタイプできるのもグッド。2015年モデル以前のシザー構造キーボードはキーの端っこを叩いたときに入力されなかったことがたまにあったため、今回新たに搭載されたキーボードは単に昔のキーボードに戻ったというわけではないことがわかる。

ただし、キーボードのタイプ音はすこしだけうるさくなったイメージ。先代のバタフライ構造キーボードは 「トストス…」 といった音だったが、今回のシザー構造キーボードは 「タチタチ」 という音に。最初の頃のバタフライ構造キーボードに比べたらだいぶ静かな方ではあるものの、筆者は喫茶店など静かな場所で使う頻度の多いこともあり、どちらかというと後期のバタフライ構造キーボードのタイプ音の方が好みだ。

MacBook Pro 旧15.4インチと16インチモデルのキーボード比較動画

キーボードの打ち心地はユーザーごとに好みが異なるため、必ずしも今回のシザー構造キーボードが万人受けするとは限らない。筆者は割とバタフライ構造キーボードも好みだったこともあり、今回のシザー構造キーボードの採用についてはやや複雑な気持ちだ。

とはいえ、「MacBook Pro 16インチ, 2019」 はキートップを外してキーボード内部を掃除することができるなど、故障に対する耐性が高められているそうなので、”安心感” という点については大いに評価したいところ。もしバタフライ構造キーボードが理由でMacBook Proを買い控えしていたなら、今回の16インチモデルは 「買い」 かもしれない。

ちなみに、今回筆者はUK配列のキーボードを選択している。Apple公式サイトで購入するとJIS配列以外からも選ぶことができるため、JIS以外のキーボードで購入したい場合はぜひApple公式サイトから購入を。

▶︎ 初めて英字配列キーボードのMacを買うなら 「US配列」 ではなく 「UK配列」 を選ぶべき理由

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物理式Escキーと逆T字型配列の矢印キー

新型MacBook Proのキーボードは、内部構造だけでなく複数のキーにも変更が加えられた。

まずはTouch Barに内包されていたEscキーが物理式キーとなって独立したこと。筆者はEscキーをあまり多用しないのでこれまでの仕様でもほとんど問題はなかったのだが、多用するユーザーにとっては嬉しい変更となったはずだ。

そして、もうひとつの変更が右下の矢印キーの配置が逆T字型になったこと。Appleはこの変更によって、ソースコードの行移動やスプレッドシートの作業、ゲームプレイがスムーズになったと述べている。

Appleの言っていることは本当だ。実際、筆者もソースコードやスプレッドシートを触る機会があるが、その際のカーソル移動はすごく快適だ。

また、筆者は矢印キーを使うローグライク&リズムゲーム 「クリプト・オブ・ネクロダンサー」 をプレイすることがあるのだが、確かに逆T字型配列になったことでキャラクター移動が少し楽になったように感じている。

ただし、左右の矢印キーが従来より小さくなったため、横移動の多いゲームをプレイする際には少しストレスを感じることもあるかもしれない。このあたりのフィーリングはユーザーの好みや作業内容によって異なりそうではある。

New Apple MacBook Pro (16インチ, 16GB RAM, 512GBストレージ) - スペースグレイ

Touch BarとTouch ID

キーボードの上部にはもはやお馴染みとなったTouch Barが搭載されているが、前述したとおりEscキーがTouch Barから独立し、さらに左右のバランスを取るようにEscキーとは逆側にあるTouch IDもTouch Barから分離する形になったことで、Touch Barの長さが短くなっている。

Touch Barとは:メインディスプレイとは別に搭載されているサブの有機ELディスプレイ。ファンクションキーを置き換えるように配置されている。このTouch Barに表示される内容は起動しているアプリケーションによって変化し、例えば音楽や動画を再生しているときはシークバーが表示されたり、画像編集アプリではコントラストや露光量、彩度のスライダー調節が可能。テキストを打っているときはフォントサイズなどのテキストオプション、各種ツールが表示されるといった具合。

Touch Barが短くなったことで使い勝手が変わったかと聞かれるとその答えはNOだ。

表示領域が小さくなったとはいえ、表示内容については特に大きな変更はないため、画面の明るさや動画の再生位置の調整、テキスト入力中にテキストオプションからサイズを変更するなど、従来とおなじ感覚でTouch Barを使うことができる。

ただし、これは裏を返すと “Touch Barの存在をもっと肯定できるような革新的な変化はなかった” とも言える。Touch Barに関しては一部ユーザーから 「不要」 という意見もあがっている状態。筆者も最大限に活用できているわけではないものの操作性自体はそれなりに気に入っていたりもするため、 AppleにはTouch Barをもっと有効活用できるようなアイデアを求めたいところ。

