【レビュー】「Apple TV 4K」で圧倒的高画質の海にダイブ 4K/HDRの次世代コンテンツを家庭の大画面テレビで楽しもう

日本時間9月13日、Appleは新本社の敷地内にある「Steve Jobs Theater」で新製品発表イベント「Let’s meet at our place.」を開催した。

同イベントの最大の目玉はやはり新型iPhoneだったわけだが、イベントでは「Apple TV」の最新モデル「Apple TV 4K」も発表。「Apple TV (第4世代)」が登場したのが2015年9月に開催されたiPhone発表イベントだったため、実に2年ぶりの新機種の登場となった。

4KやHDRに対応したということで、正式名称は「Apple TV 4K」。最近のAppleにしては珍しいくらいド直球なネーミングの製品で少し驚いたが、ただ4K/HDRに対応しただけだと侮ってはいけない。

一見すると、「Apple TV 4K」本体や「Siri Remote」の見た目はほとんど変わっておらず、何が変化したの?と言いたくなるかもしれないが、実際に使ってみると従来モデルからの進化を確かに感じることができた。ただし、良い点ばかりではなく、今後の課題や問題が伺える一面も。

同記事では、そんな「Apple TV 4K」を実際にテレビに繋いで使用した時の感想から同端末が抱える課題や問題まで、じっくりとお伝えしていきたいと思う。

「Apple TV 4K」の本体デザインをチェック

まずは、「Apple TV 4K」の見た目の変化から紹介しよう。こちらが、「Apple TV 4K」の本体を撮影した画像だ。

見たところ前モデルの第4世代「Apple TV」から大きく変化した点はほとんどなく、端末サイズも高さ35mm×幅98mm×奥行き98mmで、重量も425gと全く変化がない。

 

排気スリットが新たに搭載、USB-C廃止

背面のリンゴマークは光沢タイプから非光沢タイプに

ただし、隅々まで見ていくと細かい変更点もいくつか見えてくる。例えば、底面には排気用のスリットが用意されており、ここから端末内部にこもった熱を排出する仕組みのようだ。

このスリットは従来モデルには存在せず、4K映像を出力するために処理能力の高いプロセッサを搭載したこともあり、発生する熱量が以前よりも増えたということなのだろうか。

背面には、HDMIと有線LANポート、そして電源端子の3種類が用意されている。これらの配置はほぼ第4世代の「Apple TV」と変わらないが、USB-Cポートだけが廃止されている。

これまで同端子はサービスコネクタとして搭載されており、一般ユーザーが使う機会はほとんどなかった。機会があったとしてもスクリーンショットや画面の録画程度、筆者はたまに使う機会があったのだが、これらは「macOS High Sierra」のQuickTime Playerで代用することで可能であるため、わざわざUSB-Cコネクタを搭載する必要は無くなった、ということなのだろう。

「Siri Remote」の「MENU」ボタンが若干変化

左:旧Siri Remote 右:新Siri Remote

Apple TV専用リモコンの「Siri Remote」にも若干の変更点がある。基本デザインはほとんど変わっていないが、「メニュー」ボタンの周りだけが白く縁取られ、わずかに出っ張る形状になったため、手元のボタンを押し間違えることが無くなった。

全てのボタンの押し心地が異なる造りになっているのも、Appleの細かい気配り。タッチパネルは従来モデルと同じように、物理式のタッチパッドとなっている。

「Siri Remote」の充電は底面にあるLightningポートから。バッテリーはかなり長持ちで、充電も年に数回程度。筆者は第4世代「Apple TV」を使っていたが、最後に「Siri Remote」の充電をしたのは、かれこれ何ヶ月も前な気がする。ちなみに、「Siri Remote」の操作は赤外線で行うため、使うときは「Apple TV」に向けて使う。

「Siri Remote」の背面は今まで通り。ちなみに、今までもiOS端末向けに「Remote」アプリが提供されており、iOS端末からでも「Apple TV」の操作が可能だったが、「iOS 11」でコントロールセンターから直接「Apple TV」を操作できるように「Siri Remote」が見つからないときはよりクイックにアクセスすることが可能だ。

紹介してきたように、「Apple TV 4K」のデザインは従来モデルとほぼ変わらずだが、細かい部分でデザインが変更されている。これら細かい変更点が発生した理由は、前モデルからの改善が必要だったからと思われるが、それと同時に従来モデルと簡単に見分けがつけられるようにするための工夫という意味もあったのかもしれない。

「Apple TV 4K」の実際の使用感

さて、ここからは「Apple TV 4K」の使用感について触れていこう。同端末の最大の特徴は冒頭でも触れたように、4K/HDRコンテンツの再生が可能になったこと。

