期待の新作『Tell Me Why』レビュー | 双子の絆で家族の過去を解き明かす

8月28日、DONTNOD Entertainmentの新作アドベンチャー『Tell Me Why』がXbox One/Windows 10/Steam向けに配信開始された。

本作は大自然に囲まれたアラスカの小さな町を舞台に、双子のタイラーとアリソンが超能力に似た “絆” の力を使って幼少期の謎を解き明かしていくというミステリーアドベンチャー作品。本日からチャプター1の配信が開始されており、すでにプレイすることが可能だ。

今回筆者は『Tell Me Why』の先行プレイの機会をいただき、一足先に本編を楽しませていただいた。システムやストーリーなど、本作がどのような作品になっているのかを詳しくお伝えしたいと思う。ちなみに、ミステリー作品ということでネタバレにはなるべく配慮しているのでぜひ安心して読み進めていただきたい。

『Tell Me Why』とは

『Tell Me Why』は『ライフ イズ ストレンジ』で知られる開発スタジオDONTNOD Entertainmentの新作アドベンチャー作品。『ライフ イズ ストレンジ』は探索をメインとしながら、時として主人公の持つ特殊能力をつかってストーリーを進めていくスタイルだったが、『Tell Me Why』もそれと似た仕組みが採用されている。

今回は、双子のタイラー(兄)・アリソン(妹)のふたりが主人公。このうちタイラーはトランスジェンダーの男性で、トランスジェンダーのプレイアブルキャラクターは大手パブリッシャーの作品の中では(筆者が知る限り)初となる。

今作の主人公たちが持つ特殊能力は 「双子で通じあう力」 。たとえば声を出すことなく “心の声” による会話ができたり、お互いの記憶を共有して追体験することが可能。

双子の絆で家族の過去を解き明かす

物語の舞台はアラスカ州にある小さな町デロス・クロッシング。双子のタイラーとアリソンは幼少期に起きた “とある事件” で母親を亡くし、それがきっかけで離れ離れに暮らしていたが、故郷の家を売るために10年の歳月を経て再会することに。

再会後、ふたりは実家の整理に取り掛かるのだが、その途中で思いがけないものを見つけ、幼少期に自分たちが母親に対して感じていた想いや記憶が真実と異なるのではないかという疑問を抱き始める。

母親は一体どんな人物で、どのような気持ちで自分たちに接していたのか。当時の生活は一体どんなものだったのか。ふたりは様々な手がかりから、母親や事件に関する真実を解き明かしていく。

“母親の死” と “家族の暗い過去” を取扱う作品ということもあり、本作は全体を通して割と重めの内容になっている。まずユーザーがプレイすることになる第1章から、双子が離れ離れになったきっかけである “とある事件” に触れていくことになる。

記憶を呼び起こすのは風景やモノ。たとえば実家の子ども部屋に置き去りにされていたアイテムから追憶が発生し、ふたりでそれを見ることができる。昔楽しかったことや悲しかったことを追憶として共有できるため、当時感じた気持ちをまるで自分に起きたことのようにお互い理解し合うことができる。

しかしながら、タイラーとアリソンは一緒に経験した出来事でも記憶が異なることがあり、そのどちらの記憶を信じるかを選ぶ局面が出てくる。しかも、この選択はストーリーを進めていく上でとても重要なものであることが多く、選んだ選択肢に応じてその後のストーリー展開、そして双子の絆の強さと最終的なエンディングにも影響が及んでいく。

チャプターの最後では世界中のユーザーがどちらの選択肢を選んだかをパーセンテージで表示するお馴染みの機能が用意されているのだが、筆者はひとつめの選択肢でややマイナーな方を選んでしまい、とある出来事の真実に辿りつくことができなかった。選択肢によっては悩ましいものもあるため、選ぶ際はぜひ慎重になっていただきたい。もちろん、まだ見ていないエンディングに辿り着くには、あえて違う選択肢を選ぶ必要もあるだろう。

ちなみにタイラーとアリソンは10年間離れ離れで暮らしていたにも関わらず息はピッタリ。時として片方が感情的になることもあるが、もう片方がそれをなだめるといった双子らしいコンビネーションも随所でみられたりする。

また、彼らは探索の合間合間にクスッと笑えるジョークも発してくれたりとプレイヤーの心を癒してくれる。DONTNOD Entertainmentのアドベンチャー作品は生き生きとしたキャラクターを描くことで定評があるが、『Tell Me Why』もまたその魅力は薄れていない。むしろキャラクターの表情が(いい意味で)より人間味溢れる表現になっていて、緊迫感のあるシーンや哀愁漂うシーンなどその境遇に置かれたキャラクターの感情や行動がリアルに描写されている。

『Tell Me Why』のトランスジェンダーへの配慮

本作の特徴のひとつとして、トランスジェンダーに関して適切な配慮がしっかりなされている点を筆者は高く評価したい。

『Tell Me Why』にはところどころトランスジェンダーなど性的マイノリティに関する描写が出てくるが、これらはいずれも開発者のイメージだけで作られたものではなく、その表現が適切なものになるよう、GLAAD(LGBTQの権利を護る団体)と提携して挑んだ賜物だ。

たとえば主人公のひとりであるタイラーが 「トランスジェンダーの男性」 として表現されている。さらに服各キャラクターの服装や仕草、話し方など、性的マイノリティを含む “性別” に関する表現はひとつひとつ慎重に作られた痕跡を随所で感じることができる。

本作が描かれる時代に生きる人の多くはトランスジェンダーに関してある程度の理解があるようで、周囲の人間もタイラーの現在の性別を受け入れられている。しかし、タイラーと昔親交のあったデロス・クロッシングの人々の中には当初トランスジェンダーであるタイラーに対して何気なく差別的な発言をしてしまうことがある。そういった性的マイノリティが抱える悩みや不満も、作中では(特に序盤で)リアルに描かれている。

これまでほとんど扱われることの少なかったトランスジェンダーをゲーム主人公として起用したのは、今の時代的にも素晴らしい挑戦だったように思える。人によっては、この作品をプレイすることでLGBTQの方々がどうやって扱われてきたのかなどを知る大事なきっかけになるかもしれない。

アラスカの田舎町を舞台にした “大きなテーマ” を描いた作品

『Tell Me Why』はアラスカの小さな田舎町を舞台に双子の主人公が自分たちの家族の過去を知るために奮闘する作品ーー。

こう聞くと物語のスケールは小さく感じられるかもしれないが、実はそのストーリーは家族の愛と絆、そしてトランスジェンダーという決して簡単とは言い切れないような、複雑でそして大きな問題をテーマにした大人向けな作品だ。

その深いストーリーのおかげで、一度プレイし始めると続きが気になり、きっとコントローラーを手放したくなくなるはず。筆者がまさにそうだったように。デロス・クロッシングの双子を待つ過去を、いくつかの結末を、ぜひあなたの目で確かめていただきたい。

『Tell Me Why』は3つの章に分かれていて、まずは本日からチャプター1の配信が開始されている。チャプター2は9月3日、チャプター3は9月10日に配信予定。対応プラットフォームはXbox One、Windows PC、Steam。Xbox Game Pass加入者は追加料金なしでプレイすることが可能だ。

『Tell Me Why』配信先

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。