ちなみに、Touch IDに関しては独立したことで使い心地は大きく変わってはいない。強いて言うならTouch IDの位置がブラインドでも分かりやすくなったくらいだろうか。ちなみにこのTouch IDは電源ボタンを兼ねていて、押し込むことでMacBook Proの電源をオン・オフすることが可能だ。

リフレッシュレートが変更できるように

16インチMacBook Proは、新たに画面のリフレッシュレートを変更できるようになっている。

リフレッシュレートとは、1秒間に画面が書き換わる回数を示す値のこと。これが高ければ高いほど画面描写がヌルヌルと滑らかになる。動画やゲームなどは高い方が満足度の高い映像を楽しむことが可能だ。

16インチMacBook Proでリフレッシュレートを変更するには、システム環境設定の 「ディスプレイ」 から設定できる。この中の 「ディスプレイ」 タブ内にある解像度の 「変更」 のラジオボタンをoptionキーを押した状態で選択することで、画面下部にリフレッシュレートを変更する項目が出現する。

リフレッシュレートは以下の5種類に変更可能だ。

  • 60Hz(デフォルト)
  • 59.94Hz
  • 50Hz
  • 48Hz
  • 47.95Hz

この機能は主に映画など映像制作を行う人向けのものだが、リフレッシュレートが低いと画面更新の回数を少なくすることができるため、CPUやGPUへの負荷が少しだけ軽減される。例えば動画編集などCPUやGPU負荷が高い作業をする際に、一時的にリフレッシュレートを下げてパフォーマンスを優先するといった使い方も可能だろう。

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性能(プロセッサ・グラフィック)

ここからは処理性能の話。プロモデルとして販売されている 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 は、一体どれくらいの性能を持っているのだろうか。

論より証拠ということで、まずはベンチマークスコアを計測してみた。比較対象は先代の 「MacBook Pro 15インチ, 2019」 と下位モデルの 「MacBook Pro 13-inch, 2019」 だ。

  MacBook Pro
13インチ, 2019
MacBook Pro
15インチ, 2019
MacBook Pro
16インチ, 2019
プロセッサ i7-8569U i7-9750H i7-9750H
シングルコア 1,112 1,080 1,014
マルチコア 4,241 5,099 5,627

筆者が購入した 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 に搭載されているプロセッサは、第9世代Intel Core i7 (オプションでさらに上位プロセッサに変更可能) で、これは実は先代の「MacBook Pro 15インチ, 2019」 に搭載されていたものと同じだ。

しかし、ベンチマークスコアを見ればお分かりいただけるように、シングルコアはほとんど変わらないものの、マルチコアスコアは10%程度向上していることがわかる。

この理由はおそらく、MacBook Pro内部の冷却機構にある。

今回の16インチMacBook Proは、内部のファンの通気孔や回転翼がより大きくなったことでエアフローが28%改善。ヒートシンクも35%大きくなっており、従来モデルよりも効率良く排熱できるように。

その結果、プロセッサのクロック周波数を高く保つことができるため、同じプロセッサでも高い処理能力を発揮することが可能になったというわけだ。

ちなみに13インチモデルとの差は、やはり性能で選ぶなら 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 をチョイスするべきだろう。

New Apple MacBook Pro (16インチ, 16GB RAM, 512GBストレージ) - スペースグレイ

グラフィック性能が大幅向上

16インチMacBook Proは15インチMacBook Proと同様、dGPU(独立GPU)とiGPU(統合GPU)の2種類のGPUが搭載されている。

このうち、消費電力が少ないiGPUに関しては1世代前のモデルと同じく 「Intel UHD Graphics 630」 が搭載されているのだが、高性能なdGPUの方は先代モデルに搭載されていたものよりも高性能なものが搭載されるように。

16インチMacBook Proに搭載されているdGPUは 「AMD Radeon Pro 5000M」 シリーズ。1世代前のMacBook Proのベースモデルに搭載されていた 「Radeon Pro 555X」 に比べて処理速度が最大で2倍高速になっている。さらにオプションで選べる 「Radeon Pro 5500M (8GB GDDR6メ‍モ‍リ搭載)」 は、以前の最上位モデルだった 「Radeon Pro Vega 20」 よりパフォーマンスが最大80%向上しているとのこと。

ベンチマークスコアを計測してみた。

  15インチ 16インチ
iGPU(OpenCL) 4367 (Intel UHD Graphic 630) 4665 (Intel UHD Graphic 630)
dGPU(OpenCL) 13378 (Radeon Pro 555X) 26316 (AMD Radeon Pro 5300M)
dGPU(Metal) 14210 (Radeon Pro 555X) 22840 (AMD Radeon Pro 5300M)