実際、4Kテレビに繋いで確認してみたが、確かに画質はかなり綺麗になった。もちろん、4Kテレビに接続しないことには恩恵は得られないわけだが、かといってフルHDディスプレイでも問題なく使うことはできる。ちなみに4Kビデオスケーラーのおかげで、HD画質コンテンツを再生しても綺麗に描画できるようになった。

同梱物一覧。Lightningケーブルが付属も、HDMIケーブルは付属しない

テレビやディスプレイとの接続は、HDMIケーブルで。もちろん4K解像度転送に対応していることが求められる。「Apple TV 4K」にはHDMIケーブルが同梱されないので、持っていない方はこちらから購入を。ケーブルが4K/HDRに対応しているかどうかは、「Apple TV 4K」の設定から確認することができる。

ちなみに、「Apple TV 4K」は、「Dolby Vision」と「HDR10」をサポートしているので、自身のテレビがこれらの規格に対応しているかどうかの確認を忘れずに。

「Apple TV 4K」が本領を発揮する環境は、4K/HDRの画面と接続したとき。対応したテレビに接続すると自動で最適な画質を選択する仕組みになっているため、煩わしい設定は不要。わざわざハイエンドテレビを買わずとも、自宅にあるテレビで最大限に美しい画像を出力できる。

ただ、やはり画質は高い方が気持ちいい。筆者は幸いなことにHDR対応4Kディスプレイを持っているのでテストすることができたのだが、HDRに対応したディスプレイで映像を見ると、従来の「Apple TV」に比べて色の濃淡がハッキリと映し出されるため、今まで潰れてしまっていた描写もハッキリと確認できるようになった。

画質が上がると、映像は迫力を増す。今まで以上に圧倒される映像を大画面で楽しめるのは、やはり4K/HDRに対応したApple TVを手に入れたからだろう。

これを可能にしたのは、搭載プロセッサの性能向上。4K/HDRの高画質出力に対応するために、「Apple TV 4K」には「iPad Pro」にも搭載されている高性能なプロセッサ「A10X Fision」チップが搭載。Appleの発表によると、処理性能は従来の「Apple TV (第4世代)」に搭載されていた「A8」チップの2倍、グラフィック性能は4倍に向上しているとのこと。

先日のスペシャルイベントで発表された3Dゲーム「Sky」がサクサクと動く程の性能を「Apple TV 4K」は持っているようだ。

初回セットアップの手間が大幅削減 わずか数分で完了

端末の初回セットアップは、「iOS 11」を搭載したiPhoneまたはiPadがあれば認証コードを入力するだけで完了する。わずか数分で完了してしまったため、ゆっくりコーヒーを飲む暇すら与えられなかった。ちなみに、今まではApple IDを手入力する必要があったが、今回はストレスフリーで使用開始することができた。

また、「tvOS 11」は複数の「Apple TV」のホーム画面を同期することができるため、第4世代「Apple TV」を持っている方は、「Apple TV 4K」で改めてカスタマイズする手間は必要なし。「Apple TV」がアプリなどを勝手にダウンロードしてくれる。

「Apple TV」の操作は、基本は「Siri Remote」で行うが、時と場合によっては「Siri」に頼ると便利。特に膨大なコンテンツ量を持つ、iTunes StoreやApp Store、YouTubeなどの中からコンテンツを探すにはSiriがベストアンサー。

そのほかにも天気を調べたり、動画や音楽を早送り/早戻ししたりと、意外と使える機会が多い。ちなみに、Siriの聞き取り精度は体感的には従来モデルと同じレベル。

また、昨年リリースされた「tvOS 10」ではダークモードの導入やアプリの自動アップデートなどが実装され、「Apple TV」をより便利に使えるようになったが、先日リリースされた「tvOS 11」では、さらにダークモードの自動切り替えや「AirPods」との自動同期など、痒い所に手が届く仕様に。

また今までは初回セットアップなど、いくらか面倒な部分もあったが、「tvOS 11」のおかげで使い勝手が大きく改善、従来モデルに比べると「Apple TV 4K」で製品完成度がさらに高くなったと個人的には感じている。

「Apple TV 4K」の登場は必然、決して手抜き製品ではない

そもそも、なぜAppleは「Apple TV 4K」を発売したのだろうか。

その理由は、高度化するデジタル環境の流れに、Appleも食らいついていく必要があったからだろう。我々の周りのデジタルコンテンツは日々進化を続け、最近では4K映像も当たり前になりつつある。