ベンチマークスコアを見るとわかるとおり、先代の15インチモデルに比べてグラフィック性能が大幅に向上していることが確認できる。

これもおそらくMacBook Proの新しい排熱システムが好影響を与えているものと予想される。さすがに据え置きのiMac (5K Retinaモデル) などに比べると劣る数字ではあるものの、ラップトップであることを考えればこれでも十分。

dGPUを使う場面として想定されるのは、動画・画像処理ソフトを使ったり、高グラフィックなゲームをプレイするとき。あとは外部ディスプレイに映像を出力する際にも使われる。

iMovieやFinal Cut Pro、Photoshopなどの映像・写真編集ソフトをバリバリ使ったり、複数のディスプレイに画面を出力する機会があるならグラフィック性能は強化しておく (オプションで高い性能のdGPUを載せること) に越したことはないだろう。逆にこれらの作業をする機会が少ないのであれば、こちらは強化せずにRAMやSSDにその分の金額を投資するのもアリだ。

ちなみに、筆者がチョイスしたのは 「Radeon Pro 5300M (4GB GDDR6メ‍モ‍リ搭載)」 で、もっとも下位のdGPUになるが、2枚の4Kディスプレイに映像を出力したり、「Civilization VI」 などの3Dゲームを遊ぶくらいなら十分なスペックだった。メガロシティレベルの街を作るシミュレーションゲーム 「Cities Skyline」 にはややスペック不足を感じたが。

メモリ容量を最大64GBまで増量できるように

16インチMacBook Proの標準のメモリ容量は16GB。これは1世代前の15インチモデルから変わっておらず、オプションで倍の32GBを選択できることも変わらないのだが、今回はオプションでさらに上の64GBを選択できるようになった。

メモリは作業机の広さに例えられることが多い。容量が大きければ大きいほど作業机の大きさが広くなり、同時にできる作業が多くなる。64GBものメモリがあれば、同時進行で様々な作業をしても動作がもたつくことはほとんどないだろう。

ただし、メモリを64GBに増量するためのオプション代は88,000円(税別)と非常に高額なので、本当に64GBも必要かどうかはじっくり吟味した方が良い。筆者の個人的な意見としては、半額の44,000円(税別)で選択できる32GBでも一般ユーザーは十分快適に作業できると感じている。

メモリ容量 オプション代(税別)
16GB 0円
32GB +44,000円
64GB +88,000円

実際、筆者は今回のMacBook Proのメモリは32GBを選択。Photoshopで作業をしながらTweetDeck経由でTwitterをチェックしたり、RSSリーダーで最新記事をチェックしながらスライム牧場経営ゲーム『Slime Rancher』でスライムを育てるなど複数の “ながら作業” を試してみたが、(メモリが原因で) 動作がもたつくことはほとんどなく、十分快適に作業することができた。

ただし、MacBookシリーズは自力でメモリの増設・換装ができないため、容量を見誤れば常にメモリ不足に悩まされることになる。高画質な動画や写真の編集など大量のメモリを使う作業をすることが多く32GBだと足りないかもしれないと不安を感じているなら、64GBを選んでおくのも手だ。

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大容量SSDで大量のデータを保存可能に

16インチMacBook Proは最低ストレージ容量が256GBから512GBに変更になったことで、単純にこれまでの倍のデータを保存しておけるようになった。

さらにプロユーザーからの要望を受け、カスタマイズで選択できるSSDの最大容量が8TBにまでアップ。従来までは最大4TBまでだったためこちらも倍のデータを保存できるようになった。この対応にはプロユーザーも大満足だろう。

とはいえ、8TBほどのストレージ容量を求めるユーザーはかなり稀で、多くのユーザーが2TB以下を選んでいるのが現状ではないだろうか。実際、筆者も今回のモデルはデフォルトの512GBを選択している。

筆者の父がそこまでストレージ容量を必要としていないからという理由もあるのだが、ストレージ容量のオプション代もなかなかに高額。購入の際には本当に必要な容量を見極めて購入するようにしよう。外付けHDD・SSDなどを活用できるなら、最低容量で購入して費用を節約するというのもアリだ。

ちなみに、内蔵SSDの転送速度は以下。

ストレージ容量 書込速度(Write) 読込速度(Read)
512GB 2571.7MB/s 2762.3MB/s

スピーカー・マイク性能が大幅向上

16インチMacBook Proの大きな変更点のひとつ、オーディオ性能の向上。とりわけ注目すべきは6スピーカーサウンドシステムだ。

Appleによると、16インチMacBook Proのスピーカーにはシステムの振動を大幅に低減したデュアルフォースキャンセリングウーファーが組み込まれており、クリアで自然なサウンドを実現。低音に関しては半オクターブ低い音域が聞こえるようになったとのこと。

実際に聞いてみたところ、確かに音質はかなり向上している。

これまでの15インチモデルは低音が若干弱めだったが、16インチモデルではウーファーが組み込まれたことで迫力のあるダイナミックなサウンドに。また、15インチモデルは楽曲によってはヒスノイズのような耳障りな音が発生することもあったが、16インチモデルではそれが大幅に軽減。ここまでくると、もはやラップトップ端末のスピーカーとは思えないほど。

ちなみに、16インチMacBook Proに搭載されたスピーカーは前面に対して指向性のあるものになっているため、MacBook Proに向かって使用するユーザーが最も最適な音で音楽を聴くことが可能だ。ちょっと横にずれると音の鳴る方向からズレている感覚を受けるため、自室でリラックスしながら聴く用のスピーカーとしてはやや不向きとも言えるかもしれない。

また、性能が向上したとはいえ筆者がメインで使っているiMac 5Kモデル(2019) にはやはり力及ばず。iMacは部屋全体に音楽が広がるが、MacBook Proの場合は先述のように一方向への指向性が強い。ラップトップと据え置きでは比較対象として適切ではないという指摘もあるだろうが、どちらもクリエイターに人気のデバイスであることから、これは伝えておかねばいけないだろう。

もし16インチMacBook Proでの楽曲制作や本格的な音楽鑑賞を考えているのであれば、筆者ならやはり高品質なスピーカーやヘッドホンを別途購入したいところ。もしくはHomePodがあればMacBook Proと組み合わせて高い音質で音楽を再生できるため、そちらを購入するという手もある。

ちなみに、16インチMacBook Proはスピーカーだけでなくマイクの性能も向上。スタジオ品質の3マイクアレイが採用されたことで、従来よりも高音質で録音や配信ができるようになっている。

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バッテリー持ち

16インチMacBook Proのバッテリー容量はぴったり100Wh。飛行機に持ち込み可能なバッテリーの最大容量を100Whと規定している航空会社が世界的にも多いため、Appleはそのギリギリの容量を搭載したということだろう。

MacBook史上もっとも大きい容量ということもあり2kgもの重量となってしまったが、その分バッテリー持ちが最大11時間となり、旧モデルより1時間向上している。

ただしこれはスペック上の話であり、MacBook Proの場合、実際のバッテリー持ちはスペックよりも短くなることが多い。果たしてどれほどバッテリー持ちが良くなっているのか、MacBook Proを使って作業をしながら30分おきにバッテリー残量をチェックしてみた。

計測結果は以下のとおり。

時刻 経過時間 バッテリー残量
13:00 0:00 100%
13:30 0:30 96%
14:00 1:00 93%
14:30 1:30 89%
15:00 2:00 84%
15:30 2:30 80%
16:00 3:00 70%
16:30 3:30 63%
17:00 4:00 57%
17:30 4:30 53%
18:00 5:00 45%
18:30 5:30 30%
19:00 6:00 15%
19:30 6:30 0%

13時から計測をスタートし、19時半頃にはバッテリー残量がなくなってしまったので、実質6時間半程度バッテリーが持った計算になる。Appleが発表している公式スペックの 「最大11時間」 という数字には遠く及ばなかった。

検証の途中、バッテリーが減少する割合に違いが見られるのは、途中で作業内容を変更しているからだ。例えば13時から15時くらいまでは純正アプリのみを使用し比較的軽い作業を行っていたが、15時から16時にはベンチマークテストを複数回実施している。18時からはRSSリーダーやブラウザゲーム、ミュージックアプリなどを同時起動し、合計28GBほどのメモリを使用しながら作業したことで、バッテリー残量がみるみるなくなってしまった。短い時ではわずか3時間程度しかバッテリーがもたなかったこともある。

以前に15インチMacBook Pro(2019)で検証した際のバッテリー持ちは6時間ほどだったので、同じくらいか少し伸びたかなという程度。バッテリー持ちは作業内容によって大きく変わるためあまり参考にはならないかもしれないが、バッテリー容量の増加による恩恵はそこまで大きくはなさそうだ。

トラックパッドや外部ポートは変化なし

以上が新型MacBook Proの変更点だが、今回はトラックパッドや外部ポートに関しては大きな変更は行われていない。

トラックパッドは従来からサイズは変わらず、iPhone 11 Proが軽く収まるくらいの大きさ。16インチモデルのトラックパッドは13インチモデルのものに比べると一回り以上大きいのでとても使いやすく感じる。MacBookのトラックパッドは感圧タッチ(押し込み)操作とマルチタッチジェスチャーに対応しており、これだけでMacを快適に操作することが可能だ。