その最も身近な例はゲーム業界かもしれない。例えば、SONYは昨年に「PS4 Pro」というゲームハードを投入し、4K/HDR端末への対応を果たした(厳密には4K解像度へのアップスケールだが)。また、Microsoftも4K/HDRに対応した「Xbox One X」を最近発表したばかりで、今年11月に同ハードを発売することが決まっている。

この流れは決してゲーム業界だけではない。ソフトウェア側も4K対応が着々と進んでおり、例えば動画投稿サイトの最大手であるYouTubeも4K映像の投稿が可能になり、定額制動画配信サービスのNetflixも昨年から4K映像を視聴することができるようになった。

つまり、我々の周りは徐々にではあるが、4Kコンテンツが増えてきている。もちろん、これらはAppleにとって無関係ではなく、「Apple TV 4K」が登場するのは必然、時間の問題だった。ましてやゲームと映像配信、ふたつのプラットフォームを育てていきたいAppleとしては、4Kコンテンツの対応が急務だったとも言える。

ただ、Appleも急ごしらえで「Apple TV 4K」を用意したわけではないはず。「Apple TV 4K」の発売にあたって、AppleはiTunes Storeで4K映画の配信を開始したが、これが可能になったのも映像の権利を持っている会社と度重なる交渉をしてきたからだろう。

また若干の改善にも見える本体のデザイン変更も、新型モデルを登場させるために一部再設計していると思われる。その証拠として、見る機会の少ない裏面の排気用スリットですら美しいデザインになっており、Appleらしいこだわりを感じる。

一見するとマイナーアップデートのように感じる「Apple TV 4K」も、中身はしっかりと次世代にグレードアップ。変更点が少なく感じるかもしれないが、Appleは決して手抜きをしたわけではないはずだ。

ただし、完成度が高い「Apple TV 4K」にも不満点がいくつかある。

それは、4Kコンテンツの数がまだまだ少ないということ。iTunes Storeにある映画も全てが4Kに対応しているわけではなく、さらに、「Apple TV 4K」の仕様上、YouTubeでは4K動画を視聴することができない。せっかく”4K”という名前を冠しているにも関わらず、最高画質を利用できるコンテンツが不足しているのだ。

これらは今後徐々に増えてくるものと予想されるが、「Apple TV 4K」が生きるか死ぬかは、やはりApple次第。完成された端末デザインやスペック、Siriや「Siri Remote」のクオリティが高いことを考えると、「Apple TV 4K」の残された課題は”コンテンツの数”であると断言できる。

また、Apple側の問題でないものの、4K/HDR対応ディスプレイ/テレビの普及が進んでいないことも問題といえば問題。最近は徐々に数も増えてきたような気もするが、4K/HDR対応テレビ/ディスプレイの種類が数なく、値段も高い。

まだまだ各家庭に普及できていないことを考えると、多くのユーザーが「Apple TV 4K」を最大限に活かせる時が来るのは幾分先になりそうな予感もしている。

第5世代になり、高解像度出力に対応した新型モデル「Apple TV 4K」。4K/HDRに対応し、Siriの利便性やスペックが向上したことで、これまで以上に魅力的になったのは間違いない。

「Apple TV 4K」は高画質な映像コンテンツを大画面で楽しみたい人にとってはピッタリの製品だと個人的には思う。値段も約2万円からと手頃で比較的買いやすく、しかも4K/HDRコンテンツの普及がそこまで進んでいないことを考えると、裏を返せば今後長い期間で使える端末だろう。

「Apple TV 4K」
32GBモデル 19,800円(税抜)
64GBモデル 21,800円(税抜)

今回のレビューでは、主に「Apple TV 4K」で変更された点を伝えてきたが、「Apple TV」本来の魅力は、旅行で撮った写真を「写真」アプリで家族で一緒に見て楽しんだり、「ミュージック」アプリを使って好きな音楽を居間で流したり、「Abema TV」を大画面で視聴することができたりと、家族や恋人、友人たちとテレビを使ってコンテンツを楽しめる点にある。それらを従来の「Apple TV」よりも高いクオリティで楽しめるようになった点に魅力を感じないだろうか。

まだまだ課題も残されている気もするが、それらは今後の4Kコンテンツの普及が進むことを期待して、今回のレビューを締めようと思う。「Apple TV 4K」の詳細が気になる方は、Apple公式サイトもしくはお近くのApple Storeなどで製品詳細を確認していただければと思う。

ちなみに、Appleは第4世代「Apple TV」も引き続きApple公式サイトで販売中。4K/HDRの高解像度出力が必要ない場合は、そちらを買ってみてもいいかもしれない。前モデルの詳細はこちらから(レビュー)。

▶︎ Apple公式サイトで各種「Apple TV」をチェック
 ・Apple TV 4K
 ・Apple TV (第4世代)
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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。