本体側面にはUSB-C (Thunderbolt 3) ポートが左右2つずつと、3.5mmイヤホンジャックが搭載されている。USB-Cポートの位置は先代モデルから変わっていないため、USB-Cなどのアクセサリは引き続き利用することが可能だ。

ちなみに背面のAppleのリンゴマークは引き続き鏡面仕上げ。これらの仕様は先代の15.4インチモデルとほとんど変わりはない。

16インチMacBook Proで気になった点

ここまで様々な検証を行なってきたが、「MacBook Pro 16インチ, 2019」 の性能がとても高いということがきっとお分かりいただけたかと思う。少なくとも史上最強のMacBookであることには間違いない。

とはいえ、「MacBook Pro 16インチ, 2019」 が完璧なラップトップかといえばそうではない。筆者的にはいくつか気になる点があった。

まずは本体サイズが大きく、そして重量が重くなってしまったこと。

本体サイズについてはベゼル狭化&画面大型化があったことを考えたら納得できなくもない。画面が大きくなればより大きなバッテリーを搭載する必要があり、処理性能を高くするには排熱システムも改良する必要があるため、端末サイズの大型化は避けられなかったのかもしれない。ただ、できれば15.4インチモデルの本体サイズを変えずに画面を大きくして欲しかったところ。

本体重量もそうだ。大きなバッテリーを搭載するということはどうしても本体重量が重くなってしまう。MacBook Proは持ち運びも視野に入れたデバイスだが、これを毎日持ち歩くには結構覚悟がいる。

画面が大きくなっても作業エリアが大きく拡大したわけではないため、本当に画面サイズを16インチに拡大する必要性があったのだろうかという小さな疑問が筆者の中では多少あったりもする。

ただし、これについては将来のアップデートで多少改善されることもあるかもしれない。iFixitの分解レポートによると 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 の内部にはまだ余分なスペースが存在するそうだ。これをうまく活用することで、いずれ小型化も可能かもしれない。

あともうひとつ、個人的に気になったのはWi-Fi 6に対応していないということ。iPhoneが最新の無線通信規格 「Wi-Fi 6」 に対応したことを考えたら、MacBook Proもこれに対応して欲しかった。

Wi-Fi 6に対応したルーターがまだまだ普及していないため優先事項ではなかったのかもしれないが、やはりプロモデルを謳うのであれば最新規格には対応させてほしかったというのが個人的な希望。これについては来年か再来年あたりに登場する次期モデルに期待といったところだろうか。

まとめ:史上最強のMacBook Proが誕生。一般ユーザーからプロユーザーまで広くオススメできる

ここまで紹介してきたように 「MacBook Pro 16インチ, 2019」 は非常に高い性能をもったラップトップだ。

信頼性の高いシザー構造キーボードの採用やグラフィックなど基礎性能の向上。そしてスピーカーの音質向上や最大RAM・ストレージ容量の増加などプロユーザーが求めるあらゆるポイントに耳を傾けた史上最強のMacBook。その性能の高さゆえ、一般ユーザーからプロユーザーまで広くオススメすることが可能だ。

実際に父親に渡したら、画面の大きさと性能に関してとても喜んでいた。特に気に入ったのはやはり画面の大きさで、これまでの13インチMacBook Proでは見づらかった会社資料もハッキリと見えるようになったそうだ。

ちなみに会社だけで使うのはもったいないということで、仕事外ではYouTube動画やAmazonプライムビデオなど映像コンテンツを楽しんだりしているらしい。結構楽しんでる…!?

ちなみにこの記事を書いた筆者は毎日多数のガジェットを持ち歩く仕事柄、今後も13インチモデルを持ち続ける可能性が極めて高いものの、16インチMacBook Proの性能の高さや画面の大きさによるメリットを感じている。

特にグラフィック性能の高さは魅力的。写真の編集をする機会が多いこともあり、13インチMacBook Proにその力の半分でも譲って欲しいと感じるくらいには羨望している。もし大画面・高性能なラップトップデバイスが欲しいのであれば、16インチMacBook Proが最適だろう。

ちなみに、13インチMacBook Proと16インチMacBook Proのどちらを購入するかで悩んでいるなら、13インチMacBook Proのレビュー記事も参考になるのではないだろうか。また、16インチモデルと13インチモデルを直接比較した記事もあるため、ぜひそちらもチェックしていただきたい。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。